第68話 スービエ村周辺の捜索
「ん〜〜、よく寝たー。今は……一十六時頃か」
目覚めると、昼寝してから二時間近く過ぎていた。うっかり夜まで寝ていたら大変だったが、暗くなる前に起きられて良かった。
「放送は無かったな……。また気付かなかった可能性もあるけど」
マオウグンに関する放送が無かったという事は、報告を裏付ける証拠が見つかるまでは公表しないのだろう。
「さて、森の調査に行かないとな」
鋭い爪によるモンスター殺害事件か……。
エイダのように腕の枝を武器に変化できる木のような人間の仕業もある。早速、黒曜の鎧に着替えて調査しに出発しよう。
「ていうか、何気に一人で冒険するのはゲームの時以来だな。この世界に来てからは、エオルかマーレスのどっちかは一緒に居たからな」
友達が引退した後は一人で続けていたから、一緒に戦う仲間が居て内心嬉しかったのだと気付いた。
アイツらのせいで、一人だと寂しいって思うようになってしまったじゃないか。
「さて、暗くなる前に帰ろう。夜は視界も悪いし、下手すりゃ俺がモンスターと間違われて攻撃くらうかもしれないからな」
犯人がモンスターを強化できるのなら、暗闇で俊敏に動けるモンスターを操られて襲われたらひとたまりもないし、気が付かずに強酸性のスライムキングに落下して溶ける可能性もある。
「ワープは一度訪れた事のある場所にしか飛べないから、前にスライムキングを倒した平地に行くか。ワープ!」
唱えた次の瞬間、俺はスライムキングと戦った場所に立っていた。
「いやー、いろいろあったからか、三日振りに来たのに随分と久々な気がする」
凍らされたあとに砕かれたスライムキングの死体は既に溶けて地面に染みており、跡形もなくなっていた。
「しまった。どこで死体が見つかったのか聞いてなかったな。まぁ、詳しく聞いたら怪しまれたかもしれないし、今は手当たり次第に探すしかないかー」
鋭い爪なら、オオカミ男キングの仕業かもしれない。以前は禁断の果実で知性が上がっていたので弱かったが、もしパワーが上がっていたら厄介な敵になりそうだ。
「オークキングの時みたく罠もあるかもしれないし気を引き締めておこう」
周囲を警戒しながら森の中を探索していく。以前の異変の際にスライム達に飲み込まれて木々が何十本も消えたので、見通しは悪くない。
「ここにいるのはスライムと、鳥系のモンスター、あとは大きなヘビ、アナコンダが池の方に居たっけ。……なんでコイツだけ名前そのままなんだ?あっ、ゴリラもか」
名前は同じでも、前の世界に居た生き物と見た目が似ているだけで戦闘力はケタ違いに高い。
こっちのアナコンダなんて、映画の人喰いヘビ並みにデカいし、こっちのゴリラは素早く頭が良く超怪力で、生息する地域で生態系の頂点に君臨したりする。あと美女を攫ってビルに登ったり……あっ、これは違うな。映画と混ざった。
「アナコンダがスービエ村の人を襲うことは無いはず。村まで遠いし、丸呑みしたところで魔法を使われて内臓にダメージを負うだけだからな。鳥や魚しか襲わないって図鑑に書いてあった」
なんだろう。今、着実にフラグを建て続けている気がする。
……ん?今、あっちの方で木が揺れたな。何かいるのか?
「げっ、噂をしたら……!」
巨大なアナコンダが、真っ直ぐこちらに向かって来ていた。
「アナコンダだ!」
あぁ、フラグなんて建てるんじゃなかった。なんでこう、ことごとく回収するんだ俺は。




