表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/64

兵器。

中米某国。


山中にある、廃墟化した病院の地下。

国際政治結社「ISLO」=イスロの研究室で……………

総帥ドメニコ・マングスタと顧問研究開発員である日向武雅博士は、大型モニターに映し出される戦場シーンを二人で眺めている。


画面には爆撃により激しく破壊を受けた市街地の様子とともに、展開する戦車部隊、そして作戦行動を続ける兵士達の躍動する姿が映し出されている。


「…………この後、飛来する敵国のドローン攻撃によって戦車部隊は壊滅するのだが。

注目は、その更に後だ」


不敵な笑みを浮かべながらモニターを観続けるドメニコ。

日向も固唾を呑んで見つめる。


ドローンによる爆撃が開始される。

重厚に見えた戦車も火を噴きながら木っ端微塵となり。

付近にいた兵士達の遺体が重なる。

……………しかし。

兵士の中に、そのような攻撃を受けても尚前進を続ける者達がいた。


「コレだ、コレ!

ウチ(イスロ)の戦闘ヒューマノイド達だ!!」

ドメニコが満足そうに画面を指差す。


モニターには、機関銃を抱えながら走り続ける無数の兵士達が映し出される。

だが………その顔は人間ではない!

金属の黒光りする、その無表情な顔に埋め込まれた、点のような両目のみが黄色く光っているのがわかる。


「かねてから”商品アピール”していた国家機関より発注があってな。

テストを兼ねた実戦でも良い、とのことだったので送り込んでみたわけだ。

ま、いわばティーチャーの弟達なわけだが、今回は即戦場行きの為”変身”イニシエーション機能を省き純然たる戦闘ヒューマノイド版にして引き渡した。

その分、コストも大幅に下げることも出来、引き取り先も大喜びさ!」


ドメニコは続ける。


「1号機に搭載してある電磁破壊能力(電・デモリッシュ)は、まさにゲリラ式の場合の最も有効的な内蔵兵装でもある。しかし、それらを含め製造コストやメンテナンスを考えると大量受注生産までの道のりは未だ遠い。

………そこでだ!

当面は兵装の互換性も含め、このような低コストの戦場向け戦闘ヒューマノイド生産に力を入れ、利潤獲得を第一の目標としたいと考えている」


ドメニコは得意げだ。


「見ろ!こいつらを。

対戦車兵器をまともに食らったのに、何事も無かったかのように進軍していく!

ドローンに怯えながら塹壕に隠れている必要もない!

これからの戦場は、我がイスロの戦闘ヒューマノイドが席巻するのだ!!」


日向は驚愕する。


(私の育んできたヒューマノイドとは、こんな殺戮兵器ではなかったはずだ!)




………20年程前。


当時、日向は日本国内にて人型ロボット=ヒューマノイドと電子頭脳(AI)の先端技術開発に着手。

同じ研究員だった来迎寺美枝と知り合った。


日向は志を持っていた。


時に、社会は高齢化の問題を抱えていた。

医療現場に於いて、特に介護支援でのケア人員が高齢化社会により慢性的に不足し。

それらの多くは、介護職員の肉体的・精神的な負担となる問題を抱えていた。

日向は、そうした問題に対し人間の介護職員をサポートし得る、或いははとって変われる人型ロボット=AI搭載型ヒューマノイドの開発・実用化を急いでいたのだった。


その日向の目標計画と使命感は当時の国内外問わず高い評価を受け、同様の志を持つ研究者・エンジニアから引く手数多の協力要請・協力依頼に東奔西走した。


そして来迎寺美枝と結婚し、長女である麻衣を授かった。


そんな日向を変えたのは…………

ある年にニューヨークの国連本部で開かれたシンポジウムに出席した日の出来事だった。


…………その時のことを。

その時に自身の受けた衝撃を。

未だ日向は、ドメニコ以外の誰にも伝えたことは無い。




(……………麻衣。

どうか、許して欲しい。

もう少しだけ、待っていてくれ)


日向は、生命維持カプセルの中の娘と。

日本で日常を過ごしているはずの娘へ、同時に語りかけていた。


〈兵器・完〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ