高めのレストランに行こう
飯テロ回
その後、俺はエイダの発言を聞き漏らさない様に注意しながら、ティエスカの通りを歩いて店を回っていった。昨日行った図書館や、知らない武器屋に八百屋……。行った事の無い店がほとんどだったので、なかなか見応えがある時間を過ごした。
グ〜〜!
あっ、お腹が大きな音で鳴ってしまった。近くに居る二人に絶対聞かれたし恥ずかしい。朝に食べたのが腹持ちが悪いパン一つだけだからか、まだ昼前なのにもう腹減っちゃったな。
「あっ、すみません。お腹鳴っちゃいました」
「うふふ。実は私も、朝は慌ただしくてあまり食べてないの。ちょうどお昼になるし、それじゃあレストランに向かいましょうか」
「せっかく来たので、私はここの名産が食べたいです」
「そうねぇ。ティエスカの名産といえばスピードイーグルだけど……」
「えっ、初耳」
「近くの森に居る速い鳥ですよね?それ食べたいです!」
という訳で、俺達三人はレストランにやってきた。お店の中はオシャレな空間で、外の看板に書かれていたメニューは豊富だった。そこそこ高い店なので味にはとても期待できる!
四人用のテーブル席に座り、シェーナさんとエイダが並んで座り、俺はシェーナさんの向かい側に着席した。
「レストランに来たの久々かも」
「あら、ムクロンちゃんは普段自炊しているの?」
「昼はエオルに弁当をいただいたり、買ってきた物を食べてますね」
「へぇ、店長さんってとっても優しいのね」
うっ。エオルの好感度が上がってしまった。ここから上手く自分の好感度を保つ手段はないか?
「えーと、申し訳ないから今度からお昼ご飯も買おうかなー!」
「ダメよ。せっかく作ってくれたのに断るなんて。きっと、店長さんは一緒に食べたくて作ってくれてるのよ」
ぐああっ。誤った選択肢を選んでしまって好感度が下がってしまった。あぁ、そうだったのかー。女心って難しい……。いや、これってどっかというと弁当を作る親の気持ちに近いんじゃないか?
「あっ、私チキンステーキミニにします!」
俺とシェーナさんが話している最中に注文を決めたエイダがメニュー表をシェーナさんに手渡した。
「そうね。何にしようかしら……。私は、ドラゴン討伐を頑張ったご褒美にステーキのサラダセットにしちゃおうかしら。はい、ムクロンちゃん」
シェーナさんからメニュー表をもらい、写真とかそもほも存在しないので名前だけが書かれたメニュー表を読む。
しかし、この世界に来てレストランに入ったのは始めてだし、変なメニューを選んで失敗して苦手意識を覚えたくないのでここは安全策を取ろう。
「私はシェーナさんと同じ物を!」
…………そして、しばらく先ほどの探検について話しながら待っていると頼んでいた料理が席に届いた。
「うわー!スゴい美味しそう。そして熱そう!」
アツアツの鉄板の上に置かれたチキンステーキは表面が脂の反射によって光っておりとても美味しそうだ。いけないっ!見てるとヨダレが垂れてきた。みんなで同じで届いたから、挨拶してすぐに食べよう!
「「「いただきます!」」」
右利きなので、左手に持ったフォークで肉を抑え、右手に持ったナイフで肉を一切れ取り、口に運ぶ。
「はふっ!あっ、美味しい!」
口に入れた瞬間に肉の旨みが全体に広がり、コショウのスパイシーさも良いアクセントになっている!正直、この世界に来て食べた物の中で一番美味しい!アツアツなので舌を火傷した。こっそりヒールで治しとこ。
「どう、美味しいでしょ?熱いからエイダちゃんは少し冷ましてから食べた方がいいわね」
「はい。では、フー、フー。あ〜ん……。と、とっても美味しいです!」
ステーキを食べると、エイダは子供らしい純粋無垢な笑顔を見せた。やっぱ、子供は笑顔が一番だな。見ているとなぜか優しい気持ちになれる。
……そして、一緒に付いてた美味しいサラダも完食したし、他二人も食べ終わったのでお会計をしに出口に向かった。三人合わせた金額を言われたので、ここは俺が払って好感度を上昇させよう!
「あっ、私お金あるので払いますよ」
「待って、ここは私が奢るわ」
「シェーナさん!私、観光客なのに良いんですか?」
「気にしないで。エイダちゃんには、楽しい記憶だけ持ち帰って欲しいの」
「……!ありがとうございます!」
「私も、ありがとうございます!」
奢ってカッコつけたかったけれど、まさかシェーナさんに全額奢ってもらえるとは思ってなかった。実力のある冒険者だから結構お金持ちなのかな?……俺は転移した時に大富豪になったってのに、払わせてしまってなんか申し訳ないな。しかし、この優しさに俺は惚れたんだが。




