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第18話 黒曜の騎士についての反応

「うわぁっ!?ビックリした!」

「うおっ、エオルか!なんで店に居るんだ?」


 部屋に帰るとエオルが目の前にいたので、二人して驚いてしまった。


「街の危機とあれば、ムクロンさんはきっと飛び出して行くと思って、店の戸締りの確認にやってきたんです」

「なるほどな。ちょうど店にお客さんいなかったから鍵閉めて出てったよ。さて、急いでこれを脱いで店員に戻ろう」


 素早く鎧を脱いで、黒曜の騎士からムクロンへと戻る。

 いつマーレスが自慢しに戻ってくるかわからないので、何事も無かったように店に戻らねば。


「やけに急いでいますね。何かあったんですか?」

「実はさっき、俺に一目惚れしてきたヤツが居たんだよ」

「えっ!告白されたんですか?」

「そう」

「……えと、おめでとうございます?」

「全然めでたくねぇよ!ったく、なんで男と付き合わないといけないんだ、気持ち悪い」


 いくら若くて、実力者で、貴族のイケメンだとしても、男って時点で断固お断りだ。


「そんで、多分戦いが終わってすぐにこっち戻ってくるから。正体がバレないようにする」

「あっ、一緒に戦ったんですね!」

「そう。まぁ俺の方が強かったけどな」


ガチャ


 噂をしていたら、扉を開けてマーレスが店にやってきた。予想通り、戦場からワープして店の近くに戻ってきたらしい。


「ムクロンさん安心してください!街に向かってきたクラッシュボアの群れは、このマーレスが撃退しましたよ!」

「ホラ来た……!適当にあしらって帰ってもらう!」


 このまま店にずっといられたらやかましくて構わない。

 鎧は脱いだので、何事もなかったように店へと戻っていく。


「あっ、お疲れ様でした」

「いやー、大変でした!ムクロンさんの無事を祈っていつも以上に全力を尽くしましたよ!」

「は、はぁ、そうなんだ」

「あれ、何か疲れてませんか?」


 息を整える時間が無かったので疲れているのを見られた。

 マーレスに怪しまれてしまったので、言い訳を考えなくては。


「え、えっと、様子を見に門の辺りまで行ってたの!」

「そうだったんですね!オレの戦いを見てくれてたんですか!」

「う、うん。ちょっとの間だけね」

「お店の事もあるのに申し訳ありません!……しかし、あの黒曜の騎士と名乗る男は一体なんなんでしょう?」


 なんで俺の話が出てくるんだ。そんなに黒曜の騎士の方が気になってるのか?


「黒曜の騎士って、あの黒い鎧の人?」

「先ほどクラッシュボアと戦った際に加勢してくれたのですが、愛想が悪いというか、オレがお礼すると言っているのに断ってすぐに姿を消した……紳士さを感じられない、失礼なヤツです」


 ……し、失礼なヤツだと、助けてやったのにそんな事を言われる筋合いはない。


「でも、見ている限り黒曜の騎士さんの方が技の威力が強そうに見えましたけどね」

「それは……そうですが」


 露骨に声が小さくなった。俺の煽りが効いたようだ。


「しかも、空も飛べるし、スゴくお強い方なんだろうなー!いやー、カッコいいなー!」

「ぐっ……!おのれ、黒曜の騎士。オレより目立ってムクロンさんに注目されるなんて!ムクロンさん、オレは絶対アイツより強くなりますから、期待していてくださいね!」

「どうぞ頑張ってくださいねー」

「それではまた!」


 マーレスはそう言って店から立ち去った。

 やっと店から出て行ってくれた。これから当分の間、修行の旅に行ってくれると助かるのだが。


「あのー、何を張り合ってるんですか。大人げない」


 会話を全て聞いていたエオルが店の奥からやってきた。


「負けず嫌いな所が出ちゃって、つい……」

「せっかく頑張ってくれたのに、ひどいじゃないですか」

「それに、俺はアイツが嫌いだ。よりによって俺に一目惚れするかよフツー」

「ムクロンさんが可愛いからじゃないですか?」

「かわっ……!」


 俺が推しキャラのデザインに一目惚れしたのと同じなのか。


「ま、まぁ。ムクロンは黒曜の騎士に気があるって事にしたらアイツも諦めるだろ」

「逆に張り切って色々な魔法を覚えに行くと思いますよ。それこそ、"飛行(フラウェ)"を覚えに行くんじゃないですか?」

「ないない。相当な実力が無いと習得できないから、アイツが覚えられるわけないって。でも、そのダンジョンまではここから距離があるから、向かってくれたら当分は会わなくて済むな。それに、試験に落ちたら諦めてくれるかも」

「なんだかフラグが建っている気がしますが……」


 俺が建てたフラグは回収される事が多いが、今回に限ってそれはないだろう。


「さて、俺は仕事に戻るから、エオルも家に帰って休め!」


 エオルを家に返した後、店に立っていると若い女性冒険者二人組が店に入ってきた。


「さっきの、黒曜の騎士さんヤバくね?魔法の威力スゴ過ぎない?」

「ねー、カッコよかったよねー。ウチもそう思う。すぐに姿を消したけど、どこにいるんだろう?会ってみたいなー」


 どうやら若い女性に大人気らしい。

 あぁ、男だったらチーレム間違いなしだったのに。はあの時しっかりアバターを戻してさえいれば。

 後悔で涙が出てきた。


「あの店員さん泣いてね?」

「ホントだ。なんで?」


 泣いてるのを二人組に見られて若干引かれてしまった。

 その後は特に何事も起こる事なく、無事に営業を終えた。

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