おねショタならず
門をくぐりティエスカの街に入り、大通りを通ってとある一つの開いていない魔道具店の前でエオルが馬車を停止させた。
「もしかしてここがエオルの店?」
「そうです。あと、申し訳ないのですが荷下ろしを手伝ってくれると助かります」
「了解。どこに下ろせばいい?」
「箱のまま店に出すので、店内に並べて置いてってください」
エオルが扉の鍵を開けてドアを全開にしているうちに、荷台に積まれていた木箱を全部ポーチに入れた。
「……今更だけど最初から入れとけば荷台軽くなって早く帰れたよな」
まぁ、下手にポーチに入れると盗んだと勘違いされたかもしれないしな。やらないのが正解か。
「あれ、木箱が全部無くなってる!?」
「全部ポーチに入ってるから安心して!」
俺はポーチの口をガバッと大きく開き、中に入っている木箱を見せた。
「……!スゴい空間ですねこれ。色んなアイテムや装備が……食べ物まで入ってますよ!?」
「中で混ざったりぶつかったりはしないし、これなら楽に運べるだろ?並べていくからレイアウトを考えてくれ!」
店内に入って扉を閉め、俺はエオルの指示に従って、木箱を置いていった。
「ふぅー、これで終わったー」
「お疲れ様でした!」
「これはモンスター避けに、こっちはポーションか。これってどこから仕入れてるんだ?」
「ここから離れた村で産業が盛んなので、そこの人達から買い取っています。一度に仕入れると安くなりますし!」
「そこは前の世界と同じなんだ。お、こっちには一つずつしか飾られてない貴重そうなアイテムがあるな」
どれもドロップ率が低くて入手困難なレアアイテムだ。
「……何だこれ?」
棚に並べられた内の一つに、全く見覚えのないアイテムがある。
「それは旅人さんから頂いたもので、かなり遠くの地方で取れる物だと聞いています」
「……そうか!ゲームでは無かったフィールドが存在しているのか!」
きっとそこには、見たこともないモンスターやアイテムがあるんだろうな……!ゲーマーとして興味が湧いてきた!
「決めた!俺はこの世界を探求し尽くす冒険者になる!」
「あ、あのっ!」
エオルが勇気を出して何かを言おうとしている。
「僕も、連れて行ってくれませんか!知らない景色を、この目で見たいんです!」
「連れて行きたいのはやまやまだけど……」
「戦闘面では役に立ちませんが、この世界に関する知識は豊富です!」
「……うーん」
こんなに判断を迷っているのには理由がある。
「エオルは男の子だし、一緒に旅するのは純潔が危ないかなって……」
「あ、僕は女ですよ」
「そう……え!?」
いやいや、声は高いと思ってたけどさ、サスペンダーの付いたズボンを履いてるし、どう見ても男の子だけど!?
「そんなに信じられないなら、触って確かめてもいいですよ」
「ど、どこを?」
「ついていないかどうかです」
そ、それってつまり股間の事を言っているのか!
「そう言って、合法的に自分のを触らせようって魂胆か?」
「ついてませんから、信じてください!」
「そこまで言うなら……」
仕方ない、ここは思い切って触ってみよう!
ポンッ
そこに、突起物は無かった。
「あー、確かにない……うわぁ、ごめんなさい、触ってしまって!」
無かったら無かったで別の事案だった!
「良いですよ。僕は相手に舐められないよう意図的に男性っぽく振る舞ってますから、見抜ける人はそうそう居ません」
そう優しく話かけられても、女の子のデリケートゾーンを触ってしまった後悔からへこんでしまう……。
「それで、ムクロンさん。僕を冒険の旅に連れて行ってくれますか!」
「うん……わかったよ……」
男の子じゃなくて安心した一方、「年下の女の子と旅をして良いんだろうか、犯罪じゃないんだろうか」、という疑問が自分の中で出てきてしまった。
でも、ちょうどいい。俺は女の子になって数時間の初心者だから、女子の生活というものについて教えてもらおう。




