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さらば、異世界チーレムの夢

 「い、いきなりどうされたんですか!?地面に手なんか付けて……!」

「あぁ……ああ〜〜!!俺の……俺の「ゲームから引き継いだ力でハーレムします!」計画が〜〜〜〜!!」

「お、落ち着いてください!」

「ちゃんと性別戻しておけば良かったのに、俺のバカ〜〜!!」


どうせ黒曜の鎧着るから顔隠れるんだし、面倒だから戻さなくていいや、と思っていた自分を思いっきり殴りたい!


「ひぐっ……ぐすんっ……」

「と、とりあえずお飲み物を飲まれてはどうです?」

「そうだね……」


ポーチに手を突っ込んで、ゲームで見た時からずっと美味しそうだと思っていたトロピカルジュースを取り出して飲む。


「ゴク……ゴク……プハーッ!めっちゃ美味しいこれ!この世界の食べ物のレベル高いな!」

「元気が出たようで何よりです!」


ジュースを飲んだ事で落ち着いて、さっきとのテンションの落差が激しい事を自分でも理解したし、それと同時に大人なのに少年の前で泣いてしまった事にも気が付いて恥ずかしくなった。


「コホン。で、俺の話だっけ。まぁあんなに叫んだからバレてると思うし言うけど俺、別の世界から来た元男だから」

「別の世界、それに元男性!?……なら、なぜここに来たのですか?」

「突然説明もなく飛ばされた俺にもよくわからない。正直、帰りたいし」


現実世界と同じで男性のままなら良かったけれど、女性として生きるのは俺は嫌だ。もし元の現実世界に帰れるのなら帰りたい。だって、男に好かれるとか絶対に嫌だし!俺は女性が好きなのに〜〜!!


「そうなんですか……!でも、身につけている武器や装備はこちらの世界にある物と同じに見えますが」

「似た世界からやってきたからな。俺もこの世界の建物やモンスターは見覚えがある」

「すると、向こう側でも冒険者をされていたんですか?」

「あー…………うん。そうだよ」


冒険者といっても、ゲームの中の話だけど。


「スゴいです!こんな強い装備を持っているなんて!」

「う、うん。でも、向こうじゃ簡単にゲットできる物だったからあんまり褒めないでほしい。なんか罪悪感が湧いてくる」

「それは、たくさんあるって事ですか!?その世界、商人として憧れます!」


この少年、商人をしているのか。どう見ても一十代だけど、まぁそこはファンタジーだし気にしないでおこう。


「その歳で仕事をしているとか偉いな〜」

「アイテムを集めるのが好きなんです!」

「アイテム……そういえば、木箱の中にたくさんアイテムが入ってたけど、このポーチにいれればまとめて持ち運べないか?」


全てのアイテムを縮めて運べるポーチがあるのにわざわざ荷台を使っているのには、何か理由があるのだろうか。


「このポーチは……見た事ないですね」

「ここにたくさんしまっておけるんだよ。ほら、剣とか取り出せる」

「うわあっ、本当に剣が出てきた!物理的にどうなってるんですか!」


このリアクションの仕方、もしかして、このポーチはこの世界に存在していないのか。


「じゃあ、これは向こうの世界だけにあるアイテムだな」

「スゴいアイテムです!後で見せてくださいね!」

「後で?……そうか。ここって戦闘エリアだった」

「ヤツらの仲間が来ないうちに、ティエスカに向かいましょう!ささ、荷台に乗ってください!」


俺は馬車の木箱がたくさんある場所に乗り、馬をコントロールする為に前で手綱を握っている少年の後ろに立った。

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