悪いスライムあらわる
「これは……!」
到着した俺達二人が見た景色、それは不自然に木や草が無くなっている不気味な光景だった。
「なぜこの場所だけ……向こうにもありますよ!」
「場所はバラバラか……一体どんなヤツの仕業なんだ?」
木を消す習性を持つモンスターなんて知らない。それに、犯人はなぜ木なんか襲っているんだ?
「周りに誰も居ないよな?念の為に黒曜の鎧を着ておく。…………さて、犯人を探すか」
そして、しばらく森の中を歩いたが、奇妙な事に鳥以外のモンスターを見かけない。
「森だってのに、モンスターを一匹も見かけやしない。どこに姿をくらましたんだ?」
「ピィイイイイ!」
「今の音……こっちからです!恐らく、モンスターの悲鳴かと!」
こっちの草むらの方からしてきたな。待ってろ、今その姿を拝んでやるぜ!
ガサッ
「うげっ!?」
「こ、これは……?」
「スライムが鳥を食ってるだと!?」
そこには、鳥を飲み込んで溶かしている、見た事のない色をしたスライムがいた。
「カパッ」
え、スライムの口が大きく開いたぞ……?うわっ、俺に向かって飛んできた!
バクッ
「ちょっ、左手に噛みつきやがった!」
「ムクロンさんの鎧が……!」
ウソだろ。黒曜の鎧が少しずつ溶かされている。コイツ、どれほど強い酸で出来たスライムなんだ?
「下手に攻撃すると飛び散る……」
近くにはエオルも居るし、ここで破裂すると俺も全身の鎧が、スライムの酸に溶かされてしまう。
「ならば……!"零凍結"!」
スライムが噛み付いている左手から冷気を発生させ、スライムを体内から完全に凍らせた。
「これでよし……ふんっ!」
パリンッ
木に左手を叩きつけてスライムを砕き、自分の左手の自由を取り戻した。
「ムクロンさん、黒曜の鎧が溶けて……!」
「あ〜、どうしようこれ。せっかく手に入れたのに、スライムこどきに溶かされるなんて……ん?」
その時、黒曜の鎧が少しずつ、元の形に戻っていくのが見えた。
「スゲェ!どうやら勝手に直るみたいだ。少し時間は少しかかるっぽいが」
「黒曜の鎧ってそんな機能まで付いてるんですか!」
「あぁ、他に、状態異常無効や、臭いだけ通す仕組みになってるから毒の息や、それこそエオルの持ってる痺れ粉も効かないぞ」
「流石は伝説の装備、他にも隠された機能があるかもしれませんね?」
「かもな。しかし、今のスライムは一体なんだ?俺も見た事がないモンスターだったが」
場所によってスライムの種類はたくさんあるけれど、口を大きく開けて、自分よりも大きな人やモンスターを襲って溶かすスライムなんて見た事がない。
「もしかしたら、ゲームでは居なかっただけなのかもしれないが」
「僕だって、こんなスライムは初めて見ました。もしかして、異変の影響だったりするんでしょうか」
「じゃあ、このスライムがこの付近のモンスターと草木を食べたって事になるな」
いや、待てよ。何か違和感がある。かなりの数の草木やモンスターを食べたにしては、大きさが普段と変わらない。
「エオル、気を付けろ。今のスライムの大きさから思うに、敵はまだ居る。恐らくは、この森のどこかにスライム達のキングが、そしてそれを操る者が居るはずだ!」
「この森に黒幕が……!スライムが木を捕食しているなら、よく目を凝らせば、木が消えた事に気が付くかもしれません!」
二人で周りをよく観察し、木が消える瞬間や、モンスターの悲鳴が聞こえる瞬間を待つ。




