避けられぬ闘い。
中米・イスロ本部。
薄暗い地下の一室に監禁されている日向。
絶望的な状況の中で彼は、自身の半生を振り返っていた。
これまで自分のやって来たことは、何だったのだろう。
世間の役に立つ科学技術を提供することを夢見て、学者への道を選んだ。
その為に日々邁進し、努力を惜しまない姿勢で生きて来たはずだった。
しかし、その結果は何だったか?
悪の手先となり。
挙句の果ては全てを失った。
自分の目指していた高みも。
夢も。
そして……大切な家族も。
更に、人々の命を救おうと自らの生み出したヒューマノイドが。
恐ろしい兵器となり社会を脅かそうとしている……………
全ては自らの愚かさがもたらしたことと、日向は自分を責め続けた。
死を以ってしても、償えるものではない。
しかし………
このまま死を迎えることになるだろう自らの運命。
せめてもの願いだったもの………
一目、家族達と逢いたかった。
娘と、話がしたかった………
イスロの派兵部隊・戦闘ヒューマノイド師団の突撃訓練は、日向の幽閉される地下室まで銃声を響かせていた。
司令室では、ドメニコに一人の軍服の男が呼び出されていた。
「(セルピエンテ。日本語は習得したかね?)」
「ええ、ボス。
意外に簡単でしたぜ?……フッフッフ」
ドメニコに流暢な日本語で答える、軍服の男………
彫りの深い、浅黒い肌に口髭を蓄えたラテン系の顔は如何にも狡猾な表情をしている。
セルピエンテ・ペドロサ。
イスロ対外派兵師団極東部隊隊長。
「………ふむ、良かろう。
向こうでは存分にスシでも食って来るが良い」
満足そうに頷くドメニコ。
「フッ、俺はスシより日本の女を存分に食いたいね。
フッフッフ」
狡猾な笑みを浮かべるセルピエンテに、ドメニコは吹き出しながらも言って聞かせる。
「相変わらずだな、セルピエンテ。
しかし用心しろ。
serpiente venenosa (毒蛇) の異名を持つ貴様でも、ゲリラ式戦闘ヒューマノイドは少々勝手が違うかもしれんぞ。
寝首を掻かれんようにな」
セルピエンテの眼光が光る。
「フフッ御安心を。
我々が戻る時にはスクラップの山を残して来ますよ」
その頃、日本では。
「博士。
警察より任意捜査の申し出が来てますが」
都内の研究室にて、電話を取った職員が美枝に報告していた。
(いよいよ、来たのね)
美枝もまた、覚悟を決めなくてはならなかった。
一方、エリック=ティーチャーのマンション。
「serpiente venenosa (毒蛇) 」
最新ハッキング情報をケビンがシェアしていた。
「………やっぱり奴が来るか」
呟くカイトが拳をポキポキと鳴らす。
マーフィがニヤリと笑う。
「へッ、毒蛇だと?
蒲焼きにしてやるぜ(笑)!!」
迎え撃つ気マンマンのゲリラ式戦闘ヒューマノイド達であった!!
〈避けられぬ闘い・完〉




