先輩のものに勝手に手を出す話
「先輩、この先に起こることも書いてあるって言いましたっけ?」
出来るだけ途野さんに擦り寄るために、基本的には使わない先輩呼びをしてみる。
【いきなり先輩呼びって。なんか優君には合わないね】
「まぁ良いじゃないですか。それよりも、先に起こる事ってどこまで書いてあるんですか?」
【そうだねぇ、この台本には助ける方法を手に入れるーーー】
「先輩!その台本見せてもらっていいですか?」
【何で少し興奮気味なんだ。駄目とは言ったものの可愛い後輩からのお願いだし、別にそこまで考えがあって否定したわけではないから。それに、私が優君の立場でも見てみたいと思ってるだろうしね。はい、どうぞ】
「ありがとうございます!」
差し出された台本を手に取り、そこに書いてある内容を確認する。しかしそこの中には僕の期待していたもの。
つまるところ六架を助ける方法は乗っていなかった。
心なしか途野さんの刺すような視線が僕の方へ向いている気がして、少し後ろめたくなる。
気分を損ねてしまったのか?
暖房が効いてからからになった生徒会室の中にいるにもかかわらず、背筋に悪寒が走る。
【めぼしいものは見つかったかい?】
「いや、見つからなかったです……」
【話はみなまで聞くものだよ?改めて言うと、その台本には助ける方法を手に入れる糸口を探している場面までが書いてあるんだ。だからそれの中に助ける方法は乗っていないよ?】
「そうだったんですね。っていうか、台本がないとうまく話せないって言ってましたけど、普通に話せてるじゃないですか」
【そりゃ取られることを見越して、台本の表紙にもセリフを書いておいたからね。今はそれを読んでるんだ】
持っている台本の裏を見ると、文章が何行か書かれている。
その中にはさっき途野さんが話していた内容と、恐らく一言一句違わずに合っていた。
恐らくと付けたのは、僕は記憶力に自信がないので本当に一文字もあっていないのか確信がなかったから。
「だから僕の方をずっと見ていたんですか?」
【うん、そういう事。でもそろそろ書いてあることが底をつくから、台本を返してもらっていいかな】
「わかりました」
手に持った台本を途野さんに返して、改めて自分の心の中で考察を進める。
もしあれが誰かが仕組んだものだとしたら、誰かが僕の事を貶めるためにやったことなのだろうか。
いや、少なくとも僕が標的ではないはずだ。
今回僕は六架に偶然同行しただけであって、もし今の状況が人為的なものだとしたらその主犯にとって僕はイレギュラーな存在のはずだ。
という事は、相手の標的は六架だったっていう事か。
それに加えて今回は呪術を使うような相手。この二つで犯人を絞れそうでもあるのだが。
「途野さん」
【なんだい?私は確かにこの学校について知っているけど、この学校の生徒についてなんてそんなに詳しくないよ。だから名前を覚えられたら有名人になれるなんていう噂が流れてるんじゃないかな】
「確かにそうですね。たくさんの中から覚えられてるから希少価値が生まれるんですよね」
【別に希少価値を作ろうと思って覚えてないわけではないんだけどね。誰がこんなことを言い始めたんだろうっていうのは興味深いところではあるんだけど】
「そうですね」
【なんだか相槌が適当になってるよ。まぁこんな非常事態だから雑談に重きをおいてはいられないか】
そう、今僕の頭の処理機能は雑談に一割、問題解決の糸口を探すことに九割持っていかれている。
そのせいで相槌が雑になっているのは確かに否めない。
【まぁ私の方としても、うちの学校の生徒が大変な事になってるのは見過ごせないからね。私なりの考えも作ったから、聞いてもらってもいいかな?】
「ぜひ聞かせてください。一人より二人なんですから」
願ったりかなったりのその提案に、少し食い気味に反応してしまう。
【自分の言ったことを持ってこられるとなんか恥ずかしいね。じゃあ私の考えね】
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たのむ~




