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自分が呪いになる話

 時間が止まったような感覚。思考が完全に停止する。

 ただ、途野さんが異常なことをいう訳が無い。ここまで人に気遣って、思いやれる人間なんだ。

 僕は途野さんの事を妄信はせずとも、信頼はしている。


 もし間違ったことを言っていたとしたも、その時はこちら側からそれを教えればいい。

【そういえばなんで作ろうとしているか説明していなかったね。あの場所へ行って分かったけど、ここちゃんが閉じ込められてるあの結界は、シッポウ以上のコトリバコのみが侵入できるように作られているみたいなんだ。だから、今回コトリバコを作る】

「コトリバコを作っても、六架の事は助けられなくないですか?僕たちは侵入できるわけでもないんですし」

【まぁまぁ、ちょっと落ち着いて。そこの説明もするけどその前に、もちろん正規の作り方じゃないよ?今から水子なんて用意できないし、用意できたとしてもその時点で人の道を外れている。ま、これからやろうとしていることもかなり非人道的だけどね。ちなみに今回は、私たちを材料としてコトリバコ。厳密に言うとコトリバコに似たものを作る】

「僕たちで作るって、どういうことですか?」

【私たちが呪いの材料になるってことだね。まず初めに、私と己喰君で右手首を切ってこの箱一杯に血を注ぐ。そしてその血を魔法で球形に固めて箱の中に入れる。そして箱の中にまた私と己喰君の左手首から血を注いで、それを優君が飲む。それで、呪いが完成】


 説明を聞いて考える。

 これから二人は自分の体を傷つけて、死の危険にさらす。

 手首を切った時に動脈を深く切ってしまったら、その時は治癒魔法を使えない僕にはどうすることも出来ない。


 それに比べて、僕は他人の血を自分の体に取り込むだけ。

 僕の我儘で今の状況を作っているのだから、僕がもっと不利益を被るべきじゃないのか?


【ちなみに、リストカットぐらいじゃ大体死なないからそこは安心してね。何だったらすぐに血が止まっちゃうかもしれないくらいだし。んで、今回一番危険なのは優君だね。この儀式を行うと、優君はコトリバコの入れ物的な立ち位置になるんだよ】

「……なるほど」

【そしてコトリバコになった人間は、子取り箱なんて名前の通り今後子供を作れない。それに、それ以外の何かが優君の体に起きるかもしれない。こればっかりは分からないね。解呪の方法を今後探すけど、見つからないかもしれない。この危険性、十分理解してね?それに己喰君のほうも、もしかしたらリストカットの痕が残るかもしれない】


 途野さんの声は、暗くなることも重くなることも、ましてや明るくなることもしない。

 のっぺりとした話し方で、言葉をつなげていく。

 ただ、僕たちの事を気遣っていることは解る。


【もちろん、これを強制しようとは思わない。もし嫌だったら、誰かひとりを犠牲にするようなほかの方法もあるから、その時は私が】

「それはやめましょう。ここまで巻き込んでおいて、僕が何の犠牲も負わない方法を選ぶのは絶対に無いです。そもそも途野さんが犠牲になる必要もないし、なるとしたら僕が犠牲になりますよ」

【まぁ、そういうと思ったよ。君はそういう所優しいからね】

「あと、己喰さんがこれを許してくれるかどうかです。もし嫌なら、僕も強制したくない」

「んー……正直優さんとか六架さんと、特段仲良くないし話したことも無いんですよね。返すような恩もないし、助け合うような仲でもないし」


 そりゃそうだ。片喰さんが僕を助ける義理など、どこにもない。

 断られても仕方がな


「今度いつでもいいんでご飯奢ってもらえます?」

「え?」

「恩はこれから作ってくださいよ」

「もちろん。むしろ奢らせてください」


 ノータイムで反応した。

 見ず知らずと言ってしまっても過言ではない程に親睦の深まっていない僕たちの事を、自分を危険にさらしてまで助けようとしてくれる。


【私の方からも奢らせてもらうよ。こんな時間に呼んじゃったしね】

「んじゃあやりましょう!私はたくさん食べますよ?」

【よし。じゃあ始めようか】

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