さながら本人登場企画モノの如し
シュンッ
とりあえずワープは成功したな。さて、まずは遠くから見て戦場の様子を。
「グギャアアア!!」
ちょっ、目の前にドラゴンが!?わざっ、技を撃たないと!
「"いんふぇるにょ"!」
ヤバいヤバい、焦って口が回らない!あっ、今にもドラゴンが炎を吐こうとしてる。とりあえず防御の体勢を。
「"氷のくちづけ"!」
「うおおっ!?」
巨大な氷塊が飛んできてドラゴンの頭にぶつかった。た、助かった……!俺はどうやら、ミスって戦場の真ん中にワープしちゃったみたいだな。ところで、今の技をやったのは一体誰なんだろう?
「あの……大丈夫かしら?いきなり飛び出したら危険よ?」
……この声。そして、今の魔法。間違いない、俺が大好きなあの人だ!
「シェーナさん!」
「あ、えっと。どこかでお会いした事あります?」
何度ゲームに入って会いたいと思ったかわからない、俺の最推しが目の前にいる……!
「いやその……えっと……」
実際に面と向かって話すと言葉が出てこない。俺、そもそも美人との会話とか昔から苦手だった!エオルとは不思議と自然に話せるけど。
「その黒い鎧、もしかしてアナタが「黒曜の騎士」さん?以前は、私が居ない間に街を守ってくれてありがとうございました」
「いっ、いえ!そんな、こちらこそいつもありがとうございました!」
「あら?助けたのは今の一回だけなのだけど……」
俺は気付いた。こんなに話せないのには、女性慣れしていないという理由と別に、こっちが一方的に裸体を知っているという罪悪感を抱いている事も大きいという事に。
いや、別にゲーム内で見れるわけじゃなくて絵師さんが想像して書いているだけだから彼女本人のって訳じゃないし、絵柄や癖によって元からおっきい胸がもっとおっきくなってたりするんだけど。そういやシェーナさんはよく胸のサイズ盛られてたっけな。
……ともかく、そうゆうエッチな目で見てたって事は変わらない事実だ!と、とりあえず何か会話しなきゃな!
「すみません!いやー、今日は良い天気ですねー!」
「えぇ。空にはドラゴンがたくさんいるけど」
そうだった!よく考えたら今は王都の大ピンチなんだった!冷静に考えたら推しと話している場合じゃないけど、せっかく会えたんだから別れたくはない!だって、素顔で会えたとしても、ムクロンとして、女性のフリをして接しなきゃいけないじゃん!
あーもー!男性アバターのままだったら絶対にシェーナさんと結婚したかったのにー!俺の大バカー!
「ググ……グギャアアアアア!」
突然、倒れていたドラゴンが起き上がった。
「"氷のくちづけ"でも一撃で倒せないの?」
シェーナさんはもう一度魔法を放つ為の準備をする。先ほどの魔法は彼女が使う物の中でもトップレベルの魔法だ。そう何度も使ってはいずれ疲れてしまう。ここは俺が代わりに倒そう!
「俺がやります!」
ズバッ
咄嗟にドラゴンの首を切断し、完全に撃破した!
「ありがとうございます。噂通りスゴい実力ね」
やった、俺の事褒めてくれた!よーし、元気出たし張り切ってドラゴン倒しに行くぞー!あ、それだとシェーナさんとは別れる事になるのか。離れたくないけど戦わないと嫌われる。どうしようこのジレンマ。
でも、人命や街の安全が第一だ。俺の私情で守れない命が失われたら夢見悪くなるしな。
「シェーナさん。俺は今からドラゴンと戦ってきます。申し訳ありませんが、自分の身は自分で守ってください。それでは」
「えぇ、わかったわ。頑張ってね!」
「……"飛行"!」
くーっ!今の「頑張って」の一言だけで一ヶ月は張り切って仕事出来るぜ!
あー、別れがつらくて涙出てきた。兜があると涙が見えないからこうゆう時は助かるな。
巨乳キャラの胸は盛ってよし。貧乳キャラは盛ってはならない。




