ドラゴンの群れ VS 剣士二人
めっっっっっっっちゃ名残惜しいが、気持ちを切り替えて戦況を見よう。
どうやら、他にも実力者である冒険者がドラゴンと戦っているようだな。
しかし、相手はドラゴン。困った事に空を飛べるのだ。そのため、基本的にはみんなで協力して戦っており、魔法使いが飛んでいるドラゴンを撃ち落としたところを、剣士が倒す戦法をとっている。
なら、俺は飛べるし火力が高いから、飛んでいるドラゴンに近付いて大技を撃ち、下に落とす役割につこう。
一撃で倒してしまうのが一番良いが、なにせドラゴンの数が多い。オーバーキルにならずにちょうど撃破出来る良い塩梅の魔法を見つけよう。
「グギャアァァァ!」
おっ、早速ドラゴンが突っ込んできた。とりあえず、この技はどうだ!
「"電爆撃"!」
バチュンッ!
打ち出した球がドラゴンに当たり、強力な雷のエネルギーが全身を襲い、大ダメージを与える!
ドゴーン
……よし、動かないみたいだし一撃で倒せたようだな。弱点属性だしワンパンは出来たがやや魔力を消耗してしまった。しかし、まだたくさん居るんだよなぁコイツら。
そうだ。クラッシュボアの時のように、早くドラゴンキングを見つけだして倒せば、他のドラゴン達も洗脳が解けて元いた住処に帰るだろう。
しかし、どうやれば見つかるだろうか。これまでのキング達は他と比べると、「強い」という特徴と別に、「大きい」、または「賢い」、という二つの特徴があった。見た目が大きいのならすぐにわかるし見つけやすいのだが…………あれ?どうやら見るからに大きいヤツはいなそうだな。
て事は、キングが賢いパターンか。うわー、見た目でわかんないから探すのが面倒だな。――よし、わかんないし全員倒してしまおう。
……待てよ。空に飛んでいるたくさんのドラゴンを一人で倒さないといけないのか?これはちょっと骨が折れそうだな。誰か他に空飛べる冒険者が居れば助かるんだが。
「"高貴なる閃撃"!」
ズバッ
空飛ぶ剣士が近くのドラゴンを斬って倒した。
「あれは……マーレス!」
昨日は目の下にクマが出来るほどの寝不足だったのに、どうやらしっかりと睡眠をとって回復したっぽいな。体調は万全らしく、空を飛んで次々とドラゴンを撃ち落としていっている。スゴい腕前だ。
「やるなアイツ……!"飛行"を覚えに出かけた旅で更にパワーアップしたのか?」
しかし、まだ使い慣れていない"飛行"に加えて、あれだけ大技を使っていて大丈夫なのか?……あっ、一度地面に降りた。やっぱ疲れたんだな。しゃーない、魔力回復のドリンクを渡しに行くか。
「よっ、マーレス。これでも飲んで一度落ち着け」
隣に着地し、ポーチからビンを取り出して投げ渡す。
「貴様は黒曜の騎士……!か、感謝する」
「良いって事よ。今の俺はとても機嫌が良いしさ」
「ゴクンッ。どうだ見たか?オレも空を飛べるようになったぞ。貴様だけに良い格好をさせるわけにはいかないのでな!」
コイツ、俺の事をライバル視しているのか?変にプライドの高いヤツめ……!言い返したいところだが、挑発に乗ってケンカしてる場合じゃないし、グッと堪えてコイツと話そう。
「……ところで、今回はキングが見当たらないな?」
「キングとはなんだ?」
「ドラゴンのボスだ。アイツを倒せば子分のドラゴン達はみんな帰っていくはずなのに見当たらない」
「見てわかる特徴とか知らないのか?」
「残念ながら、今回は見た目じゃわからないな。「禁断の果実」の食べ残しでも歯に挟まってたら気付くのに」
「禁断の果実?なぜ貴様が、ムクロンさんから貰った果実の事を知ってるんだ?」
あっ、マズイ。うっかり同じ名前で物を呼んでしまった。めっちゃ睨まれてるんだけど。な、なんとかして誤魔化さなきゃ!
「ほう?食べたモンスターを凶暴化させる実の事を、全く同じ呼び方をしている人が居たとは、全く驚くべき話だな。いやー、そんな偶然があるとはー」
「なんだ、偶然か……。あー、良かった」
マーレスは何とか納得してくれたようだ。よし、これで黒曜の騎士とムクロンに関係性がある事は否定出来た。
「話を戻すが、見た目ではわからない以上、やるべき事は一つ。手当たり次第に倒しまくる!この方法しかないが、やれるか?」
「オレをなめないでいただきたい。貴様に頼らずとも、ティエスカの街はオレが守ってみせる!」
うわ、マーレスの今のセリフめっちゃ主人公っぽいんだけど。しかもこれ多分、俺ことムクロンを守る為に必死なんだよな。愛する人を守る為に戦うとかシチュエーションまで主人公かよお前は。ひょっとすると、俺が男として転移してたらキャラ被ってたんじゃねーか?
「フッ……頼りになるな。では、行くぞ!"飛行"!」
「"飛行"!」




