男のプライドを賭けた戦い
「とにかく、俺には深く関わらないでくれ。お礼しようなんて考えない事だな」
よし、これでヤツも諦めてくれるだろ。さぁ、剣を引っ込めてくれよ……!あれ、姿勢が変わらないな?むしろ真剣な雰囲気に変わったような気が。
「いいや、貴様が何を言おうと、お礼をしなければ気がすまない!」
シュバッ!
うわっ!コイツ、マジで斬りかかってきやがった!ととと、とにかくこっちも剣を取り出さなきゃ!
キンッ!
速い!だが、何とか剣でガード出来た。しかし、互いの剣越しに見合う膠着状態になってしまった。しかし、こっちが押されてる側だから徐々に疲れていく。
ギリギリギリギリ…………
「何の真似だ!力技でお礼しようとするなんておかしいだろ!」
「なら、貴様の住んでいる場所にフルーツを送るから住所を教えろ!」
「ふざけるな!こっちはプライベートは絶対に知られたく無いんだよ!ミステリアスキャラを貫きたいの!」
くっ、このまま見合っていても埒が明かない。だが、空に逃げてワープ可能エリアまで逃げようにも、魔法で煙玉を出すなどして隙を作らないと無理そうだな!しかし、マーレスは実力者だ。実戦はそれほど数をこなしていない俺にそんな隙が作れるのか?
「少し手荒だが、街に行けば治せるし押し通させてもらう!」
キンッ!
「お前ッ、その考え方はヤバくないか?」
そうか。前の世界と違ってここは回復魔法で即座に傷が治る世界。ケガに対する考え方がそれほど重たくないのか!まったく、異世界に住むヤツらの倫理観ってみんなこうなのか?まぁ、俺も気軽に自爆したりしてたしゲームでも無茶なプレイをしてたから否定出来る立場じゃないんだけど!
キンッ!
くっ。にしてもコイツ、無駄に強いな!実力はあるのに性格が難ありとか平成の二号ライダーみたいなヤツめ!
まだ大技を撃ってこないだけありがたいが、このまま防戦一方だといずれ弱い魔法くらいは撃ってくるかもしれない。なにかチャンスはないのか?いよいよ、こっちもマーレスを斬るしかないのか……?
「やめなさいマーレス!何をやっているの!」
その時、ドラゴン達が倒れている場所から大きな声が聞こえてきた。
「シェーナさん……!」
見ると、それは俺の最推しのキャラであるシェーナさんだった。戦いを止めようと、俺達の方に駆け寄ってきている。そして、シェーナさんに叱られたマーレスは剣を振るのをやめて慌てていた。
「あっ、えっと、これには訳があるんだ!」
「黒曜の騎士さんは私を救ってくれたのよ?その方に対して剣を振るなんてひどいわ!」
「ご、ごめん……」
そうか。さっきは遠くにいてよく見えなかったけれど、ドラゴン達の下に居た冒険者はシェーナさんだったのか。あぶねー、さっきは間一髪で助けられて良かったー!彼女の為なら目が回って吐きそうになるなんて全然許せる。
それにしてもマーレスのヤツ、シェーナさんとずいぶん仲良く話してるじゃないか?だいぶ距離が近いしお互い心を許しているような……。あれ、しかもさっき、マーレスはシェーナさんを大切な人って言ってたよな?おいおい、二人は一体どういう関係性なんだ!?ただの冒険者仲間とは思えないぞ!?
「――あっ、そうだ。今のうちに逃げよう。"飛行"!」
「あっ、おい待て!」
「ダメよ。行かせてあげて」
ふぅー、シェーナさんのおかげで何とかピンチから抜け出せた。しかし、二人は一体どんな関係なんだろう。ゲームでも仲良かったけど、確かただの冒険者仲間だったはずだが……。うーん、何か裏設定でもあったかな?何か大事なことを忘れてる気もする。いや、自分から記憶を封印して忘れたような……?
あっ、ティエスカに入ってきたしワープして帰ろう。早く帰らないとエオルが心配するだろうしな。今は、朝メシを食べる約束を果たす事を優先しよう。




