みんなの今日の予定は?
「それでは、これにて国からの報告を終了いたします。皆さま、ごきげんよう」
シュンッ
閉会の挨拶をした女王様は、また女騎士と共にワープして民衆の前からお姿を隠された。その場から居なくなられたのに、人々は未だ余韻に浸っている。
「スゴい美しさだった……思わず見惚れてた」
「僕もです……!」
この喪失感は、美術館から出た後に似ている。まるで素晴らしい芸術品を見た後のような気持ちだ。可愛くて萌えるのではなく、ただただ美しい。
そして、女王様が居なくなられた後、集まっていた群衆も続々と広場を離れ始めた。
「ムクロンさーん!オレ、調査団員を命じられましたー!」
うっ、マーレスのヤツが手を振って俺に駆け寄ろうとしてくる。自慢話を聞かされそうだなぁ……。
ガシッ
「マーレス様。さっそく出発するので行かないでください」
おっ、壇の後ろに居たボディーガードの人に肩を掴まれて抑えられた。ナイスだ。よくやった。
「えっ、もう行くんですか?」
「えぇ。国民の安全を確保する為にも急がないといけません」
「そうですよね……わかりました」
どうやら、マーレスは今すぐにドラゴン達の住処がある森まで行くらしいな。じゃあ、またしばらくは会わないって事か!やったー!
「マーレス!頑張ってくるのよー!」
「姉さんも気を付けてー!」
シェーナさんに見送られて城へと歩いていくマーレス。
さて、これからどうしよう。とりあえず、今日は仕事があるから魔道具店に戻って働くか。
「シェーナさん。私はこれから仕事があるので帰ります。案内はまた別の日にお願いします!」
「わかったわ。お仕事頑張ってね!」
よーし、励まされてめったゃやる気出てきたぞー!あっ、待てよ。シェーナさんとどうやって会えばいいんだ?弟のマーレスが居れば連絡は取りやすいけれど、俺はシェーナさんの家の場所を知らないし、王都はかなり広いから、下手するとなかなか会えない事もあり得るぞ?
「えっと、明後日休みなんですけどその日に店の前で待ち合わせしませんか?」
「ごめんなさい。その日は友人と出かける用事があるの」
「そ、そうですか……」
くっ、予定が合わなかったか。というか、異世界ってメッセージアプリとか無いし連絡手段が少なくて不便過ぎる!えー、もしかしてデート出来るのは当分先になるんじゃないか?
「じゃあ、今日行くのはどうですか?」
エオルがそう提案した。
「えっ、でも今日は仕事が……」
「最近頑張ってくださったので今日は休んでいいですよ」
「エオル……!ありがとう!」
よっしゃー!エオルが朝のドラゴン退治のお礼に気を利かせてくれて、今日は仕事が休みになったー!で、でも喜ぶのはまだ早い。まだデートできると決まった訳じゃないし、シェーナさんの予定を聞かないとな!
「シェーナさん、本日の予定は空いていますか?」
「空いてるわよ」
「やった!それじゃあ、今から街の案内をお願いしてもいいですか?」
「いいわよ。私も、改めてティエスカの魅力を再発見しようかしら」
「ありがとうございます!」
キター!シェーナさんと二人っきりでデートが出来るー!マジで最高。推しとデートとか人生で一番嬉しい出来事かも!あぁ、生きてて良かったー!
「それでは、僕は開店の準備をするので失礼します。ムクロンさん、楽しんできてくださいねー!」
エオルが手を振って店の方へと帰っていった。って事は、シェーナさんと二人っきり……!あー、また緊張してきた!やばい、嬉し過ぎてニマニマが止まらない!もう、こんな顔見られたら気味悪がられちゃうよー!
一話あたりの文字数が一千五百文字ほどなのですが、これは毎日投稿出来るちょうどのラインだからです。




