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マオウグンの正体

 「落ち着いて!私はあなたを救いに来たの!」


まずは無害アピールをして警戒を解かしてから、信じてくれそうなセリフを言おう!


「私は女神……マカロンよ!」


日本人なら異世界系の影響もあって、いきなり女神様が現れたとしても信じてくれるだろう!ただし、もし信じてくれずにワープして逃げられて仲間に報告されてしまった時のために一応偽名は使っておく。


「女神だと?そんなの信じられないが……」


青年が疑心に満ちた目で俺の顔をじっと見てくるので、満面の笑みを続けて「女神様ですよ感」をこれ以上ないくらいにアピールする。け、結構疲れるから早くしてくれ……。

すると、表情筋がつる一歩手前でようやく青年が目線を外した。


「まぁ、どっちでもいいや」


と、言ったあとにチラッと俺の胸を見てきた。コイツ、もしかして俺に気があるのか?フッフッフ、それならこっちのモンだぜ。警戒は薄れたようだし情報を残さず聞き出してやる!と、それと同時にホーミングして敵に当たる魔法をこっそり唱えてマーキングしておこう。


「"逃さなぬ雷(チェイス・ボルト)"」


よし、これによりもしワープして消えたとしても、これが飛んでいく先にいる事がわかっているので逃げられたとしても安心だ。


「あなたの名前は?」

「俺はアラタ・オガミだ。女神なのに名前わかんねぇのか?」

「お、おほほほほほ!ど、どうやらあなたを追ってこの世界に来た時にド忘れしちゃったみたい〜!」


あぶねぇ!咄嗟に誤魔化したがストレートに質問しては怪しまれてしまう。なんとか、アラタの境遇やマオウグンについて知っている素振りをしないと偽物の女神だとバレてしまいそうだ。


「俺の世界から?()()()()()()のに神は生きてたんだな」

「そうなの〜……は?今なんて?」


今確かに、地球が滅んだって言ったよな?え、え?一体どういう事?


「マオウグンが侵略してきて地球は滅んだぞ?知らないのか?」

「え…………。あ、そん時昼寝してたから……知らない」


「マオウグンによって滅ぼされた世界からやってきた」ってどういう事?え、でもアラタはさっき自分もマオウグンって言ったよな……?うぅ、混乱してきたぞ!?


「それじゃ、あなたはなんで生きてるの……?」

「巨大な宇宙軍艦に乗って脱出した。俺はその船のエンジニアだったからな」

「宇宙軍艦!?なにそれ!?」


俺と同じで現代の世界からやって来たと思っていたのに、急にSF過ぎるだろ!コイツ、もしかしてアニメの話してんのか!?


「大量の兵器を搭載した一万人が搭乗可能な宇宙船の事だが?」


そんな、「え?これ常識なのになんで知らんの?」みたいに言われてもわかんないって!でも、宇宙を飛ぶバカみたいにデカくてビームとかが付いている船だって事はなんとか理解できたぞ。


「よくわからないけど、それがあればマオウグンを倒せるんじゃないの?」

「ハハッ!」


そう聞くと、アラタは突然笑い始めた。なぜだろうと不思議に思って見ていると、しばらく経ってからそれが思い出し笑いであると気付いた。


「かもな。正直、あの船で戦ってたら勝ってたかもしれない。でも、俺は確証が持てなかったし、何より俺を雑に扱う他の奴らが気に食わなかった。だから、自爆装置を作動させて俺だけ脱出して生き残ったのさ」


コイツ、生き残るために他の一万人近くの人を殺したのか……?く、狂ってる。てか、そんな事をしたのになぜ生き残っている?そして、なぜ異世界に来ているんだ?


「え……なんで生きてるの?」

「あぁ、これは俺もマオウグンになったからだ」

「え?なんで、どうして?」


つまり、アラタ・オガミは元々普通の人間だったのに、いきなりマオウグンに……人外になったって事か?それって、一体どういう仕組みなんだ!?


「宇宙船に忍び込んでいたマオウグンのヤツにこう言われたんだ。「他の人間を皆殺しにして人類最後の一人になれば、君は異世界を巡って永久に生きられる」ってな!」

「…………!?」


じ、人類最後の一人?え、信じられないけれど、今の話をまとめる限り……「マオウグンとは、それぞれの世界で唯一生き残った最後の人間がより高度な存在へと昇格したものであり、異世界を巡りながら人類を最後の一人になるまで殺し続ける者達」って事か……?まるで、世界を蝕み死に至らせるガンじゃないか……!


「うぷ……」


そんなヤツらが、実際に今、この世界に現れている。それも、各世界を転々としてもなお敗れていない最強の敵が。そう考えると、あまりの恐怖で吐き気を(もよお)した。あの時、エイダが言い遺した「絶対にみんなで生き残って」というメッセージの意味がたった今理解できた。一人で生き残るか、勝ってみんなで生き残るか、マオウグンが既に侵略を開始したこの世界では、その二つに一つしか結末が無いのだ。


「おいおい、幻滅するなよ女神様?確かに俺はこの手で自分の世界を終わらせたが、俺という存在はずっと生き続けるんだぜ?」

「…………」


コイツ、自分だけ生きようと大量殺人をしたのによく平然としていられるな……。反吐が出るほどのとんでもない邪悪な人間だ。それも、悪の心に取り憑かれていたと言っており、実際に素の状態は温厚だったエイダとは違う。マオウグンになる前から最初から悪人だ。


「俺を救いに来たんだろ?それなら、俺と付き合わないか?マオウグンにも女は居るけどみんな俺に当たりが強いんだよ。それと、俺よりも強いから気に食わないしさ。……それとマカロンさんめっちゃタイプだし」

「…………」


感情に任せて、今すぐにこの男を吹き飛ばしてやりたいところだがグッと堪える。(しゃく)だが、コイツだけが唯一の手がかりなんだ。もう少し聞き出したらぶっ飛ばして、捕えて国に引き渡すから、それまで我慢だ……!

言い換えると、マオウグンはいろんな世界でなんとか最後まで生き残った強者あるいは卑怯者の集まりです。

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