第69話 鬼が出るか蛇が出るか
体を左右にくねらせる事なく一直線でアナコンダが向かってきている。
「コイツの弱点は炎だったけど、外して木に当てたくないな」
木を壊すのはエイダが嫌がってたしな……。ここは木に当たっても問題が少ない魔法を放とう。
「じゃあ、"水の斬撃"だ!」
圧縮した水を手のひらから放ってアナコンダに当てた。
「くっ、倒しきれなかったか!」
当てて重症を負わせたが撃破までは至らなかった。
激怒したアナコンダは口を大きく開けて俺に迫って来る。
「なら、こっちが逆に食ってやる!"猛る暴撃"!」
剣を取り出して振るとアナコンダの頭が抉られて丸ごと消滅した。そして、残った体はしばらくうねうねと動いたのち完全に停止した。
「ふぅー、ゲームの時からエゲツない技とは思ってたけど、リアルになるとよりヤバさが際立つな」
抉って消すとかめっちゃ敵が使いそうな技だ。ちなみに、無くなった頭はどこに消えたのかは俺も知らない。
「てか、池で暮らしてるはずなのになんでここに居るんだろ。これも異変の影響か?」
次はアナコンダの群れがティエスカに向かってくるのだろうか。でも、その割には一体しか居なかったな。
仲間が別のルートから向かっているのか、それとも今倒したコイツがアナコンダキングだったかは定かじゃないが。
「調査の為に池に行ってみよう。アナコンダが来た方向にあるし」
大きな池に何体か住んでいるから、ソイツらの様子を確認すれば操られてるかを確認できるだろう。
「あれ?誰かいる」
向かおうとすると、アナコンダの後を追ってきたかの様に、何者かの人影が木々の隙間に居るのを発見した。
目を凝らしてそのシルエットを見ると、手に何かを持っていて頭には何か二つの突起がある。
「兜を被った剣士……?冒険者かな」
近くのスービエ村から来た人か、さすらいの冒険者だろうか。俺以外の冒険者が森の中に居ても不思議じゃない。
「いや、違う!」
太陽の元に照らされてハッキリ姿が見えたが、それは人間では無かった。
だが、日本人である俺には見覚えのある姿だった。
「アレは……鬼?」
頭の突起は兜では無く、頭から生えており、手に持っていたのは、剣ではなく金棒だ。それに、その体は全身赤色だった。
「どう見ても異世界の者だ。マオウグンか!?」
「木」の次は「鬼」だと。マオウグンには鬼も所属しているのか?
全員がエイダのような木の人間で構成されているのでは無かったのか。
「やべっ」
思わず立ち尽くして眺めていると、鬼と目が合ってしまい、走ってこっちに向かってきた。




