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第62話 女王様を護衛する女騎士

 ニヤケながら広場で待っていると、壇の方からシュンッというワープの音が鳴り、集まっている民衆全員がそこに注目する。

 見ると、檀には以前と同じく護衛の女騎士と共にペルフェッタお嬢様がそこにお立ちになられていた。高貴なオーラが溢れ出しており、一気に広場の雰囲気が品のある物に変わる。


「わぁ……!」

「麗しいです……!」


 ふと横を見ると、睡魔に襲われ今にも閉じそうだったエオルの瞼がパッチリ開いていた。

 ペルフェッタ女王様は滅多に拝見できないお方なので目に焼き付けようとしているのだろう。


「皆様、ごきげんよう。ペルフェッタです。先ほど放送した通り、昨晩に黒曜の騎士様が城を訪れてドラゴンキングと禁断の果実、双方の問題を解決されたとの報告をされました。何か質問などございますか?」

「すみません女王様。あの、黒曜の騎士って正体不明なのに信用していいんですか?」


 壇の近くにいた中年の女性が手を挙げて質問をした。どこか不安げな声で話しており、どうやら黒曜の騎士を信じていないようだ。


「報告された内容をこちらで調査したところ、全て報告された通りでしたので解決したのは事実であると国は判断しました」


 そう仰るという事は、あの後ドラゴンキングの死体をオウマの森に行き確認されたようだ。


「そうなんですか。でも、彼は正体を明かしていないんですよね?」

「はい。門番の者と鎧を装着されたまま話されました」

「頑なに正体を現さないのは、何か裏があるんじゃないですか?」


 ……さっきの女子二人と違って、そう不審に思う人も居るのか。まぁ、全員が全員、突如現れた謎のヒーローを肯定的に捉えるとは限らないだろう。


 強力な力を持っている正体不明な存在が自分の周りに居るのは普通に怖い。

 確かにヒーローはカッコいいけれど、それは視聴者や読者という安全な立場だからそう思えているだけなのかもしれない。

 

「以前にミステリアスなキャラで売りたいと仰られていたので、現時点ではご本人の意見を尊重して正体の開示は要求しません。ですが、もし何かあれば正体を明かすよう強制いたします」


 国はまだ俺の事を完全に信じてはいないようだ。民衆にも俺の事を怪しんでいる人もいるし、いずれは俺の正体を国に明かさなきゃならない日がやって来るのだろう。


「それを聞いて安心しました。ありがとうございました」


 女王様からの返答を聞いてその女性は安堵した様子で質問を終えた。


「他に質問はございませんか?……ありませんね」


 周りの人達は誰も手を挙げなかった。恐らく、ほとんどの人が気になっていた質問は先ほどの女性が代表してくれたから質問が無くなったのだろう。

 黒曜の騎士について質問しようにも、国から答えられる事はこれ以上無い。

 そう思ったが、若い男が手を挙げた。


「あの〜、女王様って彼氏とかいるんすか?」


 チャラそうな男が今全く関係ないふざけた質問をした。イキってる男子高校生みたいなヤツって異世界にも居たのか。


 女騎士が鋭い眼光でその男を睨み、その迫力に圧倒された男は怯んだ。


「関係ない質問は控えてもらおう。女王様も暇ではないのだ!」

「ウ、ウッス。すんません……」


 女王様をナンパしようとした度胸だけは認めるが、相手が到底手の届かない高嶺の花である事を見破れないのは愚かだった。


「うわー、スゴい迫力。あの人、相当強そうじゃないか?」


 前々から気になっていたので、改めてエオルに小声で質問する。


「そうですよ。なにせ、トピエさんはティエスカの警備団長ですから」

「警備団長!?絶対強いじゃん!」


 警備団はティエスカを守る警察みたいな組織だ。見たところ二十代半ばなのに、その若さで団長とか相当な実力者に違いない。


「……それでは、わたくしはこれにて失礼します。皆様、ごきげんよう」


 トピエさんに注目している間に、女王様はトピエさんと共に帰られてしまった。

 報告会が終わったので民衆は次第に帰っていく。


「警備団長って普段は何をされてるんだ?」

「ティエスカ内で事件が起きてないか見回りをしたりしています。あとはティエスカ周辺の調査とか……。以前クラッシュボアが襲ってきた時は銀行強盗を捕えていて来れなかったらしいですが」


 あの時に来なかったのはそういう事情があった為か。

 というか異世界にも銀行強盗の概念ってあるのか。


「へぇ、そうなんだ。……じゃあ直接その人にマオウグンについて報告しようかな」

「えっ、本当ですか!?」

「国とも繋がりがあるし、部下にも強い兵を従えているならマオウグンの調査も手伝ってもらえそうじゃん?マーレスに頼むよりも確実だなって思ってさ」

「そうですか……。トピエさんはしばらく城に居ると思うので、昼頃からパトロールに行かれると思いますよ」


 外を歩いているなら、城まで行かずにその人だけと会話する事ができる。もし身分を明かすよう強要されても相手は一人なので逃げやすだろう。

 よし、昼頃になったらトピエさんを探そう。


「そうか。なら、先にスービエ村に行ってポーション買った方が良いな」

「あっ、馬車は後で店の前に運びますね」

「センキャクとバンライが来てくれるんだな。それじゃ、エオル。しっかり休むんだぞ」


 そして、エオルと広場で別れてから一人でプレイヤーまで歩いて帰った。

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