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第23話 イケメンと再会

 商品を積んだ馬車に揺られて進み、我が家こと魔道具店プレイヤーへと近づく俺達二人。

 次第に店が見えてきたのだが、その前に剣士のシルエットをした男性が立っていた。


「アレはまさか……マーレス!?」


 数日前に「もっと修行をしてきます!」と言ったきり、店にやって来なかったマーレスが、何故か開いてない店の前にいる。


「あっ、店長さーん!」


 手綱を握っているエオルに気が付いたマーレスが遠くから声をかけた。


「店長さんって、アイツと面識あるのか?」

「ムクロンさんが来る前からのお得意様ですから」

「なるほど。じゃあ、マーレスと適当に会話しててくれ。俺は会いたくない」


 見つかったら絶対に面倒な事になるので木箱の後ろに隠れる。


「わかりました。でも、きっとムクロンさんに用があって来られたと思うんですけど」

「絶対に行かなきゃならないと判断するまで俺は出ないからな。ここは任せた!」


 馬車が店の前に止まったので、エオルがマーレスと話をする。一体、なんの要件でやってきたんだろうか?


「店長さん、どちらに行っていたんです?」

「商品を取りにスービエ村まで行ってました。そちらこそ、店が閉まっているのになぜ立っていたんですか?」

「いやー、ムクロンさんに見せたい物があって冒険の帰りに寄ったのですが、まさか店が休みだったとは思わなかった」

「それってなんですか?」

「"飛行(フラウェ)"を習得したんです!だからぜひ、ムクロンさんに空からの景色を見せてあげたくて!」

「ウソだろ!?」


 こ、こいつ本当に"飛行(フラウェ)"を習得してきやがった。

 あのダンジョンまではティエスカから離れてるのに、たった数日でたどり着いたと言うのか。

 ワープで最寄りの村までは行けるとしても、そこからワープ禁止区間を長いこと歩かないといけないってのに。


「ん?荷台から何か音がしませんでした?」


 しまった、驚きのあまり思わず声を出してしまった。隠れているのがバレると好きだから避けてるみたいに勘違いされるかもしれないので、ここは素直に出て行こう。


「あはは、馬車の中で寝ちゃってましたー!あ、もう店に着いたんですねー!」

「こんにちはムクロンさん!オレ、"飛行(フラウェ)"を習得してきたんですよ!どうです。空からティエスカの街を見下ろしに行きませんか?」


 案の定、マーレスは俺に何かをさせたいらしい。このしつこさから考えるに、それをやり切るまで帰ってくれなそうだ。

 だが、マーレスのヤツだけが得をするだけで気に食わないので、先に嫌な目に遭わせて採算を取りたい。


「わかりました!でも、先に商品を店に運んでいただけませんか?女の私には少し重くて……」

「オレにお任せください!女性に重たい物を持たせるわけにはいきません。全て運んで見せます!」

「ありがとうございます!」


 マーレスは俺の頼みを受け入れて荷台から木箱を持って店に運び始めた。

 鍛えているから軽々と運んでいき、思ったよりも苦しめられなかったのが残念だ。


「ムクロンさん?ポーチを使えば楽に運べるのになぜマーレスさんに頼んだんです?」


 俺の頼みに疑問を持ったのか、エオルが俺に質問してきた。


「いやー、別に?このポーチの事を秘密にしておきたいだけだし?別にマーレスを苦しめようってわけじゃないし?」

「…………」


 俺の企みはお見通しだったようで、エオルから少し軽蔑の目で見られた。ううっ、少し心が痛い。


「ちょっとくらいいいだろ?だって、俺はこの後に男と二人で空中散歩する事が確定してるんだぜ?どんな罰ゲームだよ」

「ちょうどいい機会です。マーレスさんで男に耐性付けてください。……あ、マーレスさんすみません。これはここに置いてください」

「了解!よし、次々運ぶぞ!」


 元から少なかったから木箱が無くなるまでが早い。こへが全部なくなったらアイツとデートしなきゃならないのか。

 あぁ、本当に嫌だ。まるで死刑執行を待ってるような気分だ。

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