リンの生きてる世界
私の話を相槌を挟みつつ聞いていたタマラとサワラ。
一通り話し終えると私の頭を撫でつつタマラが口を開いた。
「うーん、でもそれってさァ……。仮に夢だったとしてリンは『探して』って言ってた訳でしょ? で、この世界に連れてこられたんでしょ? リンはこの世界にいて探して欲しがってるって事だよね? ……探さなくてもいいの?」
そりゃあ……夢とは言えリンのお願いなら聞いてあげたいとは思う。
こんな時じゃなかったら。
まずは現実の世界のリンをどうにかしてあげたいんだ……。
「でね。この世界は私に……私達にとっては現実だから私視点からみれば、そのリンの夢も現実って事になるわけなんだけど。なら、この世界にあなたの言う現実のリンはいて生きてるって事じゃないの?」
……ん? ん~~~~?
いや、夢だから。一瞬リンはこの世界で生きてるのかと期待してしまった。
でもリンの冷たくなっていく体は……ううう、また涙がでそう……あの悲しみを私は覚えている。
「でも、貴女はやっぱりこの世界を夢だと思っているのでしょう? ならとりあえずは……」
私の前にちょっと覚めたおいしそうなオムレツっぽい物を差し出した。
もちろんサワラの前にも。
「ご飯たべてさっさと眠っちゃいましょう! これではっきりするでしょ?」とニッコリ。
そしてお腹がすいてた私はそのなんだかわからない具材たっぷりの美味しいオムレツをペロリと食べて。
タマラに案内されたベッドに横たわった。
色々な事があってなかなか眠れないかもしれないと思ったけど、案外睡魔はすぐにやってきて。
ああ、しまった、眠る前にせめてタマラとサワラにお礼とお別れを言っておけばよかったと凄く後悔しながら眠りについたのだった……。
……あたたかい……。
リンの高い体温は私の布団をほかほかにしてくれる。
例えギリギリ触れない位置に陣取っていてもリンの体温を感じる事ができた。
……もう……
あのぬくもりを……。
感じることはできないのだと
理解した……
理解して目が覚めた。目からは涙。またか。
そして目前には見知らぬ部屋。
いや、知ってる。
ここは夢の中の世界……だと思っていた場所だ。
そう。そうなのね。あの夢は現実。ならリンはここにいるのね?
なら私は探す。絶対に探し出す! あなたに言われたからじゃない。
だた私がもう一度リン会いたい。
そう新たに決意をするととても心が軽くなった。
「さ~む~い~……」
えっ? 声の方向を見る。私の横で裸で横たわっているタマラ。
その素晴らしい裸体、私の視線に晒されまくりですよ……。
無言で布団をかけてあげる私。
あれえ?なにこれ……あれえ、私昨日、ただぐっすり眠っただけだよねえ?
タマラは急にガバッと起きて顔を近づけるとニヤリと笑った。
「ね!? 夢じゃなかったでしょう!? 今日からリン探すの一緒に手伝うわね!」
いや……うん、ありがとうございます。
でも私としては今凄く気になってる疑問をぶつけてみてもいいですか? ちょっと怖いけど。
「タマラ……なんで一緒に寝てるの……?」
いや、それも気になるけどそもそもなんで裸なのかという事もですね…。
「ん~……だってベッド2つしかないもの。サワラのベッドは小さいし。なら私のベッドで一緒に寝るしかないでしょう?」
なるほど。そーいう事なら私居間のソファーで良かったんですけども。
「居間のソファーは寝心地悪くてお客さんには失礼だしね」って、私の考えてる事がわかるのかと思うぐらいちょうど良いタイミングで言ってくるタマラ。こわいこわい。
とりあえず裸の件は……見なかったことにしていいですか。いいですよね。
「普段はこーいう時どうするの?」
ふと、ちょっと気になったので軽く聞いてみた。
「……普段なんて、ない。」
タマラが服を着替え始めたのでみないように後ろをむいた私。
タマラの表情は見えないけどその声のトーンからそれは聞いてはいけない事だったのだと思った。
皆で朝食をとりながらリンを探す相談をはじめた。
サワラはどうやら体があまり丈夫ではないらしいので、家から見える範囲にだけ注意してくれという事になった。
タマラといえば……なんかこんな美しい容姿をしていながらハンターなんて職業らしく。
それは何をする職業なのかな?と聞いてみたところ笑顔で魔物を倒して収入を得るのよ(ハート)と返答された次第です。なるほどそうですか……。
なので結構な範囲を捜索できそう、って事でリンの特徴を聞かれた。
特徴……難しいな。だって普通の黒猫なんだもの。
耳が欠けてるとか、尻尾が二股になってるとか……そんなわかりやすい特徴は全くありません。
黒い猫。金の目。首には小さな金色の鈴がついた赤い首輪…これだけ。でもとりあえずこれだけ伝えてみると……。
「ねこ??」
「クロネコ??」
と驚かれて。こんな感じで~…って絵を描いたら「なんだ~。これはミーアバットだよ~。チキと同じ種族なんだ~。」とサワラに笑って言われ「いやいやいや、チキとは全然違うよ~。リンは目が二つだよ?」というと「珍しいミーアバットだねえ。これならすぐ見つかりそうね。」とタマラが納得する。
全然違うんだけど……。
どうやら猫という生き物はこの世界には存在しないらしい。
となると、特徴がないどころか目立つ生き物という事か。一気に探しやすくなったなあ。
「目が二つのミーアバットなら俺、知ってル」
一斉に皆がチキを見た。
ビクリとするチキ。
「えっと……居場所も知ってるけど……へ、へへへ。俺エライ?」
私、タマラ、サワラの声がハモる。
「えらい!!」




