後日談:前編2
現在時刻5:32。という事は、睡眠時間は三十分くらい。
めちゃくちゃ眠い。意識が溶けている。
今なら反射神経の壁を越えた速度で動けるかもしれない。
「叡智にたどり着いたような理屈並べてもダメなもんは駄目だよ。わかったら飯を作れ」
「ぐぅー」
「は?起きろよ。起きないと手当たり次第に連絡先消すぞ」
「わかった、起きた、だからやめろ」
ギシギシに軋む体を起こして、散らばった思考を組み立てて、ぐちゃぐちゃの意識を固め直して、妹の方を向きなおす。
妹の方を向いて初めに見えた妹の行動は、僕のスマホを手際よく弄る姿だった。
これは僕の目がおかしいのか?起きたばっかりだから自分のスマホと妹のを見間違えたのか?
きっとそうだ。そうに違いない。
目を擦り、再度妹の手の中にあるものを確認。
僕のスマホだ。
「え、友達増えた?」
「なんで勝手に人のスマホを見るんだ?」
「友達増えた?」
「……増えたよ」
取り付く島もなく、そもそも取り合ってくれない妹。
ただ、それが平常運航で、通常運転。いつも通りか。
因みに増えたという友達は、片喰さんと途野さんの事だろう。
「はぇ~。友達が少ないで有名な兄ちゃんが新しく友達作るなんて珍しいなぁ。でも相変わらず心好さんの連絡先は無いんだね」
「うん、ないけど?」
「なんでそんなに自慢げで誇らしげなの?」
友達少ないって馬鹿にされた事すら気にならない。
なんてったってそれは友情の証。連絡先がないことが親密の証明。
六架の言う事によれば、この連絡先を渡さないという関係は僕以外とは築いていないらしい。だから、この秘密は僕たちだけのものだ。
「なんかきもいわ」
「なんで!?」
「雰囲気。あと考えてることが伝わってきそうなその顔」
「雰囲気がきもいってなんだよ。っていうか顔がきもいっていうのは聞き捨てならないが」
「知らないよ。勝手に気持ち悪くなったんじゃん」
「酷くないか?」
「いや、酷いのはそっちだよ。妹を飢えさせて。早くご飯作れよ」
「理不尽じゃない?」
プロの辻斬りと勘違いするくらいに通りすがりに理不尽を突き立てる。岡田以蔵かよ。
まぁさっきも思ったが、こいつとまともな会話ができる訳がない。
「わかったよ、ちょっと待っててな。何食べたい?」
「トーストと目玉焼きと白米と肉」
「朝から食いすぎだろ」
「乙女になんてこと言ってんの?キレそう」
「乙女が口悪すぎないか?」
「このジェンダーレスが奨励されてる時代に、言葉遣いが何たらっていう風に突っ込むの良くないと思う。デリカシーな部分だからもっと気を付けてよ」
「もっと丁重に扱うのはお前の方だし、ジェンダーレスはそういう意味じゃない。どちらかというとユニセックスな言葉遣いだろ」
「確かに」
なんか妙な所で物わかり良いな。
これ以上触れたら誰のとは言わないが、知識があんまり無いのが見えていくからかな。
そういう意味では空気が読めるいい妹か。
寝ぐせのついた頭を掻きながら、台所へと向かい、冷蔵庫の中身を確認する。
牛肉と卵と、冷凍した白米、バターもある。お、キャベツもあるな。
パンにバターを塗りトースターで焼く。
「肉は何でもいいのか?」
試しに聞いてみる。
「鳥で。何だったら手羽先食べたい」
「牛しかない」
「なんで聞いたの?手羽先が無いってんならまだしも」
「何となく」
「キレそう」
「やめて」
誠心誠意お話描きます。
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たのむ~




