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第12話 高難易度クエスト: 女湯

「大人二枚で」

「あいよー」

「ま、マジで入るのか……?」


 集団浴場の受付である番台さんにエオルがお金を払ってしまった。


「くっ……。早く入ってすぐに上がるからな!」


 ここまで来たら諦めて入るしかないので、脱衣所に早歩きで入る。

 中に入るのはめっちゃくちゃ怖い。俺は童貞なので女性への耐性がまるで無いし、平常心を保てるかわからない。


「人はそんなに多くなさそう。良かった。直ぐに脱いで風呂に入ろう」


 ピーク時じゃないのは幸運だった。自分の体を見ないようにして素早く脱ぎ、裸になる。


「あっ、そうだ。布で目隠しして入れば良いじゃん」


 これなら他の客が目に入らないので目のやり場に困らない。

 ポーチから黒い布を取り出して、目を隠すようにして縛る。


「よし、これで何も見えない。見た目で浮いている事以外はこれで安心だ」

「どこが安心なんですか。他の人とぶつかるかもしれませんよ」


 隣にいるエオルにツッコまれた。


「でも、これなら無罪じゃないか?何も見ていないんだから」

「これから風呂に入る度に目隠しするつもりですか?他のお客さんの迷惑になりますし、慣れる為にも取ってください」

「それは一理あるけど、やっぱ無理だって!女湯に入ったら男として本格的に終わりな気がする。代わりにエオルが俺の体を洗って」

「言い訳無用」


 パラッ――


「…………!?」


 ヤバい。エオルに目隠しを解かれて、自分の体を見てしまった。

 服の上から見ても大きかったのだが、脱ぐとより破壊力がスゴい。エッチ過ぎる。

 こんな自分の体に慣れる日が来るのだろうか。


「エオル、目隠し取ったな!――って、裸だし!」


 局部は手で隠しているが全裸だった。

 そして、その胸は俺と違って真っ平らであった。


「風呂に入るんだから当然でしょう」

「うーん……。あっ、本当に女の子だったんだ」


 ビシッ――


 気に(さわ)ったのか左肩をチョップされた。


「わざわざ触って確認したのにまだ疑ってたんですか!」

「いやー、だって上半身だけ見たらほぼ男子だし」


 エオルなら男水着チャレンジしてもバレないだろう。


「もう一回叩かれたいですか?」

「すっ、すみませんエオル様」


 ま、まぁ気を取り直して、俺と違って刺激の少ないエオルの体を見て慣れた事だし、さっそく風呂に入ろう。扉を開けて風呂に向かう。


「ひろーい!お風呂がたくさんだー!」


 中には銭湯のように色々な種類のお風呂があった。水風呂やサウナもある。


「おお、サウナだ。へー、炎魔法の熱源を使用しているのか。でも、露天風呂は無いのか。仕方ない、飛べる人もいるし存在感消せる人も居るから覗かれそうだしなー」


 掛け湯を自分の体に掛けながら風呂の種類を見ていく。 他の客は年配の方が多めだな。でも、あそこに若い女性もいる。


「ブッ!?」


 視界に入っただけで鼻血を出してしまった。あの女性、セクシー過ぎる。ていうか、一緒に風呂に入るというこのシチュエーション自体が超エッチだ。


「鼻血!?ムクロンさん大丈夫ですか!」

「だ、大丈夫だ。ただ、ここに長く居たら理性が保たない!」


 俺はすぐに一番大きな湯に浸かって、他の人が目に入らないように壁側をじっと見る。


「顔が赤いんですけど、のぼせたんですか?」

「違う。恥ずかし過ぎて頭が回ってないだけ!」


 入る前は合法で見放題の天国だと思ったけれど、いざ入ると他人を一つも視界に入れないようにしないといけないし、女性経験の無い俺にはまるで生き地獄だ。


「異性の風呂って居るだけで背徳感で死にそうになるんだな……」

「そうなんですか」

「エオルも男湯に行けばわかると思う」


 ビシッ――


「何言ってるんですか!」


 再びセクハラしたら、今度は右肩にチョップをくらった。


「ごめんなさいエオル様っ。それにしても、ここに毎日入らないと行けないのかー。ピーク時を避けて入らないとな」


 風呂に入る人が少ない時間帯はいつだろう。正午ごろが少なそうだな。


「これからはお昼にしか入らない事にしよう」


 これ以上風呂に浸かっていると本当にのぼせそうだし、髪と身体を洗う事にしよう。最初からずっと結んであった髪を解く。


「髪めっちゃ伸びたなー。これは、手入れが大変そうだ。洗ったらトリートメントをちゃんと付けておこう」


 髪が長いと洗うのも大変そうだ。髪を丁寧に洗ったし、トリートメントも念入りに付けた。成分が浸透するまで待たなきゃなのでその間に、自分の体を観察しよう。勇気を出して視線を下にする。


「うわっ、ごめんなさい!あっ、自分の体だった」


 ついさっきまでと全く違う体型になっているので、これが自分の体だとなかなか思えない。


「ホントに慣れるのかな、この体に……」


 時間が経ったのでトリートメントを流してから体を洗う。触るのに躊躇(ちゅうちょ)してしまって、洗い始めてから泡を流し落とすまでにかなり時間が経ってしまった。


「はぁー、やっと終わった」

「あ、ついに終わりましたか。後から洗い始めた僕の方が先に終わってしまいましたよ」

「今から上がるけど、髪の毛ってどう乾かせばいいの?」


 生乾きは良くないと思うから乾かしたい。でも、長いし繊細だから難しそうだ。


「初めにタオルで水分を取ってから、脱衣所にある魔道具を使って熱風をかけて乾かします」

「それって、あの機械と似ているような……」


 脱衣所に行き体を拭き、髪を拭く時のタオルは男の時と違って豪快にゴシゴシせず、丁寧に髪に当てる事で水分を取っていく。その間に先ほど話題に出た魔道具を見る事にした。


「これ、完全にドライヤーだよな……?」


 形状も似てるし、他の人が使っていたのを見る限り使い方もドライヤーそのものだ。万が一違う可能性もあるし使ってみるか。


 ブイーン――


 スイッチをオンにすると、大きな音ともに口から温風が出てきた。


「やっぱドライヤーじゃねぇか」


 「異世界でも発明されるとかドライヤーってやっぱり便利なんだなー」と思いつつ、時間をかけて髪をしっかり乾かした後、俺達は脱衣所から出て行った。

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