第43話 弱点が公衆浴場のヤツら
近くの公衆浴場に到着したので、シェーナさんが番台さんにお金を払う。
「大人二人と子供一人です」
「はーい」
脱衣所に入ったが、俺は未だに言い訳を考えるのに必死である。
まだ現実感が無いのに裸の付き合いをする時間は着実に近付いているので緊張してきた。
なんだか試験を受ける時みたいだ。
「あのっ、トイレ行きたくなったので失礼します。先に行っててください!」
「わかったわよー」
今、チラッと下着姿のシェーナが見えたが、その破壊力は十分にスゴかった。
これより上に第二形態を残しているのか。それを見ちゃったら、俺は一体どうなってしまうんだ?
脱衣所にあったトイレに駆け込み、せっかく個室に入ったんだし落ち着いて考える。
まず、俺の女性への耐性の無さは自分の体を見る事である程度改善された。
まだ他人の体を見て鼻血を出す事はあるが、シェーナさんの裸は二次創作といえど何度も見てきた。だから、どんなにセクシーでもきっと耐えられるはず。
「……いくぞ」
トイレを終えて戻ってきたが脱衣所に二人の姿はない。どうやら、もう浴場に入ったようだ。
俺も脱いで入りに行く。
浴室に来たが、やっぱり夜なのもあって人が多かった。
ひとまず目を逸らして視界に入れないようにしつつ、掛け湯してシェーナさんを探そう。
あっ、お湯に二人が浸かっているのが見えた。
隣に居るエイダと話していて気付いていないようなので、近付いて話しかけにいく。
「シェーナさーん、今来ました!」
「あら、ムクロンちゃん!その、エイダちゃんの様子が」
シェーナさんの上半身が思いっきり視界に入ってきた。
「あ、あわわわわ!」
「どうしたのムクロンちゃん、鼻血が吹き出てるわよ!」
予想を遥かに上回るスーパーダイナマイトセクシーボディーは、俺に効果バツグンだった。
あまりに刺激が強過ぎて過去一番の量の鼻血が出てきた。
「あ、あついです……!」
ふと隣に居るエイダに目をやると、入ったばかりなのにもうのぼせていたようで、力無くぐてーっとしており、座るところにもたれかかっていた。
「どうしましょう。二人とも熱いお湯にやられちゃったのかしら!」
「大丈夫ですシェーナさん!私がエイダを連れて外に出ますから、心配せずにゆっくり浸かっててください!」
この場に居ては俺もエイダも身が保たないと判断し、エイダを抱っこしてお湯から出て、早歩きで脱衣所に戻った。
「ふぅー。危うく出血死するところだった……。おーい、体調はどうだ?」
「すずしいところに行きたいです……」
「そうか、わかった」
子供を全裸で外に出す訳には行かないので、俺は手のひらをエイダに向けて、氷魔法と風魔法を合わせたハンディファンのような風力の冷たい風を浴びせた。
「あ〜〜、生き返ります〜〜〜〜」
「さっきお湯苦手って行ってたけど早過ぎないか?一分くらいしか浸かってないだろ」
「体質的にお湯が苦手なんです。水なら大丈夫なんですけど……。あ、回復してきました。ありがとうございます。鼻血は大丈夫ですか?」
「ヒールで治したから平気。にしても、シェーナさんデカかったなぁ……」
その時、心配して来てくれたのかシェーナさんが脱衣所に入って来た。
俺がたくさんの魔法を使えるオールラウンダーだという事がバレたくないので咄嗟にエイダに浴びせていた風を止めた。
「あっ、シェーナさん!?」
再度その体を見たら、またポタポタと鼻血が出てきてしまった。回復魔法を使えるのも隠したいので、鼻を手で抑えておく。
「二人とも、大丈夫なの?」
「いやー、お湯で血行がよくなったからかもしれません!それと、エイダもお湯が苦手らしいので、今日はお風呂に入るのをやめておきます!」
「そ、そうなのね」
「シェーナさんは私達に構わず入っていってください。料金は今度返しますから!」
俺はそそくさと着替え、同じく着替えを終えたエイダと共に出口へと向かい始めた。
「残念だけど、今日はここでお別れね。エイダちゃん、ティエスカに居る間にまた会えたら良いわねー!ムクロンちゃん、またお出かけしましょうねー!」
「アハハ!今日は本当にありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
……名残惜しいけれど、一緒に風呂に入ると鼻血を出して迷惑をかけちゃうから仕方ない。
いつか耐性がついたら、今度は一緒に風呂に入りたい。




