後日談:前編3
「ほら、ご飯出来たぞ」
「ありがと、いただきます」
「召し上がれ……僕も食べるか」
よくよく考えると昨日の昼から食べ物や飲み物を口にしていなかった。
あ、水分は取ったか。水分というか血液だが。
バターのしみ込んだパンを千切り口へと放り込む。
それと一緒に目玉焼きの白身をマヨネーズをつけて食べる。
うん、空腹は最高の調味料。いつも食べているもののはずなのに、いつもより旨く感じる。
「そういえば兄ちゃん、昨日は何があったの?」
「んー、六架と探し物してた」
「何探してたの?」
「忘れた。結局見つからなかったし」
昨日から今日にかけて起きたことは特に口外することでもないだろう。
下手な心配もさせる必要もないだろうし、そもそも話したところで現実味もないし。
「それくらいも覚えておけないの?」
「これくらい覚えておく必要も無いんだよ。別に忘れたところで困らない事は忘れてても良いだろ」
「それはわかる。備忘録に書く必要がないものだけは、忘れるよね」
「お前の場合は興味があるものじゃないと全部忘れるだろ。なんで必要なことは忘れないみたいな感じで話してるんだよ」
「確かに私が間違ってたかも。ところであなたは誰ですか?」
「僕に興味がなかったのか?」
「当たり前。興味というか関心が無い。昨今兄に興味のある妹なんて空想世界にしか存在しない」
「オタク君に夢を見させてあげろよ」
そもそも僕に興味がないなんて自信ありげに言わないでほしい。
いくら何でも精神が削れるわ。
「夢見るオタクとか需要ねぇよ。ってかもうこんな時間か」
「いつも思うけど、お前朝早くないか?」
「部活の朝活動に参加してるんだよ」
「いつも朝からかなりの量を食べてると思ったけど、そういう事か」
「まぁそんな感じ。食べないと動けないからさ」
妹がコップに入ったいちごミルクを飲み干して席を立つ。
「んじゃ、行ってきます。あ、今晩も肉でよろしく」
「ん、行ってらっしゃい」
勢いよくドアを開けて、走って学校へと向かう。
いっつも走って学校に行っているので、もう少し余裕をもって準備とかをしておけばいいのに。
いや、今日に限っては僕がご飯を作るのが遅かったせいか。
ん?
まてまてまてまて、そもそもあいつが自分で作ればいいだろ。
なんだか申し訳なく考えたことが考えていることが馬鹿馬鹿しくなってきた。
ま、精神的に大人な僕が折れておくとして、とりあえず洗い物するか。
使い終わった皿をシンクへ運び、皿洗いを始める。
「……そういえば昨日の洗い物残ってないな」
昨日は帰ってきてすぐ眠ってしまったので、昨日の洗い物が残っていると思ったのに。
ってことは食べた後自分で洗ったのか。
あいつやろうと思えば炊事できるのに、何で頑なに自分でやらないんだよ。
まぁ、なんか嬉しいな。
子供の成長を見た感じ。
「成長したんなら朝食も自分でやってほしいけどな」
スポンジを手に持ち、洗剤をなじませ洗い物を始める。
洗剤の量が多かったのか、泡が無限化と思うほどに出てくる。
まぁまだ洗うものも多いし、泡が多い分には困らないかな。
洗い物も中盤。残り半分の所で、機械的な音が等間隔で連続的に流れている。
僕のスマホに電話が来ているようだ。
誠心誠意お話描きます。
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