お揃いのストラップ(色は別)
レストランを出た後も、俺達三人は引き続き街を散歩した。おやつの時間に、手で持って食べ歩けるチョコレートのお菓子を食べたり、美術館で貴重なアイテムを見たりとめっちゃ楽しかった。
結局、当初の目的だった「シェーナさんと会話して男性の心を思い出す」という目的は失敗し、完全に女友達同士の距離感になってたけれど、まぁ楽しいからいいや。
「ねぇ、記念に三人でこのアクセサリー買わない?」
「わぁ……!とってもキレイです!」
もう日も落ちて夕方になった頃、立ち寄ったお土産屋さんで様々な色の結晶が紐の先に付いているストラップのような魔道具を、お揃いで買おうという話になった。なんか修学旅行でご当地のキーホルダーをみんなで買う感覚と似ている。
「たくさん色があって選び放題ね。私は青にしようかしら」
「じゃあ、私は緑にします」
「うーむ、こういうの悩むんだよなー」
優柔不断なので、こうも選択肢が多いと逆に迷ってしまう。……赤がたくさん置いてあるな。こんなにあるって事はおそらく人気なんだろう。
「私は赤で!あっ、ここは私が奢ります!」
先手必勝。先に言って置く事でシェーナさんのご好意を封じてカッコつける事が出来た。まぁ値段はステーキとは比べ物にならないほど低いのだけれど。
「ありがとうございます!……大切にします」
エイダはストラップをどこかしみじみとした表情で眺めてから、そっと懐にしまった。
「そうだ。もうすぐ夜だしディナーを食べに行きましょう」
「シェーナさん!次も私が奢りますからね。お金はあるのでどこでも良いですよ!」
「あら、本当?なら、私の行きつけにお店に行きましょうか」
そして、俺達三人は西洋料理が食べられるレストランに行き、シェーナさんはグラタン、エイダはパスタ、俺はラザニアを食べた。ピザなどは頼まずそれぞれ一品ずつだったが、お菓子を先に食べていたので、全員ちゃんと満腹になってお店を出た。値段はお手頃なのにとても美味しかったから、シェーナさんのような常連のお客さんが多いという話も頷ける。
外に出ると空には綺麗な星空が広がっており、夜風が少し寒かった。
「いやー、気付いたらもうこんな時間ですねー!シェーナさん、今日は本当にありがとうございました!」
「すみません!私の為に一日中付き合ってもらって」
いやー、朝から始まったから半日くらいは三人で歩いていたのか。最推しのシェーナさんとも仲良くなれたし、最初はシェーナさんを奪われたから恨んでいた同じく異世界出身のエイダとも仲良くなれたし、サイコーの休日だったなぁ。
「うふふっ、構わないわよ。私も地元の魅力を再発見できてとっても楽しかったわ。……最後に、みんなでお風呂に入りましょう?」
「ですねー。……って、えええええ!?」
おっ、おおおおお風呂だって!?一緒に、シェーナさんとお風呂!?そ、そんなのエッチ過ぎる!夢じゃないよな……?
パンッ!
両手で同時に左右のほっぺたを叩いたけどしっかり痛い。これは夢じゃないぞ……!やったああああ!最推しと一緒に風呂に入れる日が来るなんて、神様ありがとう〜〜〜!!
「行きます。案内してください」
キリッとした表情で、堂々とそう言い放った。罪悪感や躊躇など要らない。「だって、ここで帰るのは不自然じゃないか。せっかく誘われたんだし断るのも失礼だ」。そう自分に言い聞かせる事にした。
そう。自分はあくまで女友達として一緒に風呂に入るんだ。決してTSして女性になった事を悪用している訳ではない。人間性を疑われはするだろうが、犯罪にはならないはずだ。
「え、えぇ。行きましょうか。多分だけど、ムクロンちゃんが普段行っているのとは別の場所よ」
「わ、私も熱いお湯は苦手ですけれど、せっかくなので付いていきます!」
そうして、俺達は公衆浴場へと向かった。その道中も、俺は「自分がシェーナさんと風呂に入る事の正当性」を示す為にめちゃくちゃ多くの理由(言い訳)を考え続けていた。
次回、お風呂回リターンズ




