おでん屋
「へいらっしゃい!」
俺たちが足を踏み入れたのはおでんの屋台だった。
いい匂いがしたのでちょっと立ち寄って見たのだ。
「可愛らしい客さんが3人も入ってくるなんて珍しいこともあるもんだな」
「はぁ?可愛らしいお客さんが3人?」
思わず俺は店主に突っかかってしまったのだが、よくよく考えると今の俺は女の子だったので別に間違いなんだと気がついた。
俺の荒い声にすっかり萎縮していた店主だったが、俺が大根を注文すると普通に接してくるあたりプロなのだろう。
「へい大根お待ち」
「おお〜!!、美味そうだな〜!!」
マオのやつが大根を見つめて大きく口を開けていた。
「おいおい、自分で頼めよ、金ならあるから好きな物を食え!、ほらアイカもな!」
皿と箸を箸を2人に渡す俺だったが、やはりアイカの表情は暗い。
それを見かねた俺が大量に注文し、彼女の前にそれを置く。
「アイカ!、とりあえずそれを食って忘れろ!!、いつかまたアウスとは決着をつける時がくると思う、その時に活躍すればいいじゃないか!、今は取り敢えずそれを食って体力つけろ!、しけたツラされてるとこっちまで不味くなるだろ?」
ニヤッと笑いながら俺は彼女にそう言う。
数秒の静寂の後に彼女がプッと笑い出した。
「...、ふふっ...、ユウリってそう言う人でしたね...、わかりました、これを食べて一旦全て忘れます!」
それだけ言うと彼女は黙々と食事を手に取り始めた。
そに食べっぷりを見ていると彼女に元気が出たのがわかる。
「そうだ!、それでいい!また今度頑張ればいいんだ!、今は食って寝て脅威が去ったことを喜べばいい!」
おでん屋の一角で盛大に祝う俺ら。
何を?と聞かれるとよくわからない俺だが、とにかくお祝いだ。
俺たち3人は誰も駆けることなくこの島でやるべき事をやったのだからそれでもういい。
とにかく今日は好きな物頼んで飲んで寝る!。
そう言う日にしようと思っていたのだが、請求書を見た時、俺の瞳は曇ってしまった。




