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猫とZ世代。

最近、来迎寺家の飼い猫ニャーミーは、あまり元気がニャい(無い)。


外にお出かけもしなくなっていた。

食欲も以前より落ちているようだ。


飼い主の麻衣は当初

”このところ、急に寒くなったからだろうか?”

くらいに考えていたのだが、予想以上に長く続いている。


母・美枝と相談し、一度近所の獣医に診てもらったが、何かの病気にかかっているとかの心配は今のところ無いとのことだった。

麻衣も考えていたように、獣医も気候の変化もあるだろうと言い、暫く様子見ということにした。


しかし改めて麻衣が思い起こすと。

先日、麻衣の自転車にニャーミーを同乗(カゴに入れて)させて荒川の土手をサイクリングした時。

エリックの連れていた、あの黒猫と出会ったタイミングからなのは間違い無かった。


何しろ、ニャーミーを飼い始めてから初めてのことで尚更ハッキリしていた。


麻衣は獣医の言葉を思い出した。


”気候の変化の他に、何らかのストレスが関与している場合もあります”


そうした時は、猫に安らげる場所を作ってあげたり、いつも以上に優しく声をかけてあげると良いとも聞いた。


「よしよし……ニャーミー」


朝から麻衣が学校から帰って来るまで、ずっとベッドで横になったままのニャーミーの背中を、麻衣は優しく撫で続けた。

ニャーミーが、少しでもゴハンを食べてくれていることがせめてもの救いだった。


一方で。

ここ最近、首都圏にて起きている原因不明の事件のニュースが気になった。

猫や犬の焼死体が、あちらこちらで発見されているという。


「ヤなニュース…………」


麻衣は顔をしかめる。


ニュースによると、にも関わらず辺りに火を使った形跡が全く見当たらないのだと言う。


「どっちにしても、猫ちゃんやワンちゃん達を、こんな酷い目に遭わせるなんて!

絶対許せないわ!!」


怒りに震える麻衣であった!




自宅マンションで。

エリック=ティーチャーは、文字通り”猫可愛いがり”でシュワルツ・カッツを愛でている。


「ネコチャン♫

ネコチャン♫

カワイイ〜カワイイ〜!!」


その様子を、シュワルツ・カッツのアイ・スキャナーを通し。

遠く中米から監視しているドメニコと須賀。


「フフッ

このバカ親振りを見ろ!

ティーチャーの奴、完全に骨抜きにされておる」


イスロ司令室のモニターに映し出される、エリック=ティーチャーの満面の笑み。

彼は、愛猫が戦闘アニマロイドであるという事実も。

それにより自身が監視され続けている事実も知らされていないのだ………


「どうかね?Dr.スガ。

自分の”作品”の出来栄えは!?」


須賀はモニターへは一切目を向けず、自分のスマートフォンをイジり続けており。

ドメニコの呼びかけにも気付かない。


「Dr.スガ!」


「あ……はい」


「シュワルツ・カッツの出来栄えはどうだ?と訊いておるのだ!」


「あ……はい。

良いんではないでしょうか」


須賀は、自開発のアニマロイドの事すら無関心にも見えた。


「あの………………ボス」


「何だね?」


「あの…………もう時間ですし、上がっても良いでしょうか」


「はあ?」


時計は17:00を少し越えたところだった。


「Dr.スガ。

私の知る日本人とは

”24時間闘えますか?”

などと、まるで軍隊のようなスローガンを掲げる程の勤勉さを持つと聞かされ驚いたものだが。

君は例外のようだな。

ヨーロッパの感覚に近い」


ドメニコの皮肉めいた言葉にも、須賀は顔色も変えずに返す。


「…………そんな日本人は、僕の周りにいません。

そうゆうのは”昭和”ですね」


「………………ショーワ!?」


顔がクエスチョン・マークのドメニコを置き去りにするかのように、須賀は部屋の出入口ドアを開ける。


「スイマセン、押して(時間が)るんで。

これから友達と会うので…………

失礼します」


軽く頭を下げ、そそくさと須賀は出て行った。


残されて唖然とするドメニコは。

これが日本では

”Z世代”

と呼ばれる世代の特徴なのだと後に知ることになる。


モニターには相変わらずエリック=ティーチャーの満面の笑みが映し出されていた。


〈猫とZ世代・完〉

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