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二人で無事にワープしてやるのだわ

 「まぁ、気を取り直して早速冒険の旅に出ようか!」


俺はエオルと共に魔道具店の外に出た。すると、未だに店の前に止まっている馬車と荷台が目に入った。


「……この馬車を使うより、ワープした方が早いし遠くまで行けるな」


この馬達の仕事を(うば)うのは申し訳ないけど、アイテムも全部俺の持ってるポーチに入るから荷台も要らないんだよな。


「ワープも使えるんですか!さすが、黒曜の鎧を持ってるだけあって一流の冒険者ですね!」


「でもさ、ワープって他の人と一緒に飛べるの?」

「一人まで一緒に飛ぶ事が可能ですよ。それでムクロンさん、どこに行きますか?」

「まだこの世界に慣れてないから、近場の森に行こう……ここに居る馬達はどうするの?」


流石にずっと通りに置いていたら邪魔だから移動させないといけないだろうな。


「彼らは賢いので僕が伝えれば勝手に馬車に向かってくれますよ」

「え、マジで?」


俺が本当か疑っていると、エオルが二頭の馬の耳元に何かを話かける。すると、馬達は足並みを揃えて歩き出していった。


「スゴッ、利口な馬達だなー」

「しかも、僕の代わりに戦闘もしてくれるんですよ。雷を出したり吹雪を出したり……」


あんな普通の見た目なのに魔法を使えるなんて、想像したらシュールだな。


「じゃあ、さっきはなんでやられてたんだ?」

「奇襲されたし、数の差があったから仕方ないです。彼らを責めないでやってください」


俺達が話していると、近くに冒険者が一人走ってきて、友人らしき別の冒険者に話しかけていた。


「おーい、さっきこの近くで黒曜の騎士を見たってウワサがあったんだがお前なんか知ってるか?」

「え、知らない。どこら辺で見たんだ?」

「こっちだ。ギルドや武器屋の方で見たらしい……」


大声だったので耳に入ってきたが、黒曜の鎧を持っている人間なんて早々いないし、俺の事を言っているのだろう。


「あ、ちょっと観光してただけなのにもう話題になってる」


いきなり伝説の装備を着た人が現れたらそりゃ驚くよな。ここに住んで活躍してたらファンが出来たりして……。でも、女性からはモテないけど男性からはモテたくないなー。


「……普段はムクロンという女性として過ごして、冒険者の時は男性のフリをすれば、女性にモテるし素で話せるじゃん!」


声は高いけど、男性の声でも違和感ないし、骨格やスタイルの良さは黒曜の鎧で隠せる。冒険者をしている時くらいは男性の気持ちに戻って、チーレムの夢を見てもいいよな!?


「それならまず、素顔の時は男性っぽい口調をしない方がいいと思います」


横で聞いていたエオルがアドバイスをくれた。


「確かに、口調同じだとバレちゃうな。――私はムクロンなのだわ!どう、こんな感じ?」

「女性口調のイメージどうなってるんですか……。もっと自然な感じでお願いします」


呆れられてダメ出しされたし、次から流石に真面目にやろう。まぁこれから身につけていけばいいんだし、まずは二人で一緒にワープ出来るかを試す事にしよう。


いきなり大通りでワープすると通行人に驚かれそうだし、俺達は再び店の中に戻った。


「エオル!ワープしますから私に捕まってちょうだい!」


今は素顔なので女性口調を意識したが、自分で聞くと恥ずかしいな……いやいや、俺の精神が成人男性であるという恥じらいは捨てよう。今の俺は女、女なんだ!


「一緒に行けるか不安だからピッタリくっつこう」

「ワープ初めてなのでドキドキします!」


お互いに初めてだから不安で、俺も黒曜の鎧は装着せずに体を密着させた。


「行くわよ〜〜、ワープ!」


 次の瞬間、俺たち二人は木々が生い茂る深い森の中にいた。


「エオル、無事か?」

「えと……何も異常はありません!」


エオルは自分の体や持ち物の無事を確認し、俺も服やポーチの中身に異変がないかを確認したが、全部ワープ前の状態のままだった!


「やった、成功だ!」


ワープを使っても無事な事が確認出来たから、これからも二人で遠くまで旅に出かける事が出来る!


さてと、手強いモンスターは出現しないが、念の為に黒曜の鎧を取り出して装備しよう。

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