表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/107

第49話 倒れるエイダ

「めっちゃ美味しい〜!」

「ですね〜!」

「さっすが姉さん!」

「そ、そんなに褒められると照れるわね……」


 シェーナさんも含めたみんなでクッキーを取っていき、和やかな雰囲気で話をする。

 俺もエオルも、今が仕事中なのをついつい忘れてしまう。


「そういや、禁断の果実について調査するって国が言ってたけど、なにかわかったのかな?」

「オレが昨晩、城を訪れて伺った時に聞いた時点では、研究者達は全く未知の物質だと言ってました。新種の植物なのか、それともこの世界の物じゃないのかなど、研究を進めて探るようです」


 マーレスが聞いていてくれたらしく、知っている事を教えてくれた。よしよし、俺こと黒曜の騎士は表立って行動できないから、引き続きマーレスを情報源にしよう。

 ……待てよ。情報を得るために異性と仲良くなるとか、情報を盗りにきたスパイかよ俺は。


「へぇ、()()()()()かー。一体この世界で何が起きてるんだろ……」


 俺やエイダといった異世界の人が現れたタイミングで、未知の異変が起こっている。

 ―――そこに何か関係性を疑わずにはいられない。


「安心してくださいムクロンさん!少なくともドラゴンキングはオレが見つけて倒しますから!」

「う、うん。頑張ってね!」

「ありがとうございます!」


 スゴいやる気だ。この調子だと調査団の任務は見つかるか、諦めるにしてもしばらくはかかるだろうな。頑張れー。


「それに、なんでこのティエスカが狙われているのかしら。早く原因がわかるといいんだけど……」

「僕も、商品を仕入れに森を通るのが少し怖いです」


 シェーナさんもエオルも内心怯えているんだな……。

 よし、決めた。俺も今度、あの森で見た人影を調査して捕まえて懲らしめてやろう。なんでそんなにティエスカを狙うのかも聴きださなきゃな。

 まったく、そもそも犯人は一体どんなヤツでどこに潜んでいるんだろう?


 ポトッ――


 その時突然、エイダがクッキーを床に落とした。


「うっ、うあああああ!!!!」


 そして、頭を抑えて苦しみだした。


「どうしたの?」

「大丈夫か?」


 シェーナさんとマーレスが心配してエイダに駆け寄った。

 えーっと、俺は何をすればいいんだ。あぁ、パニックになる。

 そうだ。みんなにエイダの今朝の具合を伝えよう。


「今朝から体調が悪そうにはしてたんです!……どうしよう!?」


 こういう時って何をどうすればいいんだろう。や、ヤバい。焦って頭が回らない。


「あのっ、僕の家に薬やベッドがあるので一度そこに連れて行きましょう!」


 エオルは一瞬慌ててたが、冷静に物事を考えて指示を出した。ナイスだ。


「マーレスさんとシェーナさんはワープを使えますよね?タンクさんの加工屋の近くに連れて行ってくれませんか?」

「わかったわ!なら、私はエイダちゃんと行くわね!」

「よし、じゃあオレは店長さんと!」


 エイダはシェーナさんと、マーレスはエオルと体を近付け、ワープの体制に入った。


 シュンッ――


「…………」


 二人一組になりワープしたので一度に四人いなくなり、さっきまでの騒がしさが嘘のように周りが急に静かになった。


「アワアワして何もできなかった。最年長なのに情けない……」


 しかし、ここでワープを使ったら実力のある冒険者だとバレてしまう。

 ……悔しい。子供が苦しんでるのに何もしてやれなかった。正体や力を隠しているばかりに、生身だとやれる事が減っちゃうのは玉に(きず)だな。


「エイダ、大丈夫かな?風呂で見た時は傷が無かったから病気が原因なのかな。でも、病気って魔法で治せるのか?少なくともゲームではそんなの覚えてないし……」


 ガチャ―


「こんにちはー。あの、ここって眠気覚ましってありますか?」


 棒立ちしてブツブツ呟いていると、店にやって来たお客さんに話しかけられた。


「は、はい!こちらにありますよ!」

「あれ、このクッキーはなんですか?」

「あ、これは……そう!クッキーを早いもの勝ちで差し上げているんです!お一つどうぞ!」

「あ、ありがとうございます」


 俺もエイダの元へと行きたいところだけど仕方ない。今俺ができる事は接客くらいだ。後で誰かが戻って来て報告してくれるのを待とう。


 俺が一人でつまみ食いしていたと思われたくない一心でクッキーをプレゼントしてしまったけれど、せっかく俺達の為に使ってくれたシェーナさんに申し訳ないな。


 帰ってきたら謝ろう。それと、ホウキとちりとりを使って床に落ちたクッキーの破片も掃除しておくか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ