喰らえ!クリティカル・電・デモリッシュ!!
劇的な学園祭カミングアウトで。
めでたくステディな関係となれた、剣持博己37歳と北原由美香18歳。
最初に二人が交わした約束事(ほとんど由美香からのリク)とは、1日最低3回のLINE。
まず、朝「おはよ♡」のLINE。
次に、昼「がんばろ♡」のLINE。
3つ、夜「おやすみ♡」のLINE。
その他にも話したいことあったら、いつでもLINEしていい♫という。
アプリ音痴だった剣持では到底思い付かない”約束事”だったが、彼にしてみればウン十年ぶりに出来た彼女が20近くも歳の離れた高校生という、奇想天外であり又新鮮な感覚が心地良かった。
そして由美香も同じか、それ以上に心地良い日々の始まりだった。
ほとんど一目惚れ?に近い感覚なのだが、由美香にとっても剣持ほどの年上カレシは初めてであり。
彼女にしてみれば
”一番大事なのはインスピレーション”
とのことで、いろんなカベを一気に壊して乗り越えたことに
「自分をほめてやりたい!」
とのことなので。
そもそも外野も、とやかく言わないのが粋というものだろう(笑)。
……………しかし。
世の中には、人の幸福というものを祝福出来ない哀れな者もいる。
「おやぁ?
ノーテンキなほど幸せそうな奴いるぞ?」
見ると、いかにもワルそうな男達を従えた金髪のギャルが笑っている。
「♫おひさしぶ〜り〜ね〜由美香!」
亜理砂。
由美香にとっては中学時代の友人で、同じ不良チームに居た仲だったが。
当時、由美香の付き合っていたカレシを横取りしようとして失敗して以来。
逆ギレかのように、事あるごとに由美香に因縁を付けている。
「聞いたぜ、由美香。
テメーまた男たぶらかしてチョーシこいてんだってな。
今度はパパ活だって?
ハハ、思いっきりダセェやつ(笑)」
由美香は怒りを露わにする。
「ザケンな!
男たぶらかしてたんは、テメェだろ亜理砂!!」
意に介さぬ、したり顔で亜理砂は言った。
「今日は、借りを返すには良い日だ♫
二度とウチにデケェ口叩けねーよーにしてやっからな」
いきなり由美香は両腕を男二人に抑え付けられ、身動き出来なくされ路地の奥へ連れて行かれ、壊れたベンチに無理矢理寝かされる。
セーラー服のリボンが抜かれ、ボタンが外されていく。
「やめろよッ、離せよ!!
テメェら、卑怯だぞ!!!」
もがく由美香を亜理砂は見下ろしながら言う。
「ウチはさぁ。
前っからテメーのデッケェパイオツが目障りで目障りで、ショーがなかったんよ。
おい!お待ちかねの、ごほうびだぜ♫」
グループの中で下っ端に見える痩せた男が、サバイバルナイフを取り出しながら涎を垂らす。
「ハイハイ、ボクちゃん、オ◯パイ星人なんで♫
今日は栄養いっぱい♫のを、クッキングメニューで美味しく頂きまぁす♫♫♫」
男の持つ、ナイフの刃先が由美香の肌に当てられる。
泣き叫ぶ由美香。
「嫌ァッッッ!!!」
(剣持さん……!!)
その時。
「やめな!」
由美香を切りつけようとしていた男が頭上から脳天へ蹴りを喰らい、白眼を剥いて倒れる!
「!?」
何が起きた!?
亜理砂が目を剥くと………見慣れぬ異様な姿の少女が、そこに居た!
戦闘ヒューマノイド・麻衣。
見参!
「な………何だっ!?コイツ!?」
「に、人間っ!?」
男達は慌てる。
無表情に麻衣は呟く。
「誰かが助けを呼んだ時………
わたしは必ず現れる!
ネコ一匹でも救い出す!!」
亜理砂が、わめく。
「ん〜〜ッ何してる!?
どうせコイツも小娘だ!!
やっちまえ!!!」
麻衣は、久々に戦闘ヒューマノイドとして自分の身体を躍動させる!
最初に仲間の一人が受けたダメージを見た男達は、及び腰になりながらも麻衣に襲い掛かるが…………
戦闘ヒューマノイドに到底叶うものではない。
瞬く間に男達は倒され、負傷者の山が築かれた!!
亜理砂は愕然とする!
未だかつて経験の無い、信じ難い光景に…………初めて恐怖する亜理砂!
ふと思い出したように、亜理砂は遠くの路上に停めてあった車へ向かって走り出した。
自分達を乗せてきた、車だった!
「一人だけ逃げる気!?
アンタ達みたいな悪党には、とことん解らせてやらないとだわ!!」
麻衣は体内エネルギーを両腕へ蓄積。
青白い火花を発し始めた拳をクロスさせ、構える。
「クリティカル!
電!!
デモリッシュ !!!」
前方に構えた麻衣の両腕から放たれた、強大なエネルギーの束………怒りのクリティカル 電 デモリッシュは、亜理砂の乗ろうとした車を直撃!!
それは一撃で車1台を木っ端微塵に破壊し、立ち昇る炎と黒煙が辺りを覆った!
きびすを返し、なおも必死に逃げようとする亜理砂。
「待ちな!!」
走って追う、麻衣!
その麻衣が追い付く前に、逃げる亜理砂の行く手に立ち塞がる黒尽くめの女がいた。
ドスッ
黒尽くめの女は、おもむろに亜理砂にボディブローをお見舞いし気絶させる。
突如現れた、華裏那だった!
麻衣に向かって、冷たく言い放つ華裏那。
「こんな雑魚ども相手に”必殺技”使うんじゃないよ!
サツ(警察)に足が付くだろ?」
「……………」
またしても、華裏那に何も言えない麻衣であった。
「そうそう、救急車呼んどいて。
4台程。
あと、レッカー車もね………いや、廃品回収車かな」
言い残して華裏那は、亜理砂を抱えたまま一瞬のうちに消えた。
「…………ありがとう。
助けてくれて、本当にありがとう!!」
恐怖から解放され、涙を流す由美香。
「大丈夫?」
身繕いを正した由美香に、戦闘ヒューマノイド姿の麻衣も気遣う。
「メッチャ怖かった(泣)!
けど、メッチャビックリもしてる!!
TVの中のヒーローに出会えた感じ」
涙に濡れた頬のまま、由美香は笑顔を見せる。
麻衣は少々照れ臭かった。
自分の前で由美香が、こんな顔をしたのは初めてだったからだ。
が………少し怪訝そうな様子もする由美香。
「ん?
チョイ待って!
ウチ、前、あなたと会った気するんだけど?
どっかで」
麻衣は焦った。
「え!?
そ、それは無いと思うんだけどな、ハハ」
(学校で会ったら、またいつもの顔なんだろうなぁ)
一人、苦笑いの麻衣であった。
〈喰らえ!クリティカル 電 デモリッシュ・完〉




