攻防戦。
D大の3号館屋上に立ちはだかり。
皆が集合する中央広場を見下ろしての麻衣の登場は、単なるカッコ付けのつもりではなかった。
麻衣の左眼は旧・電 デモリッシュ から続く高放出電流技の照準を合わせる為、強力な光源に耐え得るメカニカル・アイとなっている。
対して右眼の能力は通常の使い方の他、対象のメカの回路図や飛び交う信号をサーチする役割も持つ。
キャンパスの中央広場を見据え、麻衣は考えていた。
ほぼ中央付近にイスロの軍用トラック三台が並び、それを背にして学園生徒・学生・職員達を集合させ。
それらを取り囲むように兵士10名、戦場型戦闘ヒューマノイド40体が機関銃を構え、隊列を組んでいる。
セルピエンテは一人、腕を組んで軍用トラックにもたれかかっている。
「アイツね。
あの余裕かましてる奴が大将」
セルピエンテを憎々しげに睨む麻衣。
本当に、今すぐにでもクリティカル 電 デモリッシュ でイスロ部隊を全滅させてやりたかった。
実際、自分の立っている大学3号館屋上という高さからクリティカル 電 デモリッシュ を放てば、それは可能に思えた。
クリティカル 電 デモリッシュ を取り入れるに当たり、麻衣の身体に大幅な装置の追加は不可能とわかり見送られたのだが。
両腿の付け根にある発電装置だけは以前のものより大き目で強力なものが設計され、常備電力も倍以上に増やすことに成功している。
それにより旧・電 デモリッシュ と比較し、クリティカル 電 デモリッシュ では射程距離そのものも伸びた上、距離ごとに威力の拡散するグレードアップを得ていた。
しかし。
その クリティカル 電 デモリッシュ も、今の状況では使えないことがわかった。
生徒・学生・職員達が真ん中に集められ、取り囲む部隊を狙ったにしても彼らを巻き添えにしてしまうのは明らかだった。
「どうしようか………」
腕組みをしたまま、思案にくれる麻衣に対し。
セルピエンテは笑みを浮かべながら軍用トラック車内から拡声器を取り出し、呼びかける。
「どうした!?
手も足も出ないか!?
わかったら大人しく投降しろ!!
下手なことをしようなら、コイツら全員射殺だぞ!!」
さも愉快そうに笑うセルピエンテ。
だが、麻衣の右眼、サーチ・アイは探り当てていた。
軍用トラック三台の内、一台の助手席に兵士一人が残り。
パソコンらしき物を操作している…………
そこから信号が発信され、40体の戦場型戦闘ヒューマノイド各々の胴体へと到達しているのを!
「あれだわ!」
ただ、その軍用トラックへ向かう方法も慎重にならざるを得ない。
「誰か注意をそらしてくれる、もう一人居てくれたら………」
唇を噛む麻衣。
すると………人質となっている職員の中に親指を立てて掲げる者が一人。
金髪で大柄な体格、エリック=ティーチャーだ!
おもむろにエリックは変身を始める!
Change!
One!
two!
three!!
Eric, Change!!!
「エリック先生!?」
突如、戦闘ヒューマノイドへ変身を遂げたエリックの姿に、周囲の皆は仰天する。
取り囲む兵士達も銃を構えるのも忘れ、ただただ呆然。
さすがのセルピエンテも両眼剥き出しの形相だ。
「………ここにも居やがったか?
ゲリラ式戦闘ヒューマノイド!」
変身したエリックは目の前の兵士をいとも簡単になぎ倒し、輪の外へと躍り出る!
「Come on!!」
兵士達に向かい、かかって来い!とアピールするエリック。
慌てて命じるセルピエンテ。
「何やってる!?
さっさと撃て!!
撃ちまくれ!!!」
思い出したように銃を構え、兵士達はエリックに向けて一斉掃射を開始!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
エリックは怯むどころか、銃弾を避けながら走ってサイドに回り込むと、端に立つ兵士へと突進!
ラグビー仕込みの強烈なタックルをお見舞いする!!
「Ouch! 」
たまらずなぎ倒される………いや、吹き飛ばされる兵士!!
同時に、横並びに隊列を組んでいた他の兵士達も将棋倒しで吹き飛ばされる!
現場は瞬く間に騒然となった。
「………今だ!!」
麻衣は大学3号館屋上から跳び上がり。
軍用トラックへ向け、一気に急降下していく!!
〈攻防戦・完〉




