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第63話 第二のマオウグンの噂?

 魔道具店に帰ってきた俺はエオルから渡された買い物のメモを見ていた。


「へぇー、ポーションが少ないのか。まぁ、前あんまり仕入れられなかったし、ドラゴンの群れの襲撃があったから需要が多いのかな。他は足りてるっぽいし、今回はスービエ村だけでいいのか」


 スービエ村以外とも取り引きはしているのだが、主力となる商品は大体はスービエ村で購入できるので他の村には俺も仕事ではまだ行ったことがない。

 しばらく待っていると外からパカラッパカラッと音がしてきた。どうやら馬車が店の前に到着したようだ。


「おーっ、二人とも!自分で来て偉いぞー。ヨシヨシ」


 二人(馬なので数え方は本来は二頭なのだが、敬意を込めてこう呼んだ)の頭を撫でで褒めると尻尾を高く上げ振ってくれた。

 馬がこうするのは、確か「嬉しい」という感情表現だ。


「さて、スービエ村に行くぞー。場所はわかるか?……いや、聞くまでも無かったな」


 俺が来るより前の頃から、二人はエオルと共に何度も村まで通っている。一回しか行った事が無い俺よりも圧倒的に詳しいので任せよう。

 いつも通り荷台に乗り込んだが、なにか違和感がある。


「そうだ。いつも御者(ぎょしゃ)をしているエオルが居ないじゃん」


 運転手が不在なのだが、俺は手綱を持った事が無いからやり方がわからない。

 この二人とも賢いからわざわざ手綱握らなくても良さそうたが、一応は馬車なので、形だけでも握っていた方がいいだろう。見ている人を驚かせたり、不安にするのも申し訳ないし。

 いつもエオルの座っていた椅子に腰掛けた。


「えーっと……出発!」


 結局、センキャクとバンライの二人が道を完璧に覚えていた為、俺は手綱を握っているだけだった。やる事といえば、道中にモンスターが立ち塞がった時に雷魔法を使って驚かせて逃す役割を代わりにやったくらいだ。

 そして特に不測の事態が起こる事もなく無事にスービエ村に到着し、馬車を止めて地面に降りた。


「ふぅ。二人ともお疲れ様」


 ここまで頑張って歩いてくれた二人を褒める為に撫でる。大きいから最初はビビったけど、働き者だし従順だから可愛いな。

 馬はあまり馴染みの無かった動物だったけど、異世界に来てから大好きになった。


「ホッホッホ。今日はエオル君は居ないんだね」


 すると、背後から聞き覚えのある声で話しかけられた。


「フォイユさん!エオルは今日はお休みでして……それよりっ、お元気でしたか!」

「ご覧の通り。元気にやっておるぞ」


 マオウグンに襲われていたらどうしようかと不安だったが無事で良かった。

 そうだ。あのデカくてなんでも溶かすスライムキングの生き残りが居たかを聞いておこう。


「そういや、森にいるスライムの様子はどうですか?」

「おかげさまで、あれ以来現れておらんぞ」


 スライムによる事件も発生していないし、今回は無事にたくさんポーションを生成できていそうだ。


「はぁー、良かったー。今朝、国の放送で全て解決したと言っていたのでもう安心ですよ!」

「なんと!教えてくれてありがとう」

「それで、本日はポーションを取りに来ました!」

「わかったぞ。こちらに用意してある」


 案内された小屋にはポーションが入った木箱がずらっと置かれていた。四次元ポーチに仕舞っているところを見られたくないので、荷台までは持ち上げて運ぶ。


「よいしょっと」


 木箱が下から胸を支えてくれている。あっ、これって、アニメや漫画で巨乳キャラの胸を強調する為の演出としてよく見るヤツだ。


「へぇー、こんな感じなんだ……」


 なんてオタクみたいな事を思いながらフォイユさんと共に二人で木箱を荷台まで運んでいき積んでいった。


「フォイユさん。ありがとうございました。あっ、これお代です」

「ふぅー。ありがとう」


 俺は平気だったが、わざわざフォイユさんに手伝ってもらうのは申し訳なさを感じる。

 というか結構パワフルで元気なおじいちゃんだ。歳いってからも動けるのはカッコいい。


「私はこれで帰りますね。あっ、この辺りの森でなにか異変とか起きてないですか?」


 帰る前にマオウグンに関する情報が無いかを聞いておこう。エイダも以前はこの辺りに居たから、なにかしらの情報は得られるかもしれない。


「うーむ。そういえば若い者が森の中で、モンスターの死体をたくさん見つけたと言っていたな」

「ほう?」

「鋭い爪で引き裂かれたようだったんだが、食べられた跡もなくその場で放置されてたんじゃ。どこかの冒険者がイタズラにモンスターを殺したのかもしれんな」


 この辺りには鋭い爪を持つモンスターは現れないはず。また異変が起きているのだろうか。でも、性格の悪い冒険者の仕業という可能性も否定できないが。


「なるほど……。わかりました。ありがとうございます。それじゃ、またよろしくお願いしまーす!」


 御者をする為に椅子に座りながら、フォイユさんに手を振って別れを告げる。

 情報は得られたから、先にトピエさんに報告した後に森に行って調査をしよう。

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