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第42話 お揃いのストラップ(色は別)

 レストランを出た後も、俺達三人は引き続き街を散歩した。おやつの時間に手で持って食べ歩けるチョコレートのお菓子を食べたり、美術館で貴重なアイテムを見たりと()()()()をめちゃくちゃエンジョイした。


 結局、当初の目的だった「シェーナさんと会話して男性の心を思い出す」という目的は失敗して、完全に女友達同士の距離感になっていたが……楽しいからどうでもいいや。


「ねぇ、記念に三人でこのアクセサリー買わない?」

「わぁ……!とってもキレイです!」


 日も落ちて夕方になった頃、立ち寄ったお土産屋さんで様々な色の結晶が紐の先に付いている、ストラップをお揃いで買おうという話になった。


「たくさん色があって選び放題ね。私は青にしようかしら」

「じゃあ、私は緑にします」

「うーむ、こういうの悩むんだよなー」


 優柔不断なので、こうも選択肢が多いと逆に迷う。名前を考える時もそうだが、選択肢が無限にあると悩み過ぎてしまう。

 赤色がたくさん置いてある。こんなにあるって事はおそらく人気なんだろう。売れ残りという可能性もあるが。


「私は赤で!あっ、ここは私が奢ります!」


 先手必勝。誰より先に払いに行く事でシェーナさんのご好意を封じてカッコつける事ができた。

 まぁ、値段はステーキとは比べ物にならないほど低いのだけれど。


「ありがとうございます!……死ぬまで大切にします」


 エイダはストラップをどこかしみじみとした表情で眺めてから、そっと懐にしまった。


「そうだ。もうすぐ夜だしディナーを食べに行きましょう」

「シェーナさん!次も私が奢りますからね。お金はあるのでどこでも良いですよ!」

「あら、本当?なら、私の行きつけにお店に行きましょうか」


 俺達三人は西洋料理が食べられるレストランに行き、シェーナさんはグラタン、エイダはパスタ、俺はラザニアを食べた。

 ピザなどは頼まずそれぞれ一品ずつだったが、お菓子を先に食べていたので、全員ちゃんと満腹になってお店を出た。

 値段はお手頃なのにとても美味しかったので、シェーナさんのような常連のお客さんが多いという話も(うなず)ける。


 外に出ると空には綺麗な星空が広がっており、夜風が少し寒かった。


「いやー、気付いたらもうこんな時間かー。シェーナさん、今日は本当にありがとうございました!」

「すみません!私の為に一日中付き合ってもらって」


 朝から始めて、半日くらいは三人で歩いた。最推しのシェーナさんとも仲良くなれたし、最初はシェーナさんを奪われたから恨んでいたエイダとも仲良くなれたので、サイコーの休日だった。


「うふふっ、構わないわよ。私も地元の魅力を再発見できてとっても楽しかったわ。……最後に、みんなでお風呂に入りましょう?」

「ですねー。……って、えええええ!?」


 お風呂だって?えっ。一緒に、シェーナさんとお風呂……?

 そ、そんなのエッチ過ぎる。夢じゃないよな……?


 両手で同時に左右のほっぺたを叩いたが、しっかり痛い。これは夢じゃない、現実だ。

 やった。最推しと一緒に風呂に入れる日が来るなんて夢のようだ。あぁ、神様ありがとうございます。


「ムクロンちゃん、いきなりどうしたの……?」

「な、なんでもありませんよ〜、行きます。案内してください」


 シェーナさんから不審な目で見られたが、キリッとした表情で、堂々とそう言い放った。

 罪悪感や躊躇など要らない。「ここで帰るのは不自然じゃないか。せっかく誘われたんだし断るのも失礼だろう」と自分に言い聞かせる。


 自分はあくまで女友達として一緒に風呂に入るのだ。TSして女性になった事を悪用している訳では断じてない。


「え、えぇ。行きましょうか。多分だけど、ムクロンちゃんが普段行っているのとは別の場所よ」

「わ、私も熱いお湯は苦手ですけれど、せっかくなので付いていきます!」


 そうして、俺達は公衆浴場へと向かった。

 道中も、俺は「自分がシェーナさんと風呂に入る事の正当性」を示す為にめちゃくちゃ多くの理由……言い訳を考え続けていた。

 

 こんなに幸せな事が起こると逆に怖い。明日は槍が降るんじゃないだろうか?

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