心が弱いのを再確認する話
「……ないなぁ」
呪法百禁という名の怪しげな本を読みながら呟く。
本の内容的には、まぁ少し過激派のオカルト大好きな中学生が見るようなチープなもので、呪いを使う方法や種類が書いてあるものだった。
《藁人形は丑三つ時に髪の毛を入れる》
や、
《大きな壺の中にたくさんの種類の毒虫を入れて強い毒を作る》
などの呪いの方法。
ほかにも
《百回神社をお参りすると願いが叶う》
や、
《紅白の糸を結び、体に身に着けると願いが叶う》
などの呪いの方法が書かれていた。
もちろんその中にはコトリバコの作り方も書かれていたのだが、その項目には空間に閉じ込める方法などどこにも書いていなかった。
もしかしたら他の項目にあるかもしれないと思っていろいろと目を通すが、どこにも見当たらない。これ以上探してもありそうもないし。
「スマホで調べるか」
ネットを使えばすべてが解決するという謎の希望を抱きながらスマホを開く。
ロック画面に映る時計を見ると、既に十一時を回っていた。現在23:16。
妹から明日になる前に帰れと言われていたのを思い出す。ただこんな状況では帰ることが出来ないし、そもそもあいつは二十二時には寝てしまうし僕が返っていないことなど気付かないだろうし。
報告しなくていいか。
スマホを見ている目の端にちらちらと白いものが舞っていた。それを確認するために外を見ると、雪が足を埋めるほどに積もっている。四時間ちょっとでここまで積もるか。
……この神社潰れないよな?雪のもたらす荷重は中々無視できないぞ?
そんなことよりも、一つ気になることができる。
外の雪が一部だけ光り輝いているのだ。今までにそんな特殊な雪は見たことがないし、あそこに何かがあるのか?
いや、雪が光っているのではなく、雪が光を反射しているのか。
自分の勘違いに納得しながらも、また新たに疑問が生まれる。どこの光を反射しているのだろうか。
ナイターライトだとしたら光が弱いし、それ以外に光るようなものはうちのグラウンドにはないし。
光源を調べるべく、外に出る。
光は部活棟の方から差し込んでいた。あそこは……生徒会室だろうか。もしかしたら途野さんはまだ学校にいるのか?
だとしたら、手を借りたい。
この学校の長ともいえる地位ならば、あの迷宮について何か知っているかもしれない。いや、むしろあんな禍々しいもの、知っていないほうがおかしい。
もし知らなかったとしても、噂の観察眼と常に学年一位の類まれなる知能をもった途野さんの力ならば、今回の問題をどうにかしてくれるかもしれない。
今回の問題。先に大見得を切ったが、六架が言っていた通り誰かの手を借りないと解決できそうにないし。
「……行ってみるか」
神社から外へと踏み出そうとして、改めて考える。
どう考えても消し忘れのほうが確率が高いのに、なぜさっき学校にいるという前提で考えていたのだろう。
猫の手を借りたいという気持ち。自分に都合のいいことしか選ばない選択的思考。それが強くなっていたせいだろう。改めて自分の自制心が弱いことを感じる。
それにそもそもこの問題にほかの人間を巻き込んでいいのだろうか。何も関係がない途野さんを巻き込んでいいのだろうか。
良い訳が無い。さっきしてしまったことを忘れていたようだ。
僕が六架を巻き込んだせいで、現状大変な事になっているんだった。
戻るか。
巻き込もうとしている僕が馬鹿みたいだ。
考えを改めスマホを使い調べようとすると、電話が来る。
誠心誠意お話描きます。
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たのむ~




