スービエ村周辺の捜索
「ん〜〜、よく寝たー。何時だろ……あぁ、一十六時頃か」
目覚めると、昼寝してから二時間近く過ぎていた。うっかり夜まで寝ていたらどうしようかと思ったが、暗くなる前に起きられて良かった。ん〜!背伸びしよっと。
「放送は無かったな……。また気付かなかった可能性もあるけど」
それとも、報告を裏付ける証拠が見つかるまでは公表しないのかな。まぁ、予想はしていたけど。
それより、鋭い爪によるモンスター殺害事件か……。
エイダのように腕の枝を武器に変化できる木のような人間の仕業かもしれない。早速、黒曜の鎧に着替えて調査しに出発しよう。
「ていうか、何気に一人で冒険するのはゲームの時以来だな。この世界に来てからは、エオルかマーレスのどっちかは一緒に居たからな」
……友達が引退した後は一人で続けていたから、一緒に戦う仲間が居て嬉しかったのかもな。アイツらのせいで、一人だと寂しいって思うようになっちゃったじゃないか。どうしてくれるんだ。
「さて、暗くなる前に帰ろう。夜は視界も悪いし、下手すりゃ俺がモンスターと間違われて攻撃くらうかもしれないからな」
犯人もモンスターを強化できるのなら、暗闇で俊敏に動けるモンスターを操られて襲われたらひとたまりもないし、また、気が付かずに強酸性のスライムキングに落下して溶けたくない。念の為に早めに帰ることにしよう。
「ワープは訪れた事のある場所にしか飛べないから、前にスライムキングを倒した平地に行こう。ワープ!」
シュンッ
「いやー、いろいろあったからか、三日振りに来たのに随分と久々な気がする」
凍らされたあとに砕かれたスライムキングの死体は既に太陽の熱で溶かされており、跡形もなくなっていた。
「あ、しまった。どこで死体が見つかったのか聞いてなかったな。まぁ、詳しく聞いたら怪しまれたかもしれないし、今は手当たり次第に探すしかないな」
鋭い爪なら、オオカミ男キングの仕業かもしれない。以前は禁断の果実で知性が上がっていたので弱かったが、もしパワーが上がっていたら厄介な敵になるかもしれない。
「オークキングの時みたく罠もあるかもしれないし気を引き締めておこう」
周囲を警戒しながら森の中を探索していく。以前の異変の際にスライム達に飲み込まれて木々が何十本も消えたので、見通しは悪くなかった。
「ここにいるのはスライムと、鳥系のモンスター、あとは大きなヘビ、アナコンダが池の方に居たっけ。……なんでコイツだけ名前そのままなんだ?あっ、ゴリラもか」
名前は同じでも、前の世界に居た生き物と見た目が似ているだけで戦闘力はケタ違いに高い。こっちのアナコンダなんて、映画の人喰いヘビ並みにデカいし、こっちのゴリラは素早く頭が良く超怪力で、生息する地域で生態系の頂点に君臨したりする。あと美女を攫ってビルに登ったり……あっ、これは違うな。映画と混ざった。
「まぁ、アナコンダがスービエ村の人を襲うことは無いだろうな。村まで遠いし、丸呑みしたところで魔法を使われて内臓にダメージを負うだけだからな。鳥や魚しか襲わないって図鑑に書いてあった」
なんだろう。今、着実にフラグを建て続けている気がする。まぁ、あっちから人を襲ってくる事はないから安全だろ。
……ん?今、あっちの方で木が揺れたな。何かいるのか?
「げっ、噂をしたら……!」
巨大なアナコンダが、真っ直ぐこちらに向かって来ている!
「アナコンダだ!」
あーもう、フラグなんて建てるんじゃなかった!




