国で一番強いトピエさん
スービエ村から離れて人目に付かなくなったタイミングで荷台に行き、荷物をポーチに仕舞って荷台を軽くさせた。
「オッケー。二人とも、これで軽くなったぞー」
荷台を軽くしたおかげで荷物を受け取ったのに来た時と同じ速度で帰る事ができた。このポーチに物が入ると、その重量がほぼ無くなるのが便利過ぎる。
そして、帰りも特に何か起こる訳でも無く店に到着できた。このまま二人は勝手にエオルの家にある馬小屋まで帰るだろうからここで見送ろう。
「二人ともお疲れ様。気を付けて帰るんだぞー」
また頭を撫でてから二人を見送った。あー、可愛かったな……。まぁまた三日後とかに会えるしな。エオルは家の場所を教えてくれないから会いに行けないし大人しく待とう。よし、ポーションを店頭に並べていくかー。
「ふぅ。こんなもんかな。時刻は……そろそろ昼頃か。飯食ったらトピエさん探しに行こっと」
そして、昼食を食べ終わった俺は黒曜の鎧を装着して街へと出発し……いや、流石に店から出たら家バレしてしまうから、どこかまでワープしよう。
――という事で、ワープして人通りの少ない通りまでやってきた。
「さてと、問題はどうやってトピエさんを見つけるかだな。今更だけど、こんなに広いのに一人を見つけるなんて難しいのでは?」
姿は覚えているけど、人が多く土地も広いティエスカで目的の人物と出会えるだろうか?ううっ、そこをあんまり考えてなかったな。
「どうしようかな……。そうだ!前にマーレスと一緒に"飛行"を使って街を上から眺めた事があったな。あん時も大して何も注意されなかったし、俺も飛んで空から探すか!」
以前はいろんな意味でドキドキして下を見るのにそんなに集中できなかったが、一人ならじっくり探せるしな。
「"飛行"!」
空を飛んでティエスカ上空に到着し、停止して街を上から見下ろす。視力は普通の人よりも良いのだが、人が多いのでウォーリーを見つけるのと同じくらい難易度が高い。てか全然見つからねぇ……。これ本当に外に居るのか?
「トピエさんはどこに居るんだ?全然わかんないな……」
「私はここだ」
ドキッ!
「うわあぁ!?」
ここ空中だから誰も居るはず無いのに話しかけられたんですけど!?しかも、振り返るとトピエさんが立ってたんですが!?……まさか、彼女も飛べるなんて予想してなかった!
「貴様、わざわざ飛んでまで私を探していたのか?何を企んでいる?」
「あの、えっと……!」
トピエさんが腰に納めた剣を握った。いつでも抜いて俺と戦う準備は万全って事か……。とりあえず、戦うつもりは無いし両手を上に上げて何もしない事をアピールしよう。
「いや、何もやましい事は考えてませんよ!実は、禁断の果実やドラゴンキングに関して、あなたに伝えたい事があったんです」
「ほう?城に報告するのでは無く、私個人に伝えるのか?……理由はなんだ?」
「トピエさんにだけ話たかったからです」
「……良いだろう。貴様の話を聴いてやる。なら、二人きりで話せる場所に行かなくてはな。どこが良いだろうか……」
周りを見渡すが、人の少ない所なんて見つからない。絶対に人が来なさそうなところは、それこそ高い建物の屋上くらいか。あっ、近くに城があるからその屋上で話すか。
「城の屋上なんてどうでしょう?高いので人は居ませんし、もし聞かれたとしても国の人なので安心です」
「貴様のような怪しい者を城に近付けたくは無い。行くなら街を囲う城壁だ」
かなり警戒されているようだし、俺が城に近付けるわけ無かったか。そして、二人で飛んで城壁に到着し、俺はヘリの所に座った。
街をまるまる囲っている長い城壁……。確か、凄腕の錬金術師がたくさんの石を繋ぎ合わせて一つの強固な壁にしたんだっけ。
こんな所に座るなんて、以前の俺なら絶対にしなかった。だって高い所って落ちる事を想像したらめっちゃ怖いし。
「少しでも怪しい行動を見せたらすぐに斬るから覚悟しろ」
「は、はい。何もしませんって」
飛べるって事は、かなりの実力者しか突破できないあの最高難易度のダンジョンをクリアしたって事だからな。実力は折り紙付きだ。下手すると、俺を除いたらこのティエスカで一番強い人なんじゃないか?
「……兜は外さないのだな」
「えぇ。これは俺のプライバシーの為ですから、外す予定はありません」
「ふむ。悪事を働かない限りは、貴様の意思を尊重し、余計な詮索はしない。ただし、なにかあれば覚悟しておけ」
ううっ、ジッ……と警戒された目で見られている。ま、まぁ誰に話しても警戒されるのは同じだし、それに、権力を持つ人と一対一で話す機会なんてまたと無いしな。ここでマオウグンに関する事を報告してしまおう。




