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馬車が通る道の安全確保

 数日後、エオルが商品を仕入れに取引先のいる村に向かうという事だったので、俺は馬車に乗って同行する事にした。


ちなみに、村まで直接ワープして、ポーチに商品の詰まった木箱を詰めて持ち帰る方法を取らなかったのにはある理由がある。


それはズバリ、最近のモンスター達の異変が気掛かりだからである。普段、エオルが利用している道の安全を確保出来なければ、安心して外に送り出せない。


「むぅー、見た感じ異変は起きて無さそうだな」

「やっぱり、何かモンスター達に異常があると疑っているんですね」

「だって、あの後にクラッシュボア達の住んでいる場所を見に行ったけれど、そこはゲームと何も変わってなかったんだぜ?逆におかしいだろ。住処(すみか)を追われたわけじゃないのに王都に向かうなんてさ」

「なぜ、王都だったんでしょう?それに、リーダーを倒したら他のモンスターは大人しくなったというのも変な話です。まるで何かに操られていたみたいじゃないですか」

「そうなんだよなー。俺が思うに、「何者かがリーダーを洗脳して周りのモンスターを操ってたんじゃないか?」というのが、いかにもゲーム的でよくあるパターンなんだけれど、犯人に想像が付かないんだよな」

「えぇ、凶暴なモンスターを手なづけて命令出来る人なんて居ません。不思議な魔道具を使っていたとしたらその限りではありませんが……」

「アイテムに詳しい俺とエオルが知らないんだ。遠くから来たヤツの仕業かもな」


ガサガサッ


その時、草むらが揺れたのでモンスターかどうか警戒する。


ポヨンッ


「何だ、ただのスライムか……」

「道の真ん中で止まっちゃいましたね。このままだと通れませんし、バンライ、当てないように追い払って」


バチッ


二頭の馬のうち一頭が、雷をスライムの横に飛ばして驚かし、森の方へと追い払った。


「その馬、バンライって名前なんだ」

「センキャクとバンライです。遠くの国で商売繁盛を意味する言葉から取りました」

「千客万来から……なんかエオルらしいや」


そして、特に何も起きる事がなく、目的地に到着した。


魔道具作りが盛んな、スービエ村。ここが普段エオルが商品を仕入れている場所との事。


村はそこまで広くないが、森の中にあるので、生えている薬草を取ってきて加工する作業がスムーズに(おこな)えているらしい。


「へー、ゲームじゃ、カットされたのかこんな村なかったなー。ポーションの作り方ってどうなってるんだろう」


工場があったのでひっそりと覗いてみる。


「薬草をすりおろして、出てきた汁を抽出(ちゅうしゅつ)。それを釜で煮て殺菌しているのか。熱くて大変そう」

「もっと近くで見ても構わないよ?」

「うわぁっ!」


夢中で工場を見ていると、いつのまにか、立派なヒゲが生えたおじいさんが横に立っていた。


「ホッホッホ、驚かせて申し訳ない」

「あ、フォイユさん!今日も魔道具を買いに来ました!」

「おや、エオル君!よく来たねー。もしかして、この子は新人かい?」

「はい、最近入ったムクロンさんです」

「ど、どうも……」


この人がエオルの取引相手……何だ。全然優しそうな人じゃんか。「なめられない様に男装してる」って聞いて警戒していたけど、この人は優しそうだから別の取引相手のことなのかな。……それとも、単にエオルが男装が好きなだけなのか?


「お仕事お疲れ様です。商品の様子はどうですか?」

「その事なんだけどね……。実は、最近村の冒険者が森に入るのを怖がってしまっていてね。あまり材料が取れていないんだ」

「なぜなのですか?」

「最近、木や植物が根こそぎ無くなっているだよ。昨日まであったのに、翌日になると消えてしまうんだ」


なぜそんな事が……もしかして、これも異変か!


「フォイユさん、その原因を、私に調査させてください!」

「かなり危険だけど、大丈夫かい?」

「任せてください!こう見えて、戦いには自信がありますから!」


こうして、俺はエオルを連れて事件の起きている場所へと向かった。

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