スライム凍結作戦
「……あっ、今、あそこの木が消えました」
俺と背中合わせで周囲を観察していたエオルが何かを発見したようだ。
「よし、しっかり捕まってろよ!」
ガシッ
エオルを背中に抱えて、シュババッと目的地に接近し、木陰からスライムの様子を観察する。
「うわー、なんだこれ?ちっこいスライムが木を丸呑みしてるぞ?」
「今にもはち切れそう……かなり無理していますよ!」
「何の意味があってこんな事を……おっ、どこかに移動するみたいだ。犯人の元に向かっているかもしれないし、追跡するぞ」
潜伏スキルを発動して気付かれにくする。
「少しづつ木を吸収して大きくなっていきますね……」
「このスライムは何でも食うのか?」
そして、しばらく進んでいくと開けた場所にやってきた。
「うげっ、さっきのスライムがたくさんいる……!」
「ここが彼らの拠点なんでしょうか……?」
木を飲み込んでいるのもいれば、モンスターを飲み込んでいるものもいる。体の中が透けている分、消化してるのが見えてグロテスクだ。
「見たところ、こいつらのボス……オークキング達の例に倣うとスライムキングは……居なそうだな」
ボスが居ないのは気がかりだが、コイツらをほっといたら森のモンスターやフォイユさん達、スービエ村の人達も危ない。
「何体いるかわからないし、今のうちにコイツらは倒しておこう。スライムキング探しは何日かかってもやるが」
「えぇ……彼らだって、あと何十匹とこの森に潜んでいるかわかりませんし、分裂して増えるかもしれません。居たらすぐ倒しましょう」
エオルは戦いの邪魔にならない様に背中から降りてこの場所から距離を取る。
「ムクロンさん、お願いします」
「あぁ、一応、周りには気を付けろよ」
潜伏スキルが発動している間にスライム達の方に近付いていく。
「合体されたら厄介だ。念の為にさっきと同じで氷魔法で倒そう」
我が剣、キル・トータを装備してスライム達を薙ぎ払う!
「"氷の剣舞"!」
パキパキパキッ
辺りが強烈な冷気に包まれて、スライム達はたちまち全身が凍っていった。
「ふぅー、全身凍ったら、SFみたく仮死状態になるわけじゃないし、これでしっかり凍死したな。わざわざ砕くまでもない」
よし、次はまた、木が消えるのを探すところからやり直しか……ん?
ピュンッ、ガシィッ!
な、地面からスライムの触手が伸びてきた!くそっ、捕まっちまった!
「離せっ!"氷の剣舞"!」
触手を凍らせて切断し、地面に落下したら体にまとわりついていた凍った触手も砕いた。
「ったく、どこから来たんだ!この坂から伸びてきたな?」
ゴゴゴゴゴ……
なんだ?坂が動いて……ち、違う。まさか、これは坂じゃなくて、超巨大な……
「スライムだ!こ、コイツがキング。成長し過ぎだろ……!」
「おっきい……!こんな大きさの、見た事ないです!
俺よりも遥かに大きく、ドラゴン並みの大きさにまで成長した巨大スライムが目の前に立ちはだかる。吸収中の木がはみ出していたので、てっきり坂かと思っていた。
「こんなに大きいとは予想外だ……!うわっ、また触手か!」
パキパキッ
一本、また一本と凍らせて対処していく。
だが、しばらくするとスライムが攻撃をやめた。
「どうした?凍らされてキリが無いって気付いたか?」
ゴロンッ
突如、スライムキングが俺から逃げる様に転がり始めた!
「おいっ、逃げるなコノヤロー!」
「ムクロンさん!あっちは、村の方向です!」
勝ち目がないと判断したら逃げるとは、たかが液体で出来たスライムにしてはよく考えたな!
「なにっ、待て!だが、どうやってあの巨体を止めれば……」
剣で攻撃しても、魔法を食らわせてもすぐには凍らずに逃げ続ける。何か良い案は無いか?
「……そうだ。お前、俺を吸収したがってたよな?」
俺はポーチを外して地面に落とし、剣を地面と水平に構えて、スライムに突き立てるようにして突っ込んでいく!
「お望み通り食らわしてやるよ!」
ドプンッ
スライムの体内に入って、強力な酸の中を進んでいく!鎧が耐えられる内に、真ん中で技を放たなければ!
「木が邪魔……よし、ここで良いだろう!"凍結一閃"!からの、氷河世界"!」
最初に剣から強烈な冷気を発したあと、全身からも冷気を発生させる。
パキパキパキパキィッ!
スライムキングは全身が一瞬にして、水から氷の塊へと変わってしまった。
「よし、あとは出るだけ……!周りは氷だらけだし動けない。これはもう……自爆するしかねぇ!」
ドカーン!!
俺の体を中心に爆発し、スライムキングの体は衝撃で粉々に割れた。
「あー、痛ッ!回復回復っと!ふぅー、あー。もう自爆はこりごりだなー。めっちゃ痛いし、治すのが疲れる」
「これ、拾っておいたポーチです。えーと、体は大丈夫ですか?」
エオルがスライムキングの破片が散らばる俺のそばに駆け寄ってくる。
「体は治したけど、かなり無茶をして黒曜の鎧がボロボロだ」
その時、
「やった……!」
と、俺達の近くから何者かの声が聞こえてきた。
今回はゴジラをイメージして書きました。




