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第4話 さらば、異世界チーレムの夢

「いきなりどうされたんですか?地面に手なんか付けて!」

「あぁ〜〜!俺の「サ終する神ゲーに入って最強の冒険者になったのでハーレムします」計画が〜〜〜〜!!」

「お、落ち着いてください!」

「ちゃんと性別戻しておけば良かったのに、俺のバカ〜〜!」


 黒曜の鎧は最強装備だからどうせ着続けるし、そしたら顔隠れるから面倒だしアバターを戻さなくていいや、と思っていた三時間前の自分を殴りたい。

 こんなうっかりミスのせいでせっかくの異世界ライフが一気に台無しだ。


「ひぐっ……ぐすんっ……」

「とりあえず、お飲み物を飲まれてはどうです?」

「そうだね……」


 歳下の居る前で泣き出した挙句、励まされてしまった。 あぁ、我ながらなんて情け無いのだろう。

 とにかく、瓶を開けてオレンジジュースを飲みリフレッシュしよう。


「ゴクゴク……プハーッ!めっちゃ美味しい!この世界の食べ物のレベル高いな!」

「元気が出たようで何よりです!」


 ジュースを飲んだ事で落ち着いた事で、少年の前で泣いてしまった事に対して途端に恥ずかしくなった。


「――コホン。で、俺の話だっけ。あんなに叫んだからバレてるだろうしハッキリ言うけど、俺は別の世界から来た元男なんだ」


 この際、隠さずに言ってしまった。

 異世界系だと普通は隠すような、重要な事をアッサリと。


「別の世界っ、それに元男性!?一体どういう事ですか?あなたは、なぜここに来たんです!?」

「説明もなく突然飛ばされたし俺にもよくわからない。正直、帰りたいし」


 現実世界と同じで男性のままなら良かったけれど、女性として生きるのは俺は嫌だ。

 もし元の現実世界に帰れるのなら帰りたい。

 俺は女性が好きだから男なんて微塵も興味が無いのに。


「そうなんですか。でも、身につけている武器や装備はこちらの世界にある物と同じに見えますが」

「似た世界からやってきたからな。俺もこの世界の建物やモンスターは見覚えがある」

「すると、向こう側でも冒険者をされていたんですか?」

「あー…………うん。そうだよ」


 冒険者といっても、ゲームの中の話だけど。

 でも、これは話が複雑になるから言わないでおこう。


「スゴいです!こんな強い装備を持っているなんて!」

「う、うん。でも、向こうじゃ簡単にゲットできる物だったからあんまり褒めないでほしい。なんか罪悪感が湧いてくる」


 命の危機が身近にあるこの世界ではなく、何回でも生き返れるし、痛覚もないゲームで入手した物だ。努力せずに手に入れた事に対して後ろめたさを強く感じてしまう。


「こんなレアアイテムが簡単にゲットできるなんて、その世界、商人として憧れます!」


 この少年、商人をしているのか。どう見ても中学生だから児童労働になりそうだけど、異世界だから許されるのか?


「その歳で仕事をしているとか偉いなー」

「僕はアイテムを集めるのが好きなんです!」

「アイテムか。そういえば、木箱の中にたくさんアイテムが入ってたよな。」


 助けた時に荷台の中を覗いたのだが、中には多くの木箱が入っていた。


「さっき生産者さんから直接から直接仕入れたものです」

「重そうだなー。でも、このポーチに入れればまとめて持ち運べないか?」


 全てのアイテムを縮めて運べる便利なポーチがあるのにわざわざ荷台を使っているのには、なにか理由があるのだろうか。


「このポーチはなんですか?見た事ないです」

「ここにアイテムを仕舞っておけるんだよ。ほら、剣とか取り出せる」


 少年が見ている前でポーチに手を突っ込んで剣を取り出して元の大きさに戻す。


「うわあっ、本当に剣が出てきた!物理的にどうなってるんですか?」


 それを見た少年はとても驚いていた。このリアクションの仕方から考えると、このポーチはこの世界に存在していないようだ。

 なら、これも「神様から与えられたチートの一つ」って事になるのか。


「じゃあ、これはこの世界にないアイテムなのか」

「スゴいアイテムですね、後で見せてください!」

「後で?あぁ、そうか。ここ戦闘エリアだった」

「ヤツらの仲間が来ないうちに、ティエスカに向かいましょう。ささ、荷台に乗ってください!」


 モンスターが襲ってくる危険なエリアから抜け出すべく、少年は馬をコントロールする為に手綱を握り、俺は荷台に乗った。

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