ついに兜を脱ぐ
「グルルルル……!」
荷台は大きさが二メートルはある、四体のオオカミ男に取り囲まれて襲われていた。
「助けてくださ〜〜〜〜い!」
その時、荷台の中から若い少年の声が聞こえてきた!
助けを求めているという事は、戦闘能力を持っていないか、ケガをしているかのどちらかだ!
「これは、早くこのオオカミ男達を倒さないとな!」
ゲームで入手できる中では最強の剣"キル・トータ"をポーチから出して構える!
「とりゃあああ!」
剣なんて持った事は無いけれど、ゲームではいつも使ってたから上手く行くはずだと信じて、勇気を出して一体に斬りかかった!
ズバッ
「ギャアッ!」
よし、上手く当たってくれた!しかも、勝手にゲーム内で攻撃した時と全く同じ振り方になってくれた!これなら、槍や弓など他の武器も簡単に扱えそうだ!
「グルルルル……?」
まずい、俺の存在に気が付いた三体が同時に俺の事を見ている。
一体ずつ相手をしていると、他のヤツから攻撃をくらってしまうかもしれない!ここは、魔法を使って同時に倒したいところだ!――やべっ、一斉に飛びかかってきた!
「くらえっ、"薙ぎ払う雷"!」
バチバチバチッ!
雷の刃が同時に三体ともに命中し、無事に全滅させる事ができた。
俺はレベルカンストだから、ボスモンスターでも無い普通のモンスターに今更苦戦しないが。
「あっ、馬がケガしてる。回復させてやろう」
オオカミ男達に襲われて重量を負っていた馬二頭を治療してから、倒れている荷台に近付く。
「起こせるかな……よいしょっ!」
ズーン……
自分でも、こんな重たそうな荷台を持ち上げられた事に驚いている。まさか本当に持ち上がるなんて思ってなかった。
「大丈夫かー?ケガしてたら治してやるよー」
「ケガはしていません、助けていただきありがとうございます!」
中に居たのは身長の低く年齢は一十代半ばに見える男の子だった。声は高めだから、もしかしたらまだ声変わりしてないんじゃないか?
「馬は俺が治しておいたよ。中の荷物は大丈夫?木箱がたくさんあるけど」
「ちゃんとフタをしていたおかげか全部無事なようです!」
モンスターが歩いている道を移動するなんて、冷静に考えるとファンタジー世界って危険だなと思った。
「あれ、もしかしてその装備って、最強の防御力を誇るといわれる伝説の装備、"黒曜の鎧"ですか!?」
いきなり、少年のテンションがめちゃくちゃ上がって、荷台から降りて近付きキラキラした目で俺の事を見ている。
「そんなに見られると、なんか恥ずかしいな……あ、動いたせいかわからないけど、なんか喉乾いてきた」
ゲームだと武器振ってたり魔法使う時にスタミナは使わないけれど、走って剣を振ったら疲れるのは当然か。バッティングセンターだとバット振るだけですごく疲れるし。
「ジュースがポーチあったはずだから飲もう。俺の話はそれからで頼む。あ、その前にこの兜を取らないとな」
兜の取り方はよくわからないけど、両手で持って上に引っ張ってみる。
ポンッ
「よし、取れた」
「あっ……!」
少年はとても驚いたような顔をして俺を見ている。
「どうした?」
「いえ、僕はてっきり、俺って言ってたので男性の方かと……」
あれ、俺は男性アバター使っていなかったっけ?その言い方だと俺がまるで女性みたいな……。
ん?待てよ。確か、全ての服を着る称号を獲得する時に女性アバターに変更したような気がする……!
「そうだ……俺……女性アバターなんだったあああああああ!!!」




