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第29話 ドラゴンの群れ VS 剣士二人

 めちゃくちゃ名残惜しいが、気持ちを切り替えて戦況を見る事にする。


「さてと、ティエスカの命運が懸かっているから、正に総力戦って感じだな」


 高い場所から戦況を見たのだが、他にも実力のある冒険者がドラゴンと戦っているようだ。

 だが、相手はドラゴン。困った事に空を飛ぶのだ。


 そのため、基本的にはみんなで協力して戦っており、魔法使いが飛んでいるドラゴンを撃ち落としたところを、剣士が倒す戦法とっている。


「皆、このように攻撃して撃ち落とせ!」


 一人の強そうな女騎士がそのやり方で戦うように冒険者達に指示を出していた。


 俺は飛べて火力が高いので、上空にいるドラゴンに近付いて大技を撃ち、下に落とす役割に就く。


 一撃で倒してしまうのが一番良いが、なにせ数が多い。 ずっとオーバーキルしていては魔力切れを起こしてしまうので、ちょうど撃破出来る良い塩梅の魔法を見つけたい。


「グギャアァァァ!」


 早速ドラゴンが突っ込んできた。とりあえず、この技が通用するか試そう。


「"電爆撃(ボルト・ボム)"!」


 撃ち出した球がドラゴンに当たると、強力な雷のエネルギーが全身を襲い大ダメージを与える。


 地面に落下し、ぴくりとも動かなくなったので一撃で倒せたようだ。弱点属性なのもあってワンパンできたが、これでもやや魔力を消耗してしまった。

 まだドラゴン達は四十匹近くも空に残っている。


「そうだ。クラッシュボアの時のように、早くドラゴンキングを見つけだして倒せば、他のドラゴン達も洗脳が解けて元いた住処に帰る。それならわざわざ戦わずに済むな」


 だが、どうやれば見つけられるだろうか。これまでのキング達は他と比べると、「強い」という特徴と別に、「大きい」、または「賢い」という二つの特徴があった。

 クラッシュボアやスライムの時みたくバスの見た目が違っていればすぐにわかるし見つけやすいのだが。


「うーん……。どれも同じに見えるな」


 飛んでいるドラゴン達に一通り目を通したが、見るからに大きいヤツはいない。

 キングが賢いパターンか。見た目でわからない以上、探すのが面倒だ。

 ――わからないなら全員倒してしまおう。実に脳筋な発想だがこれが一番速い。


 空に飛んでいるたくさんのドラゴンを一人で倒さないといけないのは、少し骨が折れそうだ。

 誰か他に空飛べる冒険者が居れば助かるんだが。


「"高貴なる閃撃(ノーブル・エペ)"!」


 その時、空飛ぶ剣士が近くのドラゴンを斬って倒した。


「あれは……マーレス!」


 そうだ、マーレスも飛べるようになったんだった。

 昨日は目の下にクマが出来るほどの寝不足だったが、しっかりと睡眠をとって回復したらしい。


 体調は万全になったらしく、空を飛んで大技を放ち次々とドラゴンを撃ち落としている。


「やるなアイツ……!"飛行(フラウェ)"を覚えに出かけた旅で更にパワーアップしたのか?」


 だが、まだ使い慣れていない"飛行(フラウェ)"に加えて、あれだけ大技を使っていて大丈夫なのだろうか?


 などと思っていたらマーレスが地面に降りた。やはり魔力を使い過ぎて疲れたのだろう。アイツを助けるのは(しゃく)だが、街のためには仕方ない、魔力回復のドリンクを渡しに行く。


「よっ、マーレス。これでも飲んで一度落ち着け」


 隣に着地し、ポーチからビンを取り出して投げ渡す。


「貴様は黒曜の騎士……!か、感謝する」

「良いって事よ。今の俺はとても機嫌が良いしさ」

「ゴクンッ。どうだ見たか?オレも空を飛べるようになったぞ。貴様だけに良い格好をさせるわけにはいかないのでな!」


 俺の事をライバル視しているのか。

 はぁ、ムクロンとして会った時に黒曜の騎士の方がカッコいいだなんて余計な事言わなきゃ良かった。

 今は、挑発に乗って喧嘩している場合じゃ無いし言い返さないでおこう。


「……ところで、今回はキングが見当たらないな?」

「キングとはなんだ?」

「ドラゴンのボスだ。アイツを倒せば子分のドラゴン達はみんな帰っていくはずなのに見当たらない」

「見てわかる特徴とかないのか?」

「残念ながら、今回は見た目じゃわからないな。禁断の果実の食べ残しでも歯に挟まってたら気付くのに」

「禁断の果実?なぜ貴様が、ムクロンさんから貰った果実の事を知ってるんだ?」


 マズイ。うっかり同じ呼び方を使ってしまった。これでは俺とムクロンの関係性が疑われてしまう。

 めっちゃマーレスから睨まれてる。な、なんとかして誤魔化さなければ。


「ほう?食べたモンスターを凶暴化させる実の事を、全く同じ呼び方をしている人が居たとは、驚いたなー。いやー、ソンナ偶然アルンダー」

「なんだ、偶然か……。あー、良かった」


 マーレスは何とか納得してくれたようだ。棒読みだったのに騙せるなんてチョロい。

 危なかったが、黒曜の騎士とムクロンに関係性がある事は否定できた。


「話を戻すが、見た目ではわからない以上、やるべき事は一つ。手当たり次第に倒しまくる!この方法しかないが、やれるか?」

「オレを舐めないで頂きたい。貴様に頼らずとも、ティエスカの街はオレが守ってみせる!」


 マーレスの今のセリフ、めっちゃ主人公っぽいな。

 ……もし俺が男として転移してたらキャラ被ってたんじゃないだろうか?


「フッ、頼りになるな。では、行くぞ!」

「あぁ、やるぞ!」

「「"飛行(フラウェ)"!」」


 偶然にも全く同じタイミングで飛行(フラウェ)と唱えて、同時に空に浮上した。

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