第31話 ドラゴンキングの行方
「……コイツらちゃんと死んでるよな?」
近くに倒れているドラゴンから、エオルへお土産としてドロップアイテムの牙を持ち帰りたいのだが、もし死んで無かったら近付いた時に噛まれてケガをする恐れがある。
ちゃんと倒せたか確認する為に、ドラゴン達に攻撃する。
「"薙ぎ払う雷"!」
攻撃したがピクリとも動かないので、どうやら一撃で倒せていたようだ。
よし、これで安心して牙を抜ける。
「すまなかった。それに、今回も貴様に頼ってしまったな」
マーレスが近くにやってきた。コイツ、さっきは容赦なくぶっ飛ばしやがって。確かに一刻を争う状況だったけどあのやり方はどうかと思う。
ったく、お姫様抱っこされた時はちょっとアリだと思ったけど、やっぱり嫌いだ。
「なにも剣でカッ飛ばさなくても良かったんじゃないか?」
「すまない。実は、オレの大切な人がドラゴン達に狙われていたんだ。だから、気持ちがはやる余り加減が出来ていなかった」
「大切な人……?」
えっ。俺以外にも居るのか、大切な人が。
でも俺、一目惚れされたし、お姫様抱っこまでされたから片想いされてるんじゃ……?
いやいや、なんで嫉妬してるんだ俺は。大切な人が何も恋人とは限らないし、友人か仲間の事を言ってるんだろう。きっとそうに違いない。
「ところで、貴様が倒したドラゴンの中にもキングは居なかったのか?」
「居なかったな。キングは他のドラゴン達と比べて戦闘能力が高いが、どれも手応えは変わらなかった」
キングを倒せていなかったという事は、この場には居なかったという事になる。
これは、今までには無かったパターンだ。
「基本的にキングは他の子分達と行動を共にするが、今回は居なかった。キングは子分だけをティエスカ襲撃に向かわせたのか?」
「なら、どこかに潜んでいるという事になるな。後でドラゴン達が住む森を調査を国にお願いしよう」
「そっちの方が俺が一人で探すよりも良いな。よろしく頼む」
なぜドラゴンキングは姿を現さなかったんだろうか。犯人が禁断の果実をドラゴン達の長老に食べさせたが老衰で動けなかった、といった理由があるのだろうか。
それとも、リーダーだけをわざと残して、子分だけを向かわせたのか?そもそも、犯人はなぜ王都ティエスカを狙う事に固執しているかも不明だ。
わからない事が多すぎる。犯人を捕まえない限り真実は見えて来ない。
「王都が少ない被害で守られたのは貴様のおかげだ。どうだ?オレ達、冒険者仲間とお祝いにパーティーでもしないか?」
前もお礼がしたいってしつこかったな。そう言われても、鎧を脱いだら正体がバレるからご飯なんて絶対に食べに行けないのに。
「すまないが、今回もお断りさせてもらう。俺は誰とも仲良くするつもりはない。じゃあな。またいつか、戦場で会おう」
まだ朝飯前だったから腹が減った。未だに目が回った時の気持ち悪さが抜けないが、戻ってエオルと朝ご飯食う約束があるので帰る。
「ん?」
帰る前に、マーレスの動きに反応して振り返ると、ヤツはなぜか剣を構えていた。もう敵は居ないのに、いきなりどうしたんだ?
「どうした?まだ何か敵が居るのか?」
「いや、もう敵は居ない。だが、オレはどうしてもお礼を受け取って欲しくてな」
「……まさか!」
もしかしてコイツ、俺を倒して連れ去り、強引にお礼しようと考えているのでは。
――礼に執着するあまり無礼になっている。
「要らないって何度も言ってるだろ。まったく余計なお世話だ。パーティーとか、人の多いところが全般が好きじゃ無いんだよ俺は」
「なら、どんなお礼なら喜ぶんだ貴様は」
「え〜〜?美味しいフルーツとか、高級フレンチとか?」
「なら、高級な店を予約して連れて行ってやろう。人が多いところが苦手なら、オレと二人きりでどうだ?」
慣れない高級レストランでエスコートしてもらうのは魅力的だが、結局顔を出さないといけないので無理だ。
それに、二人きりとか完全にデートだ。ドレス着てマーレスと飯食うとか想像したくもない。
コイツに正体がバレたら経緯を説明するのが面倒だから絶対にバレたくないので、なんとか話を振り切ってこの場から去らなければ。




