第67話 信用得られず
少し脱線したが、閑話休題。マオウグンに関する話に戻さなければ。
「それで、改めてマオウグンに関してですけど、この言葉自体に聞き覚えはありませんか?」
「うーむ……。耳にした事はないな」
トピエ団長は頑張って思い出そうとしているのか唸っていたがわからないようだ。
もし知っていたとしても国の重要機密なので隠している可能性も否定できないが。
「これはあくまで俺の予想ですけど、素直に考えると魔王が率いる軍の事だと思うんです」
「マオウ?なんだそれは」
――そうか、この世界の住民は「魔王」って単語に馴染みが無いのか。
まずは魔王についての説明しなければいけないが、なんて言えばいいんだ?
「えーっとですね。魔王というのは創作物のラスボスによく登場する悪の権化の事でして、ファンタジー作品には結構な頻度で登場する敵なんですよ」
「……おとぎ話や伝説に登場している存在なのか?貴様の黒曜の鎧と同じく」
専門用語を多用して説明したが、魔王が伝説上の存在であり敵であるという事はニュアンスで伝わってくれた。
「まぁそんなところです」
「貴様と同じ、伝説の存在か……。なにか、関係性がありそうだな」
これは、エオルと同じで俺をマオウグンの仲間や同胞だと疑っている雰囲気だ。またしても納めた剣に手をかけて俺への警戒心を露わにしている。
「いや、俺はマオウグンの仲間じゃありませんからね?」
「現に一人撃破したと聞いたので仲間の線は薄いが、別の特殊な存在である可能性がある……」
トピエさんは呟きながら考えをまとめている。俺への対処を決めているようだ。
「頑なに素性を隠している事や、その戦闘力の高さ。気になるな。やはり、貴様の素性を確認しておいた方が安心か……」
マズイ。完全に俺の事を疑っているようで剣を抜き始めた。
ドラゴンの群れと戦った後のマーレスと同じで、武力行使で俺を強引に捕まえようとするかもしれない。
かといって相手は警察だから抵抗するのもダメだろう。
……もう、ワープしてここから逃げるしかない。
咄嗟に部屋にワープして帰ってきた。しかし、今でも心臓がバクバクしている。
「はーっ、生きた心地がしなかった。凄い圧だ。信じてくれたかはわからないが、国に伝えてくれるのを祈るしかないか……」
さて、報告は一応できたことだし、今から異変が起こってそうなスービエ村付近を探検しにいこう。
……と思ったけど、緊張して疲れたからかベッドから目が離れない。
「疲れたし、一度休んでから行こう」
一度鎧を脱いでからベッドに倒れ込み、睡魔に自分の体を委ねた。
ベッドの中でトピエさんの事を思い返したが、同じ結婚できてない者仲間として応援したくなる人物だった。
本当に、なぜ彼氏ができないのか不思議でたまらない。 何か悪い噂があるのか?いや、女王様の護衛を任されているんだしそれは無いだろう。
それならやはり、みんなが遠慮しているだけなのかな……。
「すぅ……すぅ…………」
あれこれ考えているうちに、すぐ眠ってしまった。




