変幻自在の侵略者
「なぁ、エイダ……。他の道は無いのか?あんなに楽しそうにしていたのに……」
「そうですよ!私の家に居た時も、「もっとティエスカに居たい」って言ったじゃないですか!」
エイダと戦いたくない俺とエオルは必死に説得を試みる。すると、エイダは一瞬迷ったような表情をしたが、またしても冷徹な目で俺達を見るのだった。
「無い」
そう冷たく言い放つエイダ。それを聞いて俺達二人は怯んでしまう。「戦うしかない」。その最悪の選択肢が脳裏をよぎった。
「先ほども言ったでしょう。この世界を滅ぼす事がマオウグンの使命だと。それを果たせなければ、私に存在価値は無いんです!」
すると、エイダの両腕が先ほどと同じく長くしなる枝へと素早く変化していった!くっ、またあの攻撃が来るのか!それも、同時に二本だと!?
「どうやら、本来の私が私を殺す為にあなたをここまで呼び出したのでしょうが……返り討ちにしてあげます!」
ビュビュンッ!
速いっ!しかも別方向から二本同時に!しかも、すぐ横にエオルが居るし守らないと……!
「バリアー!」
俺とエオルの周りを覆う狭いバリアを張り、二本の腕を同時に防いだ!バリアは便利だけど魔力の消費が激しいのであんまり使いたくないのだが、仕方ない!
「チッ!これが魔法の力ですか……!」
エイダは何度も何度も枝をぶつけて殴打しているがバリアは耐えてくれている。
「エオル……。俺はエイダと戦う事に決めた」
バリアに守られて安全が確保されているうちに俺の考えをエオルに伝えた。すると、エイダも自分の考えを俺に伝えてくる。
「こ、殺してはダメです!気絶させたりして……大人しくさせる程度でお願いします!」
「任せろ。最初からそのつもりだ。俺だって、侵略者だったとはいえ友人を殺すつもりはない。いろんな状態異常魔法を試すから、エオルも痺れ粉を使ってくれよ!」
「は、はい!わかりました」
ガンッ、ガンッ
枝が何度も何度もぶつかる音がしなくなったかと思うと、大きな音がどこからか鳴りだした。攻撃の仕方が変わったのだろうか。どこから聞こえるんだろう?
「なんだ……?」
パリィンッ!……ザクッ
「え……?」
その時、俺の背後のバリアが割れて背中を鋭い痛みが襲った。
「先っぽが斧になってる……!大丈夫ですかムクロンさん!」
「クソッ!」
すぐさま剣で背中まで伸びている枝を斬り、体に刺さった斧を引き抜いてからヒールをして治した。痛ェ……!黒曜の鎧を貫通するとは、なんて威力なんだよ……!?
「なーんだ。魔法って案外大した事ないんですね」
見ると、中に入って来なかったもう片方の腕の先端はドリルの形になり回転しており、正面から削って穴を開けて中に侵入しようとしていた。
「あの腕、なんでもアリかよ……!」
「ムクロンさん、後ろ!」
「どうした!?」
振り返ると、バリアに侵入した枝の断面が次第に槍のように鋭くなり、ゆっくり俺達めがけて伸びて来ていた。
「マズイ。このままじゃ逃げれない……!バリア解除!」
フッ……
バリアが消えたのに合わせて、俺は剣を構えて二本の腕を撃退しようとする!
「伏せろエオル!」
「はっ、はい!」
スパスパッ!
即座にエオルにはしゃがんでもらってから、剣を振ってエイダの両腕を再度切断した。
「うぐあっ……!!」
反撃をくらって苦しむエイダ。よし、今がチャンスだ!
「エイダごめん!"放電"!」
バチバチッ!
「きゃああああ!!!」
状態異常を効きやすくする為には弱らせる必要がある……!すまないエイダ。少しの間我慢していてくれ!
「弱らせたら通用するはず……!睡眠魔法!麻痺魔法!気絶魔法!」
右腕をまっすぐエイダに向けて伸ばし、次々といろんな状態異常の魔法を唱えていく!
「僕も……ごめんなさいエイダちゃん!」
エオルもポーチや体のあちこちに隠していた痺れ粉入りの球を投げて追い討ちをかける。たくさん魔法をかけたお陰か、エイダはその場で動かなくなった。
「気絶したか……?」
確認しようと顔を見るために近付く。すると、エイダはフラフラとゆっくり動き始めた。
「き、気持ち悪いですね……!」
「ウソッ。効いてないだと……!?」
なんて事だ。やり過ぎなくらい魔法をかけたのに少し痺れている位しか効いていない。この量だと、人はおろかボスモンスターですら効果が出るはずだぞ!
「ハァ、ハァ、無駄でしたね。どうです?これでもまだ私を捕えるつもりですか?」
すぐに痺れが回復していっている。このままだと、またさっきと同じ戦いが始まる……!こっちも本気をださなきゃ、下手をすると殺されるし、エオルだって守れない!
「すまないエイダ……!手荒な真似をさせてもらうぞ」
ここからは強力な攻撃魔法も使う事に決めた。エイダを傷付けるのは心苦しいが、状態異常にならない以上、攻撃して弱らせて捕まえるしかない!
「ムクロンさん……!」
「死んでなきゃ回復魔法で治せる!」
俺を捕えようと斬りかかってきたマーレスもこんな気持ちだったのかもしれない。ただ、死んだ人間はどうやっても生き返らないから気を付けないとな。
「ハァ、ハァ…………。それじゃ、私も本気を出しますか……」
え……?今のは本気じゃ無かったのか……?そんな、これ以上強くなったら俺だって勝てるかわからないぞ!
「……よくわからないけど、させるか!」
すばやく剣でエイダに斬りかかったが、腕を伸ばして上に避けられ、近くにある木の枝の上まで逃げられた。
「フゥ〜〜〜〜〜」
なにか集中している様子のエイダ。あれ?なんか体が徐々に大きくなっていっているような……。いや、違う。大人になっていく……!?
「え……?成長した!?」
「エイダちゃんが僕より歳上に……!?」
さっきまで一十歳前後の見た目だったのに、いきなり一十八歳頃の少女まで成長したエイダ。面影はあるが顔付きは大人びている……。しかも、服まで一緒に大きくなってるんだけど……どういう原理なんだ????
幼女キャラを成長させるという大罪を犯しました




