第36話 我が国の王女様は完璧である
「こ、この方が王女様……!」
ゲーム内の設定ですら絶世の美少女と書かれていたのに、実際に見ると美し過ぎて見惚れてしまった。
この方には何をするにも畏れ多いと感じてしまう。まさに、生まれながらにしての女王様。雰囲気が我々庶民とは比べ物にならないほど気高い。
「わぁ……!」
シェーナさんもエオルも、周りの全員が女王様に釘付けになってる。
この感覚、偉大な芸術品を見ている時と同じだ。
「ごきげんよう皆様。ティエスカの女王、ペルフェッタです。先程起きた、離れた地に生息するモンスターがここ、ティエスカを襲うという異例の事件について我々が専門家や有識人と話し合って考案した対応策を発表いたします」
話し方も知性的だ。顔や地位だけのお姫様ではなくしっかりと教養も備わっているなんて、女王様は完璧なのか?
「以前に発生したクラッシュボアによる事件の際は、黒曜の騎士様がリーダー格と見られる個体を撃破した途端に他のモンスターは住処に帰っていきました。しかし、今回はドラゴンの群れは最後まで攻撃をやめず、黒曜の騎士様も同様に最後まで戦われていました。この事から考えるに、今回は他のドラゴン達に指示していたと見られるボスはこの場に来ておらず、元々の住処に留まっている可能性が高いです」
――スゴい。国には報告してないのに全部わかっている。
「そのため、国はドラゴンのボスを調査し討伐するべく調査団を編成する事を決定しました。それに加え、モンスターが凶暴化している理由を調査するために周囲の警戒を強めて」
「あのっ!」
周りが集中してお声を拝聴している時に、マーレスがいきなり手を挙げて発言して壇の前に進み出した。
どうやら禁断の果実の存在を女王様に伝えるらしい。俺の代わりに説明を頼む。
「マーレス殿、何の用だ?」
女王様の隣に居る女騎士が警戒して剣に手をかける。
この人、先ほどドラゴンへの対処法を他の冒険者に教えていた人だ。
女王様の護衛を任されるほど偉い人だったとは。年齢はアラサーほどに見えるが、相当な実力者なのだろう。
「いえ、実は凶暴化の原因と思われるアイテムを入手致しまして……」
マーレスは懐から、俺が昨日手渡した禁断の果実を取り出した。
「……ふむ。見慣れない果物だが、これが原因だというのか?」
「私がこの目で見た訳ではありませんが、凶暴化したスライムを倒した者が、体内に入っていたこの果実を見つけたそうです。それに、あの黒曜の騎士もこの禁断の果実と呼ばれるアイテムが原因だと言っておりました」
「……なるほど。私が受け取ろう」
女騎士はマーレスから禁断の果実を手渡しで貰った。
「感謝します、マーレス様。城の方で預かり、調査に役立てますね。それと、調査団への参加を命じます」
「光栄に存じます」
「先程の戦いでは"飛行"を使用してドラゴン達と空で戦っておりましたし、空中戦をお願いします」
やるなマーレス。国の調査団には相当な実力者じゃなきゃ選ばれなさそうなのに、直々に命じられるとは。
マーレスが俺の方をチラッと見てきてたが、泣きそうなくらい悲しそうな顔していた。
……なるほど。再開したばかりなのに、またしばらく会えなくなるのが辛いのか。
だが、これでシェーナさんとのデートを邪魔するヤツがいなくなったので俺的にはラッキーだ。




