救済の糸口を探す話
【さて、やっと来てくれたね。もう少しで明日教室まで直接会いに行くところだったよ】
「それは本当にやめてください」
【冗句だよ。さて、どうしてこの時間まで学校内に。ましてや神社に入ることになったのかを教えてほしいね】
無感情で滔々と話すその口調はには威圧感があり、少し伏し目がちに話してしまう。
確かに疚しい事をしているので、この反応は正解なのかもしれない。
【ふむ、なるほどね。じゃあ地下のコトリバコと一緒に、六架くんが閉じ込められているのか。それは大変だね。奥底を探索しに行くよりも、早く相談しに来てほしかったよ】
「本当に言う通りです。でもあの時はなんか自分が自分じゃなかったというか、僕の自制心が弱かったというか」
【まぁ、予想しえなかったことが起こった時に、真面目な人ほど自分の判断は正常であるということを信じて疑わないっていうやつだね。それと恐怖の根源を知りたいという好奇心があいまった感じかな】
「いや、それも確かにあったと思うんですけど、でも途中で自分がおかしいことに気づけたんですよ。それでも何故か体が勝手に動いて」
【なら、それはそういう呪いがあったんじゃないかな?ほら、言霊という言葉にすれば実現する力があるように、文字も心を込めて書けば力が宿るんだ。君もそんな体験は無いかな】
「自分主人公のオリジナル小説を書いてたら、小説の中の自分と性格が似通ってきたみたいなそういう事ですか?」
【私は自分が主人公の小説を書いたことはないから良く解らないよ。というかそう考えたってことは君はそれを書いたことがあるってことかな?】
途野さんがじっとりとハイライトのない目でこちらを見る。なんとなく軽蔑されているのがわかる。
掘る必要のない墓穴を掘ってしまったが、こういう時は話を逸らすに限る。
「文字の力っていうのがあるんですね……初耳でした」
【さっきの発言については後でよく聞くとして】
年頃の時に作った業の深い黒歴史を、深くまで追及されるようだ。
【そうだね。でも、あの神社の中は優君が読んだっていう『呪法百禁』以外には特に文字が書いてあるものはないはずだから、その線は無いかな。せっかく案を出したけど、この線は追わない方が話が進みそうだね】
「え、文字がない?」
【うん。あの神社は一応うちの学校の所有物だから定期的に管理をしているんだけど、そんなものはなかったはずだけど。さっきの言葉に引っかかったってことは、もしかして何かがあったのかい?】
あの神社には文字がない?そんな訳がない。
この話題が出るまで失念していたので途野さんにも伝えていなかったが、社の中に入ってすぐ、正面に『一意専心』と筆で書かれた文字が飾られていたはずだ。
あの時は全く関係なく必要もないものだと切り捨てていたのだが、もしかしたらあれは仕掛けられたものなのか?
そう考えれば辻褄が合う。
恐怖という好奇心に侵されなかった六架はあの標語をほとんど見ていなかったが、狂気に負けた僕は調べるときは徹底的に調べるタイプの人間だからあの標語についてなんの関連性があるのかを考えていた。
額縁も周りのものよりも思ったより綺麗だったし、そう考えたら最近設置されたものだとしてもおかしくはない。
「あの神社の中には標語が書いてあったんですよね」
【ふむ、なるほどね】
平坦な口調で相槌を打つ。
ただ、目線はいつも通り手に持った書類に向いているので、さっきの相槌は適当なものだったのではないかと少し心配になる。
「いつも書類に目を向けてるのってなんでなんですか?」
心配になったのと、何となく気になったこともあり質問する。
【あぁこれかい?これは書類というか台本だね。これがないと私はうまく話せないんだ】
「台本?」
【うん。これから先に起こることもここに書いてあるよ。読んでみるかい?】
「なんですかその予言書みたいなの。というかそれ僕が読んでも良いんですか?」
【うーん、やっぱりだめ】
「そのセリフも台本に書いてあるんですか?」
【そうだね。君がこの台本を読みたくてこの台本を奪うところも書いてあるよ】
「え、なんですかその展開」
【そういう展開が書いてあるんだよ。だから私はすでに心の用意は出来てるんだ】
いや、確かに中身は気になるのだが、そんな無理やり奪ってまで読もうとは思わない。
いや、待てよ……先に起こる事?
誠心誠意お話描きます。
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たのむ~




