さよならホームラン
同時に空へと飛び立った俺達は、お互いの邪魔にならない様に二手に分かれ、ドラゴンに接近して技を撃つ。
「"電爆撃""電爆撃""電爆撃""電爆撃""電爆撃""!」
バチバチバチバチッ!
先ほどと同じ技を連発し、空に大きな雷の花火を上げていく!
「ふぅー、マーレスの様子は?」
気になって確認すると、マーレスは遠くの敵に「"高貴なる閃撃"」を当てて、近くの敵には素早く近付き、風魔法を纏わせた剣で攻撃していた。
「なるほど。あれだと肉体的には疲れるが魔力は温存出来るのか。俺も試そう!」
ポーチから剣を取り出して構え、素早く飛んでドラゴンに近付き、振り下ろす!
「"雷の牙"!」
バチッ!
弱点属性であり剣と組み合わせた攻撃は効果抜群だったようで、無事にドラゴンを撃破する事が出来た。
「さっきよりは魔力を使っていないし、これなら全部倒したとしても魔力切れにはならないだろう!」
ズバッズバッズバッ!
俺とマーレスは次々とドラゴン達を撃ち落とすべく剣を振るう。ドラゴン達はこちらにぶつかろうと向かってくるが、それを華麗に回避して攻撃をぶち込む。それを繰り返していると、気が付けば空にいるドラゴンの数は少なくなってきていた。
「もう少し……!あとは向こうに固まって俺達から距離を取っているヤツらか!」
残るドラゴンは一十体。しかし、完全に警戒されてしまっており俺達二人には近付いてこない。
「くっ、距離を詰められないか!」
こちらが向かおうとすると移動して逃げていく。そして、マーレスが休憩の為に地上に降りたので、俺も作戦を考える為に隣に降りた。
「ハァ、ハァ……どうする?貴様なら、何か有効な魔法を持っていたりしないのか?」
この言い方だと、マーレスも手の打ちようが無いということか。
「遠くから魔法を撃っても避けられるかもしれない。何かアイツらと距離を詰める方法があればいいのだが……」
しかし、"飛行"の移動速度を上げる補助魔法なんてあったか?……いや、確かあったな。異世界に来てすぐに使った方法が。
「"無重力"を使えば、素早く移動できて距離を詰められるだろう。しかし、これは制御が難しいんだよな」
初めて使った時はエオルが乗った馬車を助ける時だったが、あの時も素早く近付けはしたものの落下地点を細かくコントロールする事のが大変だった。それに加えて、今回はドラゴン達に次々と技を撃たなければならない。
「技の反動で反対向きに飛ぶだろうし、試した事がないからうまく出来るだろうか……」
その場で臨機応変に一瞬で対応しなきゃならないし、普段よりも考える事が多くて大変だ。何か他に良い案があればそっちにしたい。
「おい!あのドラゴン達、下にいる冒険者に攻撃しようとしているぞ!」
「なに!?」
くっ、仕方ない。腹を括ってやるしかないか!
「"無重力"!マーレス、俺をあっちまで飛ばしてくれ!今の俺は重さがゼロ、簡単に吹き飛ばせる!」
マーレスに押してもらった方がより早くヤツらに近付けるしここは協力を頼む!
「わかった!では。」
どうしたんだ?マーレスのヤツ、おもむろに剣なんか構えて。
「おい、まさか……!」
「行けっ!」
カキーン!
コイツ、剣の側面を当てて俺をバッティングしやがったー!
――ってか、はやっ!もうドラゴンが目の前じゃねーか!
「ぶつかるー!"雷の牙"!」
あぶねー!間一髪で技を撃って向きを変えて、ってまたドラゴンがすぐそこに!
「ひっ、"雷の牙"!」
あっ、また目の前に!
「"雷の牙"ーー!」
もー!目がまわるー!しかもめっちゃ忙しいー!
「"雷の牙"!……ぜぇ……ぜぇ……これで一十体撃破か!"無重力"解除!」
忙し過ぎて自分が何をしていたのかわからないけれど、気付いたら敵は全滅していた。あぶねー、解除しなかったらどこまでも飛んでいくところだった。
一度地面に着地して周りを見ると、どうやら他のドラゴン達も全部撃破されたようだ……。ウプッ、目が回って気持ち悪い。兜の中では絶対に吐きたくないから我慢しよう……。




