倒れるエイダ
「めっちゃ美味しい〜!」
「ですね〜!」
「さっすが姉さん!」
「そ、そんなに褒められると照れるわね……」
シェーナさんも含めたみんなでクッキーを取っていき、和やかな雰囲気で話をする。
「そういや、禁断の果実について調査するって国が言ってたけど、なにかわかったのかな?」
「オレが昨晩、城を訪れて伺った時に聞いた時点では、研究者達は全く未知の物質だと言ってました。新種の植物なのか、それともこの世界の物じゃないのか……研究を進めて探るようです」
マーレスが聞いていてくれたらしく教えてくれた。けっこう役に立つなコイツ。俺こと黒曜の騎士は表立って行動できないから、コイツを情報源にしよう。……待てよ。情報を得るために異性と仲良くなるとか、俺は情報を盗りにきたスパイかよ!?
「へぇ、別世界の物かー。一体この世界で何が起きてるんだろ……」
「安心してくださいムクロンさん!少なくともドラゴンキングはオレが見つけて倒しますから!」
「う、うん。頑張ってね!」
「ありがとうございます!」
スゴいやる気だ……!この調子だと調査団の任務は見つかるか、諦めるにしてもしばらくはかかるだろうな。頑張れー。
「それに、なんでこのティエスカが狙われているのかしら。早く原因がわかるといいんだけど……」
「僕も、商品を仕入れに森を通るのが少し怖いです」
シェーナさんもエオルも内心怯えているんだな……。よし、決めた。俺も今度、あの森で見た人影を調査して捕まえて懲らしめてやろう!なんでそんなにティエスカに恨みがあるのかも聴きださなきゃな!
ポトッ
その時突然、誰かがクッキーを床に落とした。
「うっ、うあああああ!!!!」
えっ、エイダが頭を抑えて苦しみだした!
「どうしたの?」
「大丈夫か?」
シェーナさんとマーレスが心配してエイダに駆け寄った!えーっと、俺は何をすれば……そうだ!みんなにエイダの今朝の具合を伝えなきゃ!
「今朝から体調が悪そうにはしてたんです!……どうしよう!?」
こういう時って何をどうすればいいんだ!?や、ヤバい。パニックになって頭が回らない!
「あのっ、僕の家に薬やベッドがあるので一度そこに連れて行きましょう!」
エオルは一瞬慌てたが、冷静に物事を考えて指示を出した。ナイス!
「マーレスさんとシェーナさんはワープを使えますよね?タンクさんの加工屋の近くに連れて行ってくれませんか?」
「わかったわ!なら、私はエイダちゃんと行くわね!」
「よし、じゃあオレは店長さんと!」
エイダはシェーナさんと、マーレスはエオルと体を近付け、ワープの体制に入った。
シュンッ
「…………」
二人一組になりワープしたので一度に四人いなくなり、さっきまでの騒がしさが嘘のように周りが急に静かになった。
「……アワアワして何もできなかった。最年長なのに情けない…………」
しかし、ここでワープを使ったら実力のある冒険者だとバレてしまう。……悔しい。子供が苦しんでるのに何もしてやれなかった。
「エイダ、大丈夫かな……?風呂で見た時は傷が無かったから病気が原因なのか?でも、病気って魔法で治せるのかな……?少なくともゲームではそんなの覚えてないし……」
ガチャ
「こんにちはー。あの、ここって眠気覚ましってありますか?」
棒立ちしてブツブツ呟いていると、店にやって来たお客さんに話しかけられた。
「は、はい!こちらにありますよ!」
「あれ、このクッキーはなんですか?」
「あ、これは……そう!クッキーを早いもの勝ちで差し上げているんです!お一つどうぞ!」
「あ、ありがとうございます」
俺も行きたいところだけど……仕方ない、今俺ができる事は接客くらいだ。後で誰かが戻って来て報告してくれるのを待とう。あと、ホウキとちりとりを使って床も掃除しておこう。




