グロッ!
無差別通り魔事件をめぐる………
"ロボットのような謎の人物”の素性を明らかにすべく、剱持刑事37歳は立ち上がった!
そして。
ついに参考人・来迎寺麻衣、高校2年生との謁見に成功!!
この捜査のカギとなる一枚の写真を見て愕然とする麻衣に、剱持は手応えを確信!!!
「………………」
"ロボットのような謎の人物”を写した一枚の写真。
それを一目見て言葉を失う麻衣。
剱持の頭の中に、凱歌が上がる!
(やった!
やはり、俺の狙いに狂いは無かった!!)
………しかし。
麻衣が、ようやく絞り出した言葉は、次のようなものだった。
「何〜?
このグロい画像!
アプリ何使ったの?
チャッピーかなんかで生成したやつ?」
「は!?」
想定外の反応に、戸惑いを隠せない剱持!
(…………アプリ?
チャッピーって、なんだ!?)
パソコンもスマホも業務連絡や捜査関連以外、ほとんど使わない剱持は。
今時珍しいくらい生成AIや他のアプリ情報などに疎いのであった!!
「あ…………いや、これは、都内設置の防犯カメラから引き出したもので」
麻衣は遮る。
「だ〜か〜ら〜!!
どんな写真だって元がデジタルなら。
これくらいの画像、ウチらのスマホだって作れるっての!
チャッピーなんかじゃなくってもさ、画像アプリなんか今時無料でいろんなの出てるから。
にしても、もちっとキレイに仕上がらないかね?コレ(笑)」
麻衣は笑う。
「でね、ホラ!
これ、わたし♫
いくらでも好きなようにコーデできるの!」
麻衣の差し出すスマートフォンに映し出される、自撮り画像の数々。
どれもこれも………派手なコスメ、大きくデフォルメされた瞳、実際とは大きくかけ離れたヘアとスタイルで彩られた、"麻衣自身”だという。
剣持の思惑を一向に認めないばかりか、自分のスマホの中の”作品”を得意気に披露する麻衣!
(まずい!
話が変な方向に行ってる!!
ハナから認めようとしない相手に、ここで強引に通してもダメだ)
剱持は出直すことにした。
「わかりました!
最近のスマホもスゴいもんだね〜!!
オジサン、参りました(笑)」
頭をかいて見せる。
「………では、来迎寺さんも。
そろそろ教室へ戻らないとね?
今日は本当にありがとう!!」
麻衣は、ホッとする。
(ヨシ!なんとか、やり過ごせた)
「………まあ、こんなわけで。
この写真の方には是非とも御礼がしたいんで、あ!僕個人としてね。
見かけることがあったりしたら、連絡もらえたら嬉しいな」
麻衣へ名刺を渡す。
名刺には携帯番号とメールアドレスも記入してあった。
「うん………でも。
確かにウチの学校のセーラー着てるけど、こんなグロい人、現実に居ないよ(笑)」
麻衣は牽制する。
「…………そうかな。
僕は信じてるよ!
きっと居てくれるって」
席を立ち。
ファミリーレストランのカウンターまで行った剣持は店員から大きなボックス二つを受け取り、麻衣に渡す。
「これ、今日の御礼!
クラス分あるか?ちょっと心配だけど、25個入ってる」
それは剣持がオーダーしておいた、ファミリーレストランのテイクアウトメニューのショコラケーキだった。
「わあッスゴい〜!!
今、ウチのクラス20人ちょっとだから。
どうも、ありがとうございます!」
「大丈夫?持ってこうか?」
麻衣は満面の笑みで袋二つを抱える。
「大丈夫です!!全然軽いから」
戦闘ヒューマノイドのパワーなら、空気を持つようなものだ。
しかし………そのケーキを麻衣自身は食べられないのだ。
由美香の時と同じ、校門の前で二人は別れた。
(………あの子、なかなか気丈だな。
何かあっても誰にも言えずに一人で抱え込むタイプだ)
初回にしては上出来な日だったと、剣持は自分を褒めた。
………来迎寺宅。
自室のベッドで、愛猫・ニャーミーを愛でながら、麻衣は物思いにふける。
”僕は信じてるよ!きっと居てくれるって”
麻衣には、剣持の最後の言葉が気にかかった。
「きっと、、、居てくれる…………?
かぁ。
なんだか、わたしに期待してる感じ?
ねぇ、ニャーミー」
「ニャン、ニャン!」
剣持には、再び会うことになるかもしれない………………
そんな予感がした、麻衣であった。
〈グロッ!・完〉




