【短編】卒業式のユメ　〜潜水服の優等生は、まどろみの世界で指揮棒を振るう〜

暦は三月。
俺こと筧井頼人《かけいよりと》は、先月高校受験を終え、無事に志望校への進学が決まった。

ほっとするのもつかの間で、今度は別れと入学の準備に追われる日々がはじまる。今日も、母と妹の三人でショッピングモールへ出かけて、親戚へのお祝い返しなどの買い物をしてきた。

その帰り、車の通帯で思わぬ休息を得るも、ラジオ流れてきた卒業ソングにイヤな優等生くんの顔を思い出してしまう。

「卒業式なんて……」

もやもやした気持ちを胸に、俺はまぶたを閉じた。
すると、不思議な夢のなかにもアイツが……真島賢治《まじまけんじ》が現れて──。

※以前連載していました短編小説を改稿しました。
※一部、夢の深層心理の描写として未成年が車を運転する様子を書いています。
　現実の未成年の自動車運転は、法律に反する行為であり、危険であることを強く警告します。また、この小説は、未成年者が自動車を運転することを推奨するものではありません。運転には免許と十分な経験が必要です。