鬼退治
「第二のマオウグンか……!話を聞く為に捕えないとな!」
状態異常をいきなり使っても効かないだろうし、先に少し攻撃して弱らせておこう。
「"放電"!」
弱らせるのにちょうどいいし、エイダにも効果があったのでまた同じ技を使った。果たして通用するだろうか……?
バチバチッ
鬼に攻撃が命中したが、怯む事なく走りを続けている!しかし、まるで効いて居ないわけではなく、傷はしっかり付いていた。
「反応がない……痛みを感じていないのか!?」
別の手段を考えているうちに間合いに入られ、金棒をブンッと振られた。
「危ねぇ!」
金棒は回避はできたが、振った後に凄い風が俺を襲った。
「くっ、なんてパワーだ!」
ブンブンッと、ひたすら攻撃を繰り出す鬼。俺は落ち着いて回避して反撃のタイミングを測る。ヤツの持っている金棒はトゲトゲだし、ちゃんと狙って剣を当てないとな。
「……今だ!」
カキンッ
渾身の一撃を金棒に叩き込むと、破壊する事はできなかったが、衝撃でヤツの手から抜けて少し離れた所に飛んでいった。今がチャンスだ!
「くらえ!麻痺、睡眠、気絶……どれかは効いてくれ!」
腕を伸ばして次々と状態異常魔法を使った。行動不能になってくれると助かるが……!
「グギギ……!」
「ダメか……」
エイダと同じで状態異常には強い耐性があるのか、少し行動が鈍くなったくらいで気絶まではいかなかった。
「なら、弱らせて気絶させよう」
倒せない程度に弱らせて、意識を失った鬼を持ち帰って国に渡し、調査を依頼しよう。コイツを見せれば、マオウグンが実在する事も信じてくれるだろうしな。
「また電気で弱らせるか……」
どの魔法ならちょうど気絶しないくらいの威力なのかを考える。すると、鬼が爪で引っ掻いてきた!でも、なんとか避けられた。
「コイツの爪、長くて鋭いな……。やっぱりコイツが異変の元凶か!」
付近で発生していたモンスター惨殺事件はコイツの仕業か。なら、食べきれないサイズのアナコンダを追っていた理由にも説明がつく。
「"放電"!」
再び同じ技で弱らせる!やはりくらってダメージを負っているはずなのに、全然動じずに爪で引っ掻き続けている。
「コイツ様子がおかしい……。まるで知性を感じないぞ」
エイダも最終的にかなり正気を失っていたが、コイツはそれよりも酷い。
「おーい!言葉はわかるか?」
「グギャア!」
ダメだ。会話もできない。弱らせたらエイダと同じで人間に戻るだろうしとりあえず攻撃を続けるか。
「"放電"!これでどうだ!」
結構ボロボロになっているのに、まだ人間に戻らないし、攻撃しようとしている。
「もう一回!"放電"!」
グシャ
攻撃を続けていたら鬼の右腕が落ちてしまった。
「ごめん。大丈夫か?」
マオウグンにヒールは使えないから欠損は控えたかったのだがやらかしてしまった。
「グギャアアアア!」
ウソだろ……。片腕が無くなったのに、まだ攻撃を続けている。それに、人間に戻る気配もないし……まるで戦闘マシーンだ。ゾッとする。
「あっ、でも落ちた右腕が黒い煙になっていく……!マオウグンな事に間違いない!」
マオウグンである事は確認できたが、コイツは再生もしなければ会話もできない。同じマオウグンのエイダとの差が凄いな。
「あっ、ヤツの体も黒い煙になって消えていく……!」
体に限界が来ていたのか、鬼の体も黒い煙になって消え始めた。……自分が消えていっているというのに、俺への攻撃を続けている。自分の命に一つも興味がないのか?それとも、戦いの衝動に取り憑かれてしまった哀れな存在なのか?
知りたくても、ヤツが消えてなくなった今では永遠にわからなくなってしまった。




